「fastest&Highest Status Super Sport」
サーキットでの最速性能とコントロール性、および一般道での最高性能とコーナリング性能を兼ね備えた性能というコンセプトを持った2008年からの五代目R1こと4C8型。
アスリートの肉体美をイメージしたと言ってるように歴代R1の中ではたくましいデザインに。
今も続くヤマハカウルデザインの特徴であるレイヤードカウル(カウルが何枚も重なってる様に見える)の始まりでもあります。ちなみにこのR1からデザイナーが2015年モデルまで担当している新しい方に変わりました。
このR1最大の特徴は何と言ってもヤマハにとって伝家の宝刀であり伝統だった5バルブを捨てさって4バルブになった事。
コレには事情があります。
というものこの頃のSSというのは一番スペック競争が最も加熱していた時期。
だから
「出力を上げるなら4バルブにするしかない」
という事で4バルブなったわけです。
5バルブなら吸気口の面積を大きく取れるからパワーを出せるのじゃないかと思いますが、バルブが一本増えるとそれだけセッティングが難解になる。
5バルブについて詳しくは
をどうぞ。
4C8のエンジンは下半分はほぼ先代なものの、4バルブ化に合わせて
・YCC-T(ヤマハ電子制御スロットル)
・YCC-I(可変式エアファンネル)
・スリッパークラッチ
といった最先端のデバイスを装備し、肝心のエンジン出力も179馬力と見事に市販SSとしてはトップのパフォーマンスを記録する事となりました。
ちなみにルックスや太くなったスイングアームから見ても堅く鋭いイメージが連想されがちですが、実はこう見えて先代より更にフレームの肉厚(剛性)が見直されて靭やかになっていたりします。
そんな4C8型なんですが4バルブ化と合わせて紹介しておかないといけない大きな部分が6POTとなったフロントブレーキ周り。
誤解している人が居ますがコレも立派なMOS(Motorcycle Of Sumitomo)キャリパー。
どうしてそう誤解されているのかといえばMOSの特徴である鮮やかなピストンキャップが内側になったから。だからMOSっぽく見えず正直に言うとちょっと地味になりました。
何故こんな6POTにしたのかというとコーナリング性能のためにあります。
この4C8は先代からディスクローターをワンサイズダウンさせるという英断をしているんです。
これは回転することによって生じるジャイロ効果(水平を保とうとする)を少しでも軽減させるため。そして小径化によって落ちてしまった制動力はジャイロを発生させないキャリパー側で補おうという事で6POT化することになった。
その際にワンピースのモノブロックキャリパーであるが故に必要なピストンを組み付けるためのピストンホール、要するにMOSキャリパーのアクセントになっている蓋(を付ける分だけ肉厚した部分)とラジアルマウントのボルトが干渉する問題が出た。
そのためMOSのアイコンだった綺麗な(銀色の)蓋を内側に付けるしかなくなった。
この事についてプロジェクトリーダーだった西田さんは本当に悔しくて悩んだそうですが4C8の開発目標だった
「例えバランスを崩してでも強く曲がれる一次旋回力」
を達成させるためにフレーム剛性を落とした事と合わせてこの6POTを採用することに。
この一見すると地味で大人しくなった6POTのMOSキャリパーと小さくなったディスクローターですが、実はこれこそが4C8のコンセプトとその魅力を一番現している部分だったりするんです。
主要諸元
全長/幅/高 | 2060/720/1110mm |
シート高 | 835mm |
車軸距離 | 1415mm |
車体重量 | 200kg(装) |
燃料消費率 | – |
燃料容量 | 18.0L |
エンジン | 水冷4サイクルDOHC4気筒 |
総排気量 | 998cc |
最高出力 | 180ps/12500rpm |
最高トルク | 11.5kg-m/10000rpm |
変速機 | 常時噛合式6速リターン |
タイヤサイズ | 前120/70ZR17(58W) 後190/50ZR17(73W) |
バッテリー | YTZ10S |
プラグ ※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価 |
CR9EK |
推奨オイル | ヤマルーブ プレミアム/スポーツ/スタンダードプラス |
オイル容量 ※ゲージ確認を忘れずに |
全容量3.83L 交換時2.9L フィルター交換時3.1L |
スプロケ | 前17|リア45 |
チェーン | サイズ530|リンク118 |
車体価格 | 1,320,000円(税別) ※プレスト価格 |