デザインが大変貌した999シリーズ。
もはや伝統と化していた916系から全く別物に変わったため様々な波紋を呼びました。
デザインを担当されたのはカジバではなくドゥカティに所属していた南アフリカ出身のピエール・テルブランチさん。
実はこの少し前にドゥカティはカジバから離れ、テキサスパシフィック(元TPGキャピタル)という投資ファンドが親会社となっています。
916やモンスターの大ヒットでイケイケだったドゥカティが高く売れるとして、経営が苦しくなっていたカジバが売りに出した形。
そんな916をデザインしたタンブリーニ公認デザイナーであるテルブランチ作999ですが、両持ちスイングアームや縦目二眼などを見ても分かるよう明らかに916の流れを否定するようなデザイン。
最初は片持で話が進んでいたんですが、部品点数の削減などの問題もあり両持ちに変更された経緯があります。
まあこれも流れを断ち切る狙いが少なからず影響しているんでしょうね。
これが出た時はそりゃもう称賛否両論雨あられでした・・・というか、どちらかと言うと否定的な意見が多かったです。
売れ行きも乏しく値下げまでされる始末。
もう世界中のあちこちで批判されたんですが、個人的にはちょっと可哀想だなと思います。
人気が無いだけだったら残念だったねで済むんですが、この999はスーパーバイクの存在意義であるSBKにおいて三度もの優勝を飾っている。
要するにスーパーバイクの名に恥じぬ速さと結果を残しているんです。
市販のストリート版も改良を重ね続けてきた先代998がベースなので性能の評判も悪くない。2005以降のモデルではスイングアーム補強や新設計のチタンバルブエンジンやらの改良まで入りました。
名実ともにスーパーバイクの名に恥じぬマシンだった999。
にも関わらず人気が出なかった・・・何故なら
「916っぽくないから」
結局皆が求めているのは916であってスーパーバイクではないって事ですね。
間違ってもドゥカティ自体が999を失敗作だと思ってるわけじゃないですよ。それに999はそれまでスーパーバイクに興味を示さなかった人が振り向いた怪我の功名の様な部分もあるわけで。
ただ改めて振り返ってみるとレース結果と人気にズレが生じ始めたのはこの頃からだったのかも。
エンジン:水冷4サイクルDOHC L型二気筒
排気量:999cc
最高出力:124ps/9500rpm
最大トルク:10.4kg-m/8000rpm
車体重量:199kg(乾)
※スペックはEU仕様の無印