999の不評もあり現代版916の様な姿となった1098シリーズ。
デザインを担当したのはジャンアンドレア・ファブロという方。
ドゥカティ内で
「916の流れを伝統(継承)化した方がいい」
という意見で一致する事になりこうなった背景があります。
999とは対照的に1098は両持ちスイングアームで進んでいたよう。
このモデルでフレームも新たに作り直され、エンジンも999Rで培ったテスタストレッタの改良型テスタストレッタ・エボルツィオーネになりました。
エボルツィオーネ(Evoluzione:進化)って無駄に言いたくなる響きですね。
日本語だと『進化した狭い頭』だから何もカッコよくないんですが。
そんなエボルツィオーネ最大の特徴はボア径がとうとう104mmと大台を超えた事。
後に追加されるホモロゲモデル1098R(1998cc)に至っては更に拡大され106mmに。
回転数が落とされているとはいえ、よくコンロッドが千切れないなって話。大きくなったらそれだけ重くなりますからね。
ちなみに
「ドゥカティはエンジンがすぐ掛からなくなる」
と言われているのはこの無茶なビッグピストンと狭い頭(高圧縮)による始動性の悪さが大半の原因だったりします。
四気筒勢に対抗するのはここまでしないと難しいんでしょうね。
ちなみにそのSBKのレギュレーションは四気筒も二気筒も1000ccまでだったのに排気量が1099cc(ホモロゲは1198cc)になったもんだから
「SBKに出れないじゃん」
と言われたんですが、ひと月も経たずにレギュレーションが二気筒は1200ccまでに改定されました。
これは
「SBK皆勤賞のドゥカティが脅した」
という見解もあれば、事前にリークされていたという見解もあって真意は分かりません。
でも排気量アップと引き換えに改造範囲が更に厳しくなったので一概に有利になったとは言い切れない部分があります。
そんな1098ですが、最初にも言ったように916のリボーンだと非常に人気が出ました。
販売台数もV字回復し年間販売台数は五万台を突破。
正に
「スクーターの様に売れたよ」
と言わしめた916の再来となったわけです。
エンジン:水冷4サイクルDOHC L型二気筒
排気量:1099cc
最高出力:160ps/9750rpm
最大トルク:12.5kg-m/8000rpm
車体重量:173kg(乾)
※スペックはEU仕様の無印