「The Finest Footwork」
アメリカの市販車レースで二連覇を果たしたマシンのレプリカであるKZ1000Rに通ずる佇まいで登場したZRX1100/ZR1100C型と丸目ネイキッドタイプのZRX1100-II/ZR1100D型。
少し前下がり気味にしてスポーティさをアップさせる現代風アレンジが加えられているのが特徴的ですね。
ZRX1100が登場した背景には
・ネイキッドブーム&レース(NK-4)
・1990年750cc自主規制撤廃
・1995年限定解除から大型自動二輪へ
があります。
そもそもこのブームに火を付けたのは他ならぬカワサキのゼファー400/750/1100なんですが、それから暫くしてゼファーとは別にスポーツモデルとして開発されたのがZRX1100というわけ。
Z=四気筒
R=ネイキッド
X=究極
で究極の四気筒ネイキッドという意味。
ちなみにいまの若い人は信じられないかもしれませんが『ネイキッド』という言葉が国内で明確に定まったのもこの頃だったりします。
そんなZRX1100はエンジンは先に紹介したGPZ1100の物をベースにフライホイールマスを上げて安定性を向上させているんですが、凄かったのはどちらかというと車体の方。
まず何より車体が非常に軽量コンパクトに纏められているという事。
例えばホイールベースは1450mmと400クラス並の短さ。
加えて重要なのがハンドリングが非常にクイックでグリングリン寝かせて走る味付けになっていること。
これはフロントフォークを思い切り立ててフォークオフセット(ステムホールと)は30mmと非常に短めにしているから。要するにスーパースポーツ系に近いレイアウトになっているというわけ・・・つまり
「ビッグネイキッドのセオリーを無視したビッグネイキッド」
というのがZRX1100だったんで・・・がこれがウケた。しかも海外でも。
ZRX1100はもともと日本国内のみの販売を計画していたモデルだったものの、試しにケルンモーターショー(ドイツ)に出展してみたところ非常に高い反響があったため急遽ドイツとイタリアにはビキニカウル付きのC型が、フランスとオランダには丸目のD型が輸出される事になりました。
だから国によってはカウルレスであるコッチ、ZRX1100-IIのほうが有名だったりします。日本ではRが八割、IIが二割で圧倒的にRモデルが人気だったようですが。
最後に小ネタを話すとZRX1100はそのビッグネイキッドらしいアップライトなポジションとトルクフルなエンジンを持つ一方で、ビッグネイキッドらしからぬ軽快さも持っていた事から一般ユーザーだけでなくジムカーナなどから非常に人気というかランカー御用達マシンでした。
でも実はそうなったのはある意味では必然だったとも言えるんです。というのもこのZRX1100の車体を担当していたのは古橋さんというモノコックフレームの方でも有名な方なんですが、企画の谷さんいわく
「ZRXがこうなったのは古橋が当時ジムカーナにハマっていたから※KBM/Vol.49より」
との事。
主要諸元
全長/幅/高 | 2120/780/1150mm [2120/780/1085mm] |
シート高 | 790mm |
車軸距離 | 1450mm |
車体重量 | 222kg(乾) [221kg(乾)] |
燃料消費率 | 26.0km/L ※定地走行テスト値 |
燃料容量 | 20.0L |
エンジン | 水冷4サイクルDOHC4気筒 |
総排気量 | 1052cc |
最高出力 | 100ps/8500rpm |
最高トルク | 9.8kg-m/6000rpm |
変速機 | 常時噛合式5速リターン |
タイヤサイズ | 前120/70ZR17(58W) 後170/60ZR17(72W) |
バッテリー | YTX14-BS |
プラグ | CR9EK または U27ETR |
推奨オイル | カワサキ純正オイル または MA適合品SAE10W-40 |
オイル容量 | 全容量3.5L 交換時2.7L フィルター交換時3.0L |
スプロケ | 前17|後45 |
チェーン | サイズ530|リンク110 |
車体価格 | 940,000円(税別) [920,000円(税別)] ※[]内はZRX1100-II(ZR1100D) |