「Japanese Standard Naked」
排ガス規制に伴いフルモデルチェンジされたZRX1200DAEG/ZR1200D型。
FI化に伴いヘッド周りを始めとしたエンジンの見直しで自主規制突破の110馬力となり、ミッションもスムーズさに定評があったZZR1200ベースの6速に変更されスポーツ性を更に向上。
ホイールも五本スポークタイプとなり、外装もシェイプアップされスリムさが更に増しました。
他にもフレームはもちろん足回りに至るまで改良が入っています。
ZRX1200DAEGで行われた改良の狙いというか目指したものというのは
『国内ベスト』
というのもこのZRX1200DAEGから国内のみの販売なんですね。何故そうなったのか少し説明します。
プロジェクトリーダーの山本さんいわく、ZRXは本当は先代で終わる予定だった。
これは欧州を中心に
「ネイキッドといえばストリートファイター」
という認識そして人気が広まっていたから。
だからカワサキも水冷Zに大きく舵を切る事となり、いわゆるスタンダードネイキッドはストリートファイターベースで行こうという話に。そのためZZR1400をベースにしたネイキッドや、Z1000ベースにしたネイキッドなどの案で進んでいました。今にして思えばZ900RSが正にソレですね。
しかしそれでは旧来のZRXオーナーを始めとした日本のビッグネイキッド層を満足させるものは造れない。
「日本のビッグネイキッドユーザーを満足させるビッグネイキッドを別に造ろう」
となったのがプロジェクトの始まり。
そして様々な車種を身をもってテストした結果
「日本の道を走って最も楽しいのはやはりZRX1200Rだ」
という結論になった。
ZRX1200DAEGが国内仕様のみだった事や、大変貌する事がなかった理由はここにあります。
開発リーダーの山本さんが無類のZRX好きというのもあるんでしょうけどね。ZRX1100に十年乗っているそうです。
ちなみに名前が”R”から
『DAEG(ダエグ)』
というルーン文字になった事にも胸を熱くさせる話があります。
「着実な成長」
「進歩」
「終わりと始まり」
「突破」
「新しい展開」
という前進的な意味なんですが、この名前を入れたのは開発チームじゃない。
「完成の域にあったZRX1200Rを少しでも良くしようと血眼になって開発に取り組んでいた開発チームの思いを車名に刻みたい」
と営業側からの申し出で付けられた名なんです。
GPZ900Rからずっと磨き続けてきた集大成、大好きなZRXの総仕上げという熱意が伝わったんでしょうね。
最後に開発リーダーを務められた山本さんが、生産終了となった際にRIDEのインタビューで仰っていた言葉を引用して締めたいと思います。
「GPZ900Rの伝統を汲む最後のモデルになりました。分かる人に大事に乗り続けていただきたいです。」
※2017年モデルをもって生産終了
主要諸元
全長/幅/高 | 2150/770/1155mm |
シート高 | 795mm [790mm] |
車軸距離 | 1470mm |
車体重量 | 246kg(装) |
燃料消費率 | 25.8km/L ※定地走行テスト値 |
燃料容量 | 18.0L |
エンジン | 水冷4サイクルDOHC4気筒 |
総排気量 | 1164cc |
最高出力 | 110ps/8000rpm |
最高トルク | 10.9kg-m/6000rpm |
変速機 | 常時噛合式6速リターン |
タイヤサイズ | 前120/70ZR17(58W) 後180/55ZR17(73W) |
バッテリー | YTX12-BS |
プラグ | CR9EK |
推奨オイル | カワサキ純正オイルR4/S4 または MA適合品SAE10W-40 |
オイル容量 | 全容量3.5L 交換時2.7L フィルター交換時3.0L |
スプロケ | 前18|後44 |
チェーン | サイズ525|リンク112 |
車体価格 | 1,120,000円(税別) ※[]内はLIMITED |
系譜図
1995年 GPZ1100 (ZX1100E/F) | |
1996年 ZRX1100/II (ZR1100C/D) | |
2001年 ZRX1200R/S (ZR1200A/B) | |
2009年 ZRX1200DAEG (ZR1200D) |
【関連車種】
CB1300の系譜|XJR1300の系譜|Bandit1250の系譜