三代目でありFZR400シリーズの最後を飾るモデルでもある3TJ型。
車名にRがもう一つ追加されFZR400RRとなったのを見ても分かる通り大幅なモデルチェンジとなりました。
あらゆる部品を見直した事でコンパクトにすることが出来たエンジン。
ダウンチューブを完全撤廃し軽量高剛性になった新設計デルタボックスフレーム。
FZR1000と同サイズとなる極太フロントフォーク。
などなどで中身はほぼ別物。
外見のほうも市販車初となるプロジェクター式ヘッドライトに、ファクトリーマシンYZR750と同タイプのテールライトなどで同じ系譜のバイクとは思えないほど雰囲気が一新。
ここまでの大変貌を遂げた理由はこれまでと違いYZRチームが開発に大きく関わったから。
ちなみにこのモデルでSPモデルが再び設定されました。
上記FZR400RRに加え、大型ラジエーターに6速クロスミッション、強化クラッチに伸・圧調節機能付きサス、シングルシート仕様など。
お値段は相変わらず89万円。
そんなFZR400RRは1994年まで発売されたのですが、92年にSPモデルのみFCRへ換装した(3TJ6型)のが最後のモデルチェンジ。
これはレーサーレプリカブームが去り、TT-F3クラスも廃止になっていたから。
ラストモデルに当たるのは1994年に専用グラフィックを施したSPモデル(3TJ7)で500台限定でした。
メモリアル的な意味合いが強いモデルです。それにしてもオシャレなシートアルミフレームですね。
さて・・・最後になりますがFZR400で開発者達が一番大事にしていたことをご存知でしょうか。
それは
「安定・安心」
です。
こんなカリカリのスーパースポーツで安全なんて意味がわからないと思うでしょう。
FZR400はTZR250と同様にYZRのレーサーレプリカであり
「レースで勝てる速いマシン」
が至上命題でした。でも見て分かるようにTZR250とは作りが大きく違う。
これはFZR400開発において散々議論した結果
「安心こそ速さに繋がる」
という別の結論に至ったから。
その狙いが現れているのが
「FZR400はハンドリングが重い」
と巷でよく言われた事。
これは開発者がレーサーやライバル車に乗った際に感じたクイックなハンドリングを疑問に思ったのが始まり。
確かにクイックなハンドリングだと、凄くスポーティに、そしてまるで自分が上手くなった様な”錯覚に近い気分”を味わえる。
でもそれはヤマハの考えるマン・マシンの一体とは違う。
だからFZR400はそんな味付けを廃したんです。
どんな速度でも、どんなコーナーでも、マシンを信じ、安心して安全に曲がっていける。
乗り手のアクションに
「いつ如何なる時も忠であり続ける事」
これこそが本当の速さに繋がる。
「信頼関係を築けるレーサーレプリカ」
忠犬として名高いドーベルマンをカタログに用いた意味もそこにあるんでしょう。
主要諸元
全長/幅/高 | 1975/705/1090mm |
シート高 | 760mm |
車軸距離 | 1370mm [1365mm] |
車体重量 | 160kg(乾) |
燃料消費率 | 50.0km/L ※定地走行テスト値 |
燃料容量 | 15.0L |
エンジン | 水冷4サイクルDOHC四気筒 |
総排気量 | 399cc |
最高出力 | 59ps/12000rpm |
最高トルク | 4.0kg-m/9500rpm |
変速機 | 常時噛合式6速リターン |
タイヤサイズ | 前120/60R17(55H) 後160/60R17(69H) |
バッテリー | YTX9-BS |
プラグ ※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価 |
CR8E または U24ESR-N |
推奨オイル | – |
オイル容量 ※ゲージ確認を忘れずに |
全容量3.4L 交換時2.3L フィルター交換時2.6L [全容量3.5L 交換時2.3L フィルター交換時2.6L] |
スプロケ | 前19|リア55 [前19|リア52] |
チェーン | サイズ428|リンク130 [サイズ428|リンク128] |
車体価格 | 739,000円(税別) [839,000円(税別)] ※[]内はFZR400RR/SP |