YZF-R1/M(B3L/4BS)-since 2019-

2019年型YZF-R1

「Full Control Evolution of Track Master」

4年ぶりのモデルチェンジで2020年の排ガス規制に対応した八代目のYZF-R1/B3L型とYZF-R1M/4BS型。

最初に変更点を上げると

・シリンダーヘッドを新設計
・新型FI&レイアウト変更で低中速改善
・ロッカーアームの軽量化
・オイルポンプの変更
・チタンアンダーガード
・電スロの完全ワイヤレス化(電子化)
・ABSコントロール
・エンブレコントロール
・電子制御全般を見直し
・改良型フロントフォーク
・改良型クイックシフター
・シリアルナンバー(Mのみ)

などなど。

YZF-R1

変更点から見ても分かる通り改良が今回の主な目的となっており、国内正規販売になった為かMモデル含め先代より5万円ほど安くなっていたりします。

YZF-R1

カウルデザインも”纏う”をキーコンセプトに変更。

その中でも個人的に気になったのが膝が当たる部分までカウルで覆われているフルカバードチックになった事。

YZF-R1

これはもしやSS屈指の熱さだと評判だった事への配慮なんじゃないかと邪推。

そんなYZF-R1なんですが正直に言うと馬力が上がっていない事に対し、少し肩透かし感を食らった人も多いかと思います。

YZF-R1正面

時代の進化というのは恐ろしいものでYZF-R1の200馬力というのは2020年時点の同クラスでは低い方というか一番下だからですね。

これね・・・失礼ながら本当にヤマハらしいというか面白い話なんですよ。

というのもヤマハはMotoGPという世界最高峰レースにYZR-M1というマシンで2002年からずっと参戦し続けているんですが、同時に現在進行系でずっと言われ続けてる事がある。

2019YZR-M1

「M1はパワーが無い」

観客やファンはもちろん、ロッシを始めとした選手からも、そして社内からも言われ続けてる。

そう言われる理由はMotoGPを見ている人なら分かると思うんですが、ホームストレートなどで離されたり抜き返されたりして負けるというファンにとってはショッキングな展開が日常茶飯事だから。

だから負けるたびにそういう言われるし社内からも

「せめてストレート(最高速)だけでも勝つバイクにしろ」

っていうクレームが絶えずあってる。何故ならそれが一番分かりやすい性能アピールだから。

ところがM1は頑なにそれ拒み続けた・・・その象徴たるものがYZF-R1にも採用されている

『直4クロスプレーンエンジン』

です。

CP4エンジン

直4はV型よりも幅があるので前方投影面積が広くなり空気抵抗が増加するし、クロスプレーンは慣性トルクが無く振動面でも不利なのでピークパワーを稼げない。このWの要素があるからそうなる。

だから負けるたびにシングルプレーンにしろと言われたり、V型にしろと言われたり、V型を検討中とか噂を立てられたりしたんだけど直4クロスプレーンを貫き通した。

何故そうまでして貫き通したのかといえば

「コーナリングで勝つ」

という美学にも近い信念があったから。

そしてそれがYZF-R1にも色濃く反映されるから面白いという話。

B3Lディメンション

なぜ直4なのかといえばエンジンの前後長を抑える事でホイールベースを伸ばすことなくスイングアーム長を稼ぎ挙動変化を穏やかにするため。

なぜクロスプレーンなのかといえば慣性トルク(トルクの雑味)を無くす事で求められたトルクを求められただけ出すため。

補足:クロスプレーンだと何が良いのか

そしてなぜ新型YZF-R1の馬力が上がっていないのかといえばピークパワーよりもそれらがもたらすライダーとのシンクロ率を上げることを優先したから。

『フルコントロールエボリューション オブ トラックマスター』

というコンセプトの意味はここ。

M1の魂を纏う

そして公式が”M1の魂を纏う”と表現をしてる意味もここ。

M1の開発者が関わっているからとか見た目が似ているからとかではなく、信念までもがYZR-M1と同じで生き写しのようになってる。

だからメディアなどで同世代やこれから出てくるライバルと

「ヨーイドン」

と加速勝負をして負ける姿をM1と同じ様に目にする事もあると思いますが、R1の真骨頂はそこではないという事だけは覚えておいて欲しい。

例えストレートで先に行かれようと、その先にあるコーナーを抜けた時に先頭に立つポテンシャルを持っているのがYZF-R1の真骨頂なんです。

YZF-R1

「誰よりも速くコーナーを駆け抜けてこそのスーパースポーツ」

ハンドリングのヤマハをこれほどまでに具現化しているモデルは他にないかと。

【関連車種】

CBR1000RRの系譜GSX-R1000の系譜ZX-10Rの系譜SuperBikeの系譜

主要諸元
全長/幅/高 2055/690/1165mm
シート高 855mm
[860mm]
車軸距離 1405mm
車体重量 199kg(装)
[201kg(装)]
燃料消費率 15.2km/L
※WMTCモード値
燃料容量 17.0L
エンジン 水冷4サイクルDOHC4気筒
総排気量 997cc
最高出力 200ps/13500rpm
最高トルク 11.5kg-m/11500rpm
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前120/70ZR17(58W)
後190/55ZR17(75W)
[後200/55ZR17(78W)]
バッテリー YTZ7S(F)
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
LMAR9E-J
推奨オイル ヤマルーブRS4GP
※フルシンセのみ
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量4.9L
交換時3.9L
フィルター交換時4.1L
スプロケ 前16|リア41
チェーン サイズ525|リンク114
車体価格 2,150,000円(税別)
[2,900,000円(税別)]
※[]内はYZF-R1M
系譜図
fz750 1985年
FZ750
(1FM)
fzr1000 1987年
FZR1000
(3GM/3LK/3LG)
yzf1000r 1996年
YZF1000R Thunder Ace
(4SV)
4xv 1998年
YZF-R1
(4XV)
5jj 2000年
YZF-R1
(5JJ)
5pw 2002年
YZF-R1
(5PW)
5vy 2004年
YZF-R1
(5VY前期)
5vy後期 2006年
YZF-R1
(5VY後期/4B1)
4C8 2007年
YZF-R1
(4C8)
14b 2009年
YZF-R1
(14B~1KB/45B)
2012YZF-R1 2012年
YZF-R1
(45B/1KB/2SG)
2015YZF-R1 2015年
YZF-R1/M
(2CR/2KS/BX4)
2019YZF-R1 2019年
YZF-R1/M
(B3L/4BS)

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