BMWベストセラーバイクであるGSの原点とも呼べるバイクがこのR80G/S。
最初はGSではなくG/Sと文字が分かれていました。GSというのはドイツ語でGelände Sport(ゲレンデシュポルト)の頭文字から取っていて、まあ要するに野山をスポーツって意味。
ちなみにRはRad(バイク)の意味。BMW Motorradって言いますよね。Rシリーズは伝統の水平対向二気筒でBMWの歴史とも言えるシリーズです。
このGSですが非常にリクエストが多かった車種でもあります。まあ当たり前ですけどね。BMWといったらまずこの世界で愛され続けるR1200GSです・・・だから正直いうと書きたくない。
まず最初に話は初代が出る少し前から始まります。
この初代GSが出るちょっと前の1970年代後半、実はBMWは瀕死状態でした。当時BMWの主要市場はアメリカだったのですがドル安によって販売面で大苦戦。
更にアメリカは追い打ちをかけるように1983年にはハーレー救済の一環として700cc以上の輸入二輪車に対し高い関税(45%)を課する事まで始めます。
だからもし80G/Sが生まれヒットしていなかったらBMWは間違いなく破綻していたでしょうね。イギリスの名門トライアンフはこのドル安&関税のダブルパンチに耐え切れずに破綻してしまいました。
ただBMWもこの80G/Sのヒットは偶然ではなく狙っていたようで、1970年代から入念に研究を重ね大事に作っていたようです。上の写真はプロトタイプ。
当時のBMWは日本でいえばメグロの様なメーカーで、官公向けやお金持ち相手の保守的なメーカーでした・・・今もあんま変わらないか?
そんなBMWが泥が似合う直線的な無骨バイクを出してきたから世間は少し騒ぎました。
でもこれにもちゃんとワケがあります。突拍子もなく出したわけじゃありません。
この頃のBMWはISDEで活躍していたんです。
※ISDEというのはInternational 6 days Enduroの事で文字通り6日間にも及ぶ過酷なラリー。一般的にはシックスデイズと呼ばれています。
そんなシックスデイズで活躍していたBMWのワンオフチューニングモデルの市販バージョンがこの80G/Sというわけ。当時ビッグオフといえばXT500を始めとした500cc前後が基本だった中で二気筒797ccは相当なパワーオフ。圧倒的な速さを誇っていました。
ただこのG/Sが世界から認められたのはISDE直系レプリカでハイスペックながら車重が186kgしかなかったこともそうなんだけど、それよりもBMW初となるテレレバーによりオフだけじゃなくオンでも高い走破性能を持っていたから。まさに走る道を選ばないマルチパーパス車をBMWは既にこの頃から狙って作っていたんだね。
ちなみにラリーを知らない人でも知ってるラリーであるパリダカでも勿論優勝しました。
その記念に発売された32LビッグタンクのR80G/S PARIS DAKAR。
このバイクの登場によってパリダカも多気筒化が進みました。それくらい速かった。
エンジン:空冷4サイクル水平対向2気筒
排気量:797cc
最高出力:
50ps/6500rpm
最大トルク:
5.8kg-m/5000rpm
車両重量:186kg(装)
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