「THE SMILE MACHINE」
2018年に登場した新世代モンキーことMONKEY125/JB02型。
その数字からも分かる通り125ccとなりそれに合わせてボディもワンサイズ大きくなりました。
大きくなったといってもそれでも125ではかなり小さい方なんですけどね。
ちなみに灯火系はすべてLEDという豪華さ。
ベースとなっているのは先に出ていたGROMなわけですが、これがまたよく考えられている。
いわゆるキビキビ系のグロムをそのままモンキーにしてもイメージに合わないという事で吸排気系やマッピング、更にはステムやリアフレームや足回りなどを新たに設計し直してトコトコ感を強調する変更をしています。
しかしその一方でクランクケースを始めとした各部のマウントやステー位置は極力グロムから変えない様にしている。
これはグロムと親和性を高めることでカスタムマーケットを広げるの事が狙い。
さて・・・このモンキーが出たときに色々と賛否両論あった事を覚えている人も多いかと思います。
ただ間違いなく言えるのは
「モンキーは本当はもう終わっていた」
という事。
この125化は何とかモンキーを存続させる方法はないか考えた末に造られた意味合いが強いです。
というのも50ccというのは規制とコストに加えほぼ日本でしか売れないので厳しいものがある。だからモンキーも既に2018年モデルで終わることがずっと前から決まっていた・・・そこで頼ったのがタイ。
タイはいま若者の間でストリートバイクが絶大な人気を誇っています。
発端はカワサキのKSRでホンダがグロムを出したのもそれが理由。だからモンキーも受け入れてもらえるのではと2016年のタイのバンコクモーターショーにコンセプトモデルを出したところ、これが物凄い反響を呼んだ。
ここで
「タイで売れるなら存続できる」
となった。
しかし一方でアジア特にタイというのは最高時速が80km/hでみんなビュンビュン飛ばすので50ccでは絶対に売れない。
だから125ccになったんです。タイだけで年間1万台の販売を予定しているんだとか。
ちなみにそんなモンキー125ですが、実はタイではバイク屋では売っていません。
『Cub house』
と呼ばれるコーヒーやらホットドッグやらアパレルやらまで売ってるショップでのみC125と並んで販売されています。
これは若者向けにライフスタイル兼ファッションアイテムとしてバイクに付き合ってもらおうという考えから・・・本当に最近のアジア凄いですね。
ちなみに信じられないかもしれませんがカスタム文化なども既に日本よりインドネシアやタイなどの方が遥かに上です。だからカスタムマーケットも急速に大きくなるのではないかと思います。
さっきからタイの話ばかりになっていますが125ccは世界中で売る事も出来るのでモンキー125はグローバルモデルとなり欧州などでも再び販売される様になりました。
ただその中でタイの次に大事な主要マーケットが何処かと言うと実は日本なんです。
つまりタイだけを見て造ったわけではない。
確かにモンキー125はそれまでのモンキー50とは大きく異なります。それはサイズ感を始めとした車体構成から見てもそう。
どれだけカスタムパーツが増えようがどれだけ弄ろうがモンキー125はミニ四駆の延長線上の様なモンキー50の代わりにはなれない。
でもそれは反対に言うとどれだけモンキー50を弄ってもこの125にはなれない事でもある。
このモンキーの最大の強みはそこ。
『最初から125として設計されている』
という事です。
4miniなどを弄った事がある人なら分かると思いますが、もともと50ccのバイクをボアアップやら燃調やらでスケールアップさせるとどうしても信頼性やメンテナンス性にシワ寄せが起こる・・・そして沼にハマる。
それは4mini筆頭であるモンキーも例外ではなく、結果としてモンキー50時代の晩年には
『カブ110エンジンにスワップ(載せ替え)』
というものまで流行りました。最初からメーカー謹製のものを載せれば何も悩まされる事がないからです。
要するにこのモンキー125はそれを最初からやった形。
そしてフレームや足回りも合わせてあるからオイル管理も異音も足回りも何一つ不安も心配もいらない。
これがモンキー125の強み。
確かに弄るモンキーではなくなったけど代わりに
『自由にトコトコ走れるモンキーになった』
という話。
その考えを最も裏付けるのがこのシート。
一見するとなんてことないシートですが、実はこれゴールドウィングと同じ高密度ウレタンを使った凄く良いシートなんです。
狙いはもちろんどんな道でもトコトコと、何時間でも何kmでもトコトコと行けるようにするため。
「なんで一人乗りなんだ」
と思うかも知れませんが、それはモンキーらしさを優先したから。
これはハンドルもそうです。
従来のモンキーの特徴の一つが折りたたみ式ハンドルでしたが、125でこれを採用するとなるとモンキーらしさが損なわれてしまう。
「モンキーらしさか伝統か」
これを採用するか採用しないかで大いにモメたものの
「125を抱えて積む人は居ないだろう」
という事で廃止しモンキーらしさ優先。
もう一つはフェンダー。
モンキー125は今どき珍しいスチールメッキフェンダーを採用しているんですが、当初は操舵重量の問題からスチールを止めてプラスチックになる予定でした。
しかし
「やっぱりスチールの方がモンキーらしい」
ということでフロント周りを途中で一から見直して何とかを実現。
モンキーのステム周りがグロムと大きく変わっているのはこのスチールフェンダーを意地でも採用するためだったりするんです。
アップマフラーにするために曲がりくねっているエキパイだってそうです。
例え125になろうとモンキーらしさを失わない為にこうなってる。
モンキー125が何処からどう見てもモンキーなのはこういった細かい配慮があるからなんです。
「さっきから言ってるけど”モンキーらしさ”って何だ」
って話ですがこの”モンキーらしさ”こそホンダが初代モンキーからずっと何よりも大事にしてきた事。
「見てるだけでワクワクする」
そう思えるバイクがモンキーなんです。
主要諸元
全長/幅/高 | 1,710/755/1030mm |
シート高 | 775mm |
車軸距離 | 1155mm |
車体重量 | 105kg(装) [107kg](装) |
燃料消費率 | 67.1km/L ※WMTCモード |
燃料容量 | 5.6L |
エンジン | 空冷4ストローク SOHC2バルブ単気筒 |
総排気量 | 124cc |
最高出力 | 9.4ps/7000rpm |
最高トルク | 1.1kgf-m/5250rpm |
変速機 | 常時噛合式4速リターン |
タイヤサイズ | 前120/80-12 65J 後130/80-12 69J |
バッテリー | YTZ5S |
プラグ ※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価 |
CPR6EA-9/U20EPR9 または CPR7EA-9/U22EPR9※高速 |
推奨オイル | ウルトラG1(10W-30) |
オイル容量 ※ゲージ確認を忘れずに |
全容量1.1L|交換時0.9L |
スプロケ | 前15|後34 |
チェーン | サイズ420|リンク98 |
車体価格 | 399,600円(税込) [432,000円(税込)] ※18年モデル ※[]内はABS |
50ccのモンキー・ゴリラが絶版になってこれからどうすんの?って思っていたらなんとビックリの復活。それも125cc。
解説の中で「見てるだけでワクワクする」とありますが、まさにそう思います。コレ乗ってどこ行こうか、って。
特に目的も無いのにフラフラ走り回りたくなる数少ないバイク。
出来れば125ccのゴリラも見てみたい。さらに欲張ればモンキーBAJAも。最近(でもないか)DAXも125ccで復活したし、ウルトラCでモトラが125ccで復活!・・・なんてならないか。ホンダさん、いかが?