
「You can’t lead from behind.」
第一世代最後となるZX-6R/ZX600J型。
ここでちょっとモデルチェンジの内容の前に当時のミドル情勢を説明します。
90年代にミドルの熱源というか火種であるCBR600Fが大ヒット、それに対抗すべく登場したスポーツ志向のZX-6Rによりミドルスポーツは更に人気となり一つのクラスとなりました。
その影響で今までローカル止まりだった600レースが世界選手権に格上げ。
世界選手権になるということはつまり・・・土俵が出来たというわけで、GSX-R600やYZF-R6などZX-6Rよりも過激なライバルの登場は必然。

更には我道を進んでいたCBR600Fもスポーツ性を高めたCBR600F4となり、今も続く四大ミドルが1999年に出揃いました。
これにより最初からスポーツ志向が強かったZX-6Rは追う立場から追われる立場へと引っくり返ったわけです。

そんな中でのモデルチェンジとなったJ型はどんな変更をしているのかというと
・燃焼室を半球形へと改良するヘッド周りを新設計
・メッキシリンダー
・クランクウェブの形状変更
・ラムエアなどをの吸気効率最適化
・スイングアームの剛性アップ
・120/65R17を始めとした足回りの見直し
などなど。

色々と改良されているんですがスペック的には+3.5馬力&-5kgと、追われる立場になったカワサキにしては大人しめのスペックアップ。
こうなった理由は
『このクラスに求められるモノは汎用性』
と考えていたから。
そもそも600というのは日常使いの延長線上にサーキットがある形で始まったカテゴリ。
だからこのクラスを買う人というのは見る目がとっても厳しく、サーキットだけでなく街乗りもツーリングも熟せるバイクじゃないといけない。

それが見て取れる典型的な装備が様々なシーンで活躍するグラブバー。
その路線はこのJ型でも変わらず、改良も単純に速さに磨きを掛けるわけではなく全域でパワーを出し、全域で気持ちよく走れてこそのZX-6R。
思ったほどスペックアップをしなかった理由はここにあります。

まあこのZX-6Rで世界選手権優勝してるんですけどね。
でも万能600だったのは事実です。

その証拠にZX-6R/J型は後継モデルが出た後も、北米ではZZR600として2006年まで万能スポーツツアラーとして発売されていたんですよ。
※お詫び
実はこのモデルは2002年に636ccとなったモデルがありました。

ZX-6R/636A型といってJ型のボアを2mm拡大しKLEEN(触媒)を搭載しています。
欧州向けに一年だけ販売された第一世代と第二世代の狭間の様なモデル。
全く知らず系譜から抜けていました申し訳ないです。
さてさて・・・スーパースポーツが当たり前な現代では、この旧世代ZX-6Rは装備もスペックも中途半端に見えるでしょう。

確かにこの第一世代ZX-6Rをスーパースポーツとは違うと思います。
この第一世代はサーキットだけでなく街乗りにもツーリングにも使える正統派ミドルスポーツという表現が正しいかと。
主要諸元
| 全長/幅/高 | 2030/730/1175mm |
| シート高 | 820mm |
| 車軸距離 | 1400mm |
| 車体重量 | 196kg(装) [199kg(装)] |
| 燃料消費率 | – |
| 燃料容量 | 18.0L |
| エンジン | 水冷4サイクルDOHC4気筒 |
| 総排気量 | 599cc [636cc] |
| 最高出力 | 111ps/12500rpm [118ps/13000rpm] |
| 最高トルク | 6.7kg-m/10000rpm [6.8kg-m/11000rpm] |
| 変速機 | 常時噛合式6速リターン |
| タイヤサイズ | 前120/65ZR17(56W) 後180/55ZR17(73W) |
| バッテリー | YTX9-BS |
| プラグ | CR9E |
| 推奨オイル | カワサキ純正オイル または MA適合品SAE10W-40 |
| オイル容量 | 全容量4.0L 交換時3.4L フィルター交換時3.6L |
| スプロケ | 前15|後40 |
| チェーン | サイズ525|リンク108 |
| 車体価格 | ※[]内はZX636A型 |








