「SPORT EVOLUZIONISMO」
スズキが出したビッグネイキッド第一弾であるGSF1200のGV75A型とハーフカウルモデルのGV75B型。
これを出した理由は1990年の750自主規制撤廃、そして1995年の大型二輪制定などで1970年代以来となるビッグネイキッドブームが到来したから。
数々のモデルが登場し人気を博していた中で、最後発となったスズキが出したビッグネイキッドの答えは非常にスズキらしいものでした。
まず何を隠そう伝統の油冷エンジン。
GSX-R1100の物をベースにボアを1mm拡大することで1156ccとし、カム周りはGSX1100Gの物を搭載。
キャブレターもGSX-R1100から少し絞った物に変えられ中低速重視に。
ここでちょっと補足しておくとGSX1100GというのはこのGSF1200が出る少し前に出された何故かシャフトドライブのビッグネイキッド。
欧州向けでしたが一応日本にも入ってきています。
ちなみに知らない人は知らないけど、知っている人はよく知っているバイクです・・・というのも実はこのGSX1100Gなんと矢沢永吉さんが実際に所持したバイク。
話を戻しますが、GSF1200が実にスズキらしいといえる部分は車体にもあります。
明らかにヨーロッパのセンスを強く取り入れてる独創的なダブルクレードルフレームと薄いタンクが特徴的ですが、このボディは先に出ていた弟である600と共有しているもの。
つまりこのGSF1200はミドルかと思うほどコンパクトなんです。
そしてもう一つ重要というか凄いのが1435mmという驚異的なショートホイールベースであること。これはライバルより100mm以上短く400cc並、ちょうどGSR400と同じ長さ。
それに加えて中低速重視で
『9.8kg-m/4000rpm』
を叩き出す油冷エンジン・・・そりゃもう簡単にひっくり返る。
なんでこんな極端な事をしたのかというと、企画の西本さんいわく開発チームがGSF1200では
「ネイキッドじゃなくてスポーツカーを造ろう」
という目標があったから。
ミソなのはレプリカではなくスポーツカー。
つまり公道でその性能を楽しめるバイクを目指した結果。
この極端なショートホイールベースとコンパクトボディ、だけどキツくないポジションという組み合わせはそのためなんです。
ちなみに車体設計の松本さんが言うに、開発段階ではキャンバー角(フロントフォーク角)はもう少し立てていて更に過激になる予定だった。
しかし先に出ていた600が欧州で
「過激すぎて危ない」
という声が多く寄せられた事で1200では1°寝かせられ26°になったんだそう。
※バイカーズステーション1994-8 インタビューより
主要諸元
全長/幅/高 | 2105/785/1095mm |
シート高 | 835mm |
車軸距離 | 1435mm |
車体重量 | 208kg(乾) |
燃料消費率 | 27.0km/L ※定地走行テスト値 |
燃料容量 | 19.0L |
エンジン | 油冷4サイクルDOHC4気筒 |
総排気量 | 1156cc |
最高出力 | 97ps/8500rpm |
最高トルク | 9.8kg-m/4000rpm |
変速機 | 常時噛合式5速リターン |
タイヤサイズ | 前120/70-17(58W) 後180/55-17(73W) |
バッテリー | FTX12-BS |
プラグ ※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価 |
JR8B |
推奨オイル | スズキ純正 エクスター |
オイル容量 ※ゲージ確認を忘れずに |
全容量4.6L 交換時3.3L フィルター交換時3.5L |
スプロケ | 前15|後45 |
チェーン | サイズ530|リンク110 |
車体価格 | 798,000円(税別) |