ZXR250/R(ZX250C/D) -since 1991-

ZXR250C

「WONDER SPORTS」

ZXR250/Rに対抗してきたライバル勢に負けじと登場からわずか二年でフルモデルチェンジされた二代目のZXR250/ZX250C型とZXR250R/ZX250D型。

スラントノーズに一枚物のライトレンズでハンサム系になったのが特徴ですが

・新設計アルミフレーム
・ホイールをX字6本スポーク化
・エンジンヘッドを変更し燃焼室の改良
・ボア拡大で更にショートストローク化
・軽量クランクシャフト
・ヘッドライトの常灯化
・リザーブタンク付きリアサス(Rのみ)

などなど更に性能に磨きを掛けた改良となりました。

91ZXR250

ちなみに一点だけ残念ポイントとして車高調整機能はオミットされました。

「そもそもレーサーレプリカで車高調とは」

と感じている方も多いと思うので説明すると先代はアッパーマウントがメインフレームのクロスパイプを貫通しており、ワッシャーで20mmほど調整する事が可能になっていました。

ZXR250の車高調機能

なかなかアナログというか地味な事もあって活用してる人があまり居なかったんでしょうね。

ZXR250/Rでもう一つ解説しておきたいのがK-RAS。

今でこそ有名なラムエアですが、有名になったからこそもう一度説明しておかないといけない。なぜならZXRのラムエアはTZR250/3MAの後方排気と同じくらい非常に紛らわしいから。

K-CASとK-RAS

アッパーカウルの穴からタンクに刺さるように付いているホースは

『K-CAS(Kawasaki Cool Air System)』

といってエンジンヘッドに冷たい走行風を導くことで冷却するためにあります。

走行風をエアクリーナーに導く

『K-RAS(Kawasaki Ram Air System)』

はその下のダクトからで、エアクリーナーまで上るように繋がっているんです。アッパーカウルから繋がっているのが当たり前な今だからこそ誤解しやすい要素ですね。

リアビュー

さて・・・そんなレーシングスーパーウェポンことZXR250/Rですが、C型になるとカタログもこんなポップというかキャッチーな物を用意するようになりました。

ZX250Cカタログ写真

なんと擬人化。

随分と時代を先取りしている。しかもちゃんとコミック展開。

ZXRコミック

川崎クンと綾子チャンがデートをしていると、危ない集団に襲撃され綾子チャンが連れ去られピンチ。

そこに現れたZXR250/Rに乗るとスーパーマンならぬZXRマンに変身。

ZXRコミック2

悪い奴らを成敗し、綾子チャンを見事に救出。

ZXRコミック3

何だ夢かと思ったら夢ではなく、綾子チャンが川崎クンに惚れ直し川崎クンはZXRへの感謝。めでたしめでたし。

コッテコテのアメリカ漫画でこれだけ見るとクスッと出来るんですが、これの狙いを知るとあんまり笑えない部分もある。

というのも同世代の他車種でも書いているんですが、この頃になるとレーサーレプリカブームが既に去りつつあり、時代はネイキッドやクラシックなどに移ろいゆく中でした。

きっかけは同社から1989年に出たゼファーでカワサキ自身も生産が追いつかないほどまでに加熱。

ZXR250/C3

対してレーサーレプリカは車体価格の高騰も相まって市場もレースも冷めゆく一方で、レーサーというそれまでポジティブだった要素がネガティブな要素として捉えられるようになった。だからこんな漫画タッチでレーサーのレの字も感じ取れないカタログになっているという話。

1993年からは40馬力自主規制が設けられるようになったことでその傾向は更に強くなり、唯一の武器であったスペックも取り上げられ、SPレース向けのZXR250R/ZX250Dが1992年をもって生産終了。

ZXR250R最終モデル

市場の流れに合わせてレースもネイキッドレースに移行したのが決定打でした。

一方で継続販売されていたノーマルモデルもカタログを開いてみると、感じでスーパーウェポンと名乗っていたのが嘘のようにカジュアルな紹介。

ZXR250/C3カタログ2

それだけ市場が大変動というかちゃぶ台返しのような事態になっており、そしてカワサキもなんとかZXR250を存続させるためにこういう画策をしていたわけです。

E型が世間を騒がせた現代からすると信じられないような話ですけどね。

ZXR250最終カタログ

結局ZXR250はライバルがどんどん消えゆく中でも細々ながら販売が続けられ、1999年にライムグリーン(上記ZXR400と同色)を出し生産終了となりました。

主要諸元
全長/幅/高 2000/685/1090mm
シート高 735mm
車軸距離 1360mm
車体重量 141kg(乾)
燃料消費率 50.5km/L
[48.0km/L]
※定地走行テスト値
燃料容量 15.0L
エンジン 水冷4サイクルDOHC4気筒
総排気量 249cc
最高出力 45ps/16000rpm
最高トルク 2.5kg-m/11500rpm
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前110/70R17(54H)
後140/60R18(64H)
バッテリー YB9L-A2
プラグ CR9E
または
U27ESR-N
推奨オイル カワサキ純正オイル
または
MA適合品SAE10W-40
オイル容量 全容量2.6L
交換時2.1L
フィルター交換時2.55L
スプロケ 前14|後48
チェーン サイズ520|リンク110
車体価格 609,000円(税別)
[669,000円(税別)]
※[]内はZXR250R(ZX250D)
系譜図
ZXR250A1989年
ZXR250/R
(ZX250A/B)
ZXR250C1991年
ZXR250/R
(ZX250C/D)
バリオス1991年
BALIUS
(ZR250A)
バリオス21997年
BALIUS2
(ZR250B)
2020年
ZX-25R
(ZX250E)

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