「EXTREME SUPER SPORTS」
ユーロ3の排ガス規制に合わせて大激変を遂げた四代目YZF-R6の2C0型。
変更点としてはまずやっぱりエンジン。
・ビッグボア&ショートストローク化
・圧縮比をアップ
・クランクマスの軽量化
・マグネシウムヘッド
・バルブのさらなる狭角化と大径化
・排気デバイスEXUPの採用
・アイドルコントロール
・YCC-T(電子制御スロットル)
・トリプルCPU内蔵ECU
などにより127ps/14500rpmというただでさえ高回転型だったのが更に高回転型に。
その結果タコメーターには遂に20000rpmの文字が登場。
「お前は250ccレーサーレプリカか」
と言いたくなる話なんですが他にも
・新設計CFアルミダイキャストフレーム
・新型サスペンション
・1kgの減量
・スリッパークラッチ
・アルミサイドスタンド
・チタンサイレンサー
などなど。
相変わらずR1より豪華な最先端装備の数々・・・ですが、それ以上に騒がれたのがデザインかと。
性能に負けずとも劣らない超攻撃的な姿。
ヤマハの象徴であるレイヤードカウルの始まりもここにあるんですが黎明期のデザインとは思えないほどの完成度ですね。
ただそれもそのハズで、実はこのデザインはR6の開発チームがたまたま目にしたスケッチを発見しビビッと来て
「次期型のデザインはこれで行こう」
と問答無用で決定したから。
つまりこの型はデザインが結構大きなウェイトを占めており、設計を寄せていった末の形なんですね。
わざわざポジションランプのレンズに音叉マーク入れてる事も含め、これだけのデザイン性をもったSSが出来たのも納得な話。
これで性能も見た目もますます尖ったSSになったわけですが
「どうしてそこまで尖らせるのか」
というと理由は2つあります。
一つは欧州で盛り上がりがピークを迎えていた600ccレースに勝つため。
YZF-R6はデビュー当初こそ他を寄せ付けない性能を誇り、各地のレースで大活躍していたんですが競争の激化によるライバルの出現で苦戦するようになっていた。
それを挽回する狙いがあったのが一つ。
そしてもう一つは初代でも少し話しましたが
『YZF-R1という存在』
にあります。
R6よりも排気量が大きいR1という存在が居る以上どれだけR6を豪華にしても存在感や所有感を上回る事は不可能だと三輪さんを始めR6チームは分かっていた。
そんな中でR6の存在感や所有感をR1よりも出すにはどうしたらいいか考えた結果
「走りで存在感や所有感を出そう」
となった。
じゃあ走りで絶対的な排気量差があるR1よりもそれらを出すにはどうしたら良いか・・・最新の装備を奢って極端なエンジン特性にするしかないですよね。これがR6が思い切りやろうというコンセプトで誕生した根本であり尖っていった理由。
だからR6はR1の弟分でも下位互換でも無いんです。先代PLの小池さんいわくR6開発チームはそう思われたくないと考えてる。むしろそれは屈辱でしかない。
R6はサーキットでR1よりも存在感を出せる、R1のインを差せるように開発されている一点突破ミドルスーパースポーツという事。
この2C0型はそんなR6のアイデンティティを本当によく現したモデルでした。
主要諸元
全長/幅/高 | 2040/700/1100mm |
シート高 | 850mm |
車軸距離 | 1380mm |
車体重量 | 182kg(装) |
燃料消費率 | – |
燃料容量 | 17.5L |
エンジン | 水冷4サイクルDOHC4気筒 |
総排気量 | 599cc |
最高出力 | 127ps/14500rpm |
最高トルク | 6.7kg-m/12000rpm |
変速機 | 常時噛合式6速リターン |
タイヤサイズ | 前120/70ZR17(58W) 後180/55ZR17(73W) |
バッテリー | FT9B-4 |
プラグ ※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価 |
CR10EK |
推奨オイル | SAE10W30~20W40 |
オイル容量 ※ゲージ確認を忘れずに |
全容量3.4L 交換時2.4L フィルター交換時2.6L |
スプロケ | 前16|後45 |
チェーン | サイズ525|リンク114 |
車体価格 | 1,050,000円(税別) ※プレスト価格 |