ここまで来ると当時を知らない人でも見た事あるような気がするのではないでしょうか。
先代までで「GSは人気があった」とか「凄かった」とか言ってましたが、それはオフロード界での話。
あまりオフに精通してない一般ライダーにとってGSというのはBMWのパリダカバイク程度の認知でした。(あくまでも今と比べたらね)
そんな層にまでGSの魅力を知らしめ認知度を大きく押し上げたのがこのR1100GS。
それまでのOHV空冷エンジンからOHC空油冷4バルブエンジンへ変更。ほかにも先代から改良が加えられたクロススポークにパラレバー、そして新しくテレレバーも採用。そして今ではGSのトレードマークとなった二重フェンダー。
最初にこれやったのスズキなんですけどね。キョエーって感じでスズキ自身が怪鳥って言ってます。いい加減このネタもしつこいか。
話を戻してパラレバーの話は先代でお話しましたので、今回はこの1100から採用されたテレレバーについて少し。
これはフロントサスペンションの話で上の写真を見てもらうと分かる通り三角形のアームが伸びてフレームとアンダーブラケットを結んでますよね。これがテレレバーです。
一般的というかみんなが知ってるのはテレスコピック方式。アウターチューブとインナーチューブという2つの筒を使う方式。望遠鏡で風景を見るテレスコープから名前を取ってます。
意外と知られてないんですがこのテレスコピック方式を1番最初に作ったのもBMWなんですよ。そんなBMWがテレスコピック方式と別れを遂げるなんて面白い話ですね。でもそれだけBMWは足に対する研究やこだわりが凄いということ。
さてそれに対してテレレバー方式っていうのはテレスコピックとマクファーソンストラット方式の二輪バージョンみたいなもの。車を知ってる人なら聞いたことがあると思いますが要するにサスペンションとダンパーを別体にしている。
さて何でこんな方式を取っているかというと、みなさん体感してるので知ってると思いますが一般的なテレスコピック方式はブレーキングをするとサスペンションが縮んで前のめりになりますよね。ノーズダイブってやつですが、そうすると実質的にキャスターが立ってホイールベースが短くなり旋回性が上がります。
「コーナー手前でしっかり荷重を前に移して~・・・」
とか聞きませんか?
それはそういうことなんですがこれには問題もあって、フロントが沈んでいるノーズダイブ状態っていうのはキャスター角(フロントフォークの角度)が立つので旋回性が増すぶん安定性に乏しくなるんです。
これは減速による力にサスペンションの働きが全て取られて緩衝する余力がなくなるから。原理がよくわからない人でもフルブレーキングで路面のギャップを拾ったらガツンと突き上げられ危ないというのは想像がつくと思います。
んでそれをBMWは何とかしようして生み出したのがこのテレレバー方式。上で言った様にノーズダイブする状況を想像してみてください。
こうするとこでブレーキングでのフロントサスの沈み込みを抑えているんです。イヤ本当はこんな単純な動きじゃないんですけどね。ビーマー(死語)は怒らないでね。
ただもちろんこのテレレバー方式にも弱点があります。
まず第一にアームが増えるので重くなります。さらにアームがタイヤの上を通るので大きいホイールが履けません。オフロードにおいて大きいタイヤが履けないというのは結構致命的(それでも19インチ履いてるんだけどね)です。
じゃあ何でR1100GSはこのテレレバーを採用したのかって話だけど、1100GSはそれまでのGSとは全く異なるバイク。それまでのGSは未舗装をガンガン走るというマルチパーパスというよりビッグオフに近い感じだったんだけど、このR1100GSは未舗装から峠からツーリングから何でもござれの本当の意味でマルチパーパスになった。
これが今までオフロード車に興味のなかったツアラー層にまでウケて評価されました。
このおかげでGSは今では買って間違いない何でも熟せる旅バイクという地位を確立するに至ったわけです。
エンジン:空油冷4サイクル水平対向2気筒
排気量:1084cc
最高出力:
80ps/6750rpm
最大トルク:
9.9kg-m/5250rpm
車両重量:240kg(装)