SuberBikeの系譜

Panigale V4
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パニガーレV4

遂にというか、とうとうV4となったパニガーレV4。

エンジンの名前は『デスモセディチ・ストラーダレ』

デスモセディチストラーダレ

デスモ=デスモドロミック

セディチ=16(4気筒×4バルブ)

ストラーダレ=公道向け

という意味。

面白い事に70°という変則的なクランクだから点火タイミングは0-90-290-380-720という360°に近いけどちょっと違う形。

70°位相V4

360°はタイヤを落ち着かせる270°の間隔が2つあるからトラクションが有利というのはVFR400/NC30かで話したと思うんですが、ドゥカティは更に大きな340°の間隔を設けることでトラクション性を高めたわけですね。

ホンダと同じカタチは取らないというプライドでしょうか。

 

もう一つ面白いのが逆回転クランクを採用したこと。

逆回転ギア

これは簡単な話、前方へ回るホイールとは逆方向にエンジン(クランク)を回すことで起きようとするジャイロ効果を打ち消すのが狙い。

MotoGPではメジャーな手法でアイドラギアという転換用のギアによる損失が生まれてしまうんだけど、それでも逆回転クランクは手放せないほどの効果があるんだとか。

パニガーレV4エンジン

可変ファンネルを装備しているとはいえそんな損失を組み込んでおきながら市販車トップとなる215馬力を発揮するんだから凄いんですが・・・ってH2に続いて楕円排気ポートになっていますね。

H2で担当された恵上さんいわくコチラのほうが排気効率が良いんだそう。そのかわりコスト云々。

 

車体の方はフレームがモノコックタイプからツインスパーの様なフロントフレームと呼ばれる物に。

パニガーレV4車体

本来ならばタンクのある位置にはバッテリーや電装系で、ガソリンタンクはシート下。これもMotoGP技術で慣性モーメントの低減というか要するにマスの集中化が狙い。

ちなみにエンジン重量も二気筒から四気筒になったのに僅か2.2kg増、車体全体で見ても5.5kgしか増えていないっていう恐ろしさ。

LではなくVなので散々言われていた前輪荷重問題もなく、またスイングアームも長く取ることが出来たので現代的なSSとなりました。

ケーシー・ストーナー

テストPVではケーシー・ストーナー・・・って、RC213V-Sもそうだったし凄いですねケーシー。

レースに対する情熱が戻ったら是非とも復帰してほしいものです。

 

最後に懲りずに偉いそうに言うと、このパニガーレV4ですが本当にドゥカティは考えたなと思います。

パニガーレV4ネイキッド

というのもドゥカティは2003年からMotoGPをV4のデスモセディチで戦っていました。

何故V4にしたのかといえばボアの最大直径がレギュレーション(現在は81mm以下)で定められていたから。

更に2008年にはその公道版であるデスモセディチRRを限定1500台/787万円ながら発売。

デスモセディチRR

そしてこのパニガーレの後継ですと言わんばかりのデザインをしたパニガーレV4の登場・・・何が言いたいのかというと、MotoGPに参戦した時点でV4は既定路線だったんだろうなって話。

かといって(1198辺りで言いましたが)何の脈略もなくいきなりV4なんかにしたら波風が立つ。

だからまずMotoGPでレギュレーションを理由にV4のキッカケを作り、更にデスモセディチRRで公道版V4の布石を置き、そして非常に評価が高いパニガーレ系デザインをV4に被せる。

パニガーレV4の顔

パニガーレV4をデザインされたジュリアン・クレメンさんが

「コンペでのテーマは『パニガーレに見えること』だった」

と仰っていたのを見ても、その戦略の強かさが伺えます。

そして市場での反応を見るにその戦略は見事に決まったようですね。

パニガーレV4

だって誰もV4になった事へ違和感を覚えず、誰もがこれをスーパーバイクの後継として受け入れているんですから。

そうなればもうコッチのもの。良く回るLツインを2つ積んだかのうような速く美しく気高いスーパーバイクでしかない。

 

エンジン:水冷4サイクルDOHC四気筒
排気量:1103cc
最高出力:214ps/13000rpm
最大トルク:12.6kg-m/10000rpm
車体重量:175[174]kg(乾)
※[]内は前後オーリンズのSモデル

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