FZR400RR/SP(3TJ) -since 1989-

FZR400RR

三代目でありFZR400シリーズの最後を飾るモデルでもある3TJ型。

車名にRがもう一つ追加されFZR400RRとなったのを見ても分かる通り大幅なモデルチェンジとなりました。

FZR400RRフレーム

あらゆる部品を見直した事でコンパクトにすることが出来たエンジン。

ダウンチューブを完全撤廃し軽量高剛性になった新設計デルタボックスフレーム。

FZR1000と同サイズとなる極太フロントフォーク。

などなどで中身はほぼ別物。

FZR400RRカタログ写真

外見のほうも市販車初となるプロジェクター式ヘッドライトに、ファクトリーマシンYZR750と同タイプのテールライトなどで同じ系譜のバイクとは思えないほど雰囲気が一新。

ここまでの大変貌を遂げた理由はこれまでと違いYZRチームが開発に大きく関わったから。

ちなみにこのモデルでSPモデルが再び設定されました。

FZR400RR・SP

上記FZR400RRに加え、大型ラジエーターに6速クロスミッション、強化クラッチに伸・圧調節機能付きサス、シングルシート仕様など。

お値段は相変わらず89万円。

そんなFZR400RRは1994年まで発売されたのですが、92年にSPモデルのみFCRへ換装した(3TJ6型)のが最後のモデルチェンジ。

1992FZR400RR-SP

これはレーサーレプリカブームが去り、TT-F3クラスも廃止になっていたから。

ラストモデルに当たるのは1994年に専用グラフィックを施したSPモデル(3TJ7)で500台限定でした。

1994FZR400RR-SP

メモリアル的な意味合いが強いモデルです。それにしてもオシャレなシートアルミフレームですね。

さて・・・最後になりますがFZR400で開発者達が一番大事にしていたことをご存知でしょうか。

それは

「安定・安心」

です。

FZR400RRカタログ写真

こんなカリカリのスーパースポーツで安全なんて意味がわからないと思うでしょう。

FZR400はTZR250と同様にYZRのレーサーレプリカであり

「レースで勝てる速いマシン」

が至上命題でした。でも見て分かるようにTZR250とは作りが大きく違う。

これはFZR400開発において散々議論した結果

「安心こそ速さに繋がる」

という別の結論に至ったから。

FZR400RRアクセサリー

その狙いが現れているのが

「FZR400はハンドリングが重い」

と巷でよく言われた事。

これは開発者がレーサーやライバル車に乗った際に感じたクイックなハンドリングを疑問に思ったのが始まり。

確かにクイックなハンドリングだと、凄くスポーティに、そしてまるで自分が上手くなった様な”錯覚に近い気分”を味わえる。

でもそれはヤマハの考えるマン・マシンの一体とは違う。

FZR400RRファイナル

だからFZR400はそんな味付けを廃したんです。

どんな速度でも、どんなコーナーでも、マシンを信じ、安心して安全に曲がっていける。

乗り手のアクションに

「いつ如何なる時も忠であり続ける事」

これこそが本当の速さに繋がる。

FZR400RRチラシ

「信頼関係を築けるレーサーレプリカ」

忠犬として名高いドーベルマンをカタログに用いた意味もそこにあるんでしょう。

主要諸元
全長/幅/高 1975/705/1090mm
シート高 760mm
車軸距離 1370mm
[1365mm]
車体重量 160kg(乾)
燃料消費率 50.0km/L
※定地走行テスト値
燃料容量 15.0L
エンジン 水冷4サイクルDOHC四気筒
総排気量 399cc
最高出力 59ps/12000rpm
最高トルク 4.0kg-m/9500rpm
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前120/60R17(55H)
後160/60R17(69H)
バッテリー YTX9-BS
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
CR8E
または
U24ESR-N
推奨オイル
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量3.4L
交換時2.3L
フィルター交換時2.6L
[全容量3.5L
交換時2.3L
フィルター交換時2.6L]
スプロケ 前19|リア55
[前19|リア52]
チェーン サイズ428|リンク130
[サイズ428|リンク128]
車体価格 739,000円(税別)
[839,000円(税別)]
※[]内はFZR400RR/SP
系譜図
FZ400R1984年
FZ400R/N
(46X/2EL/3CD/1FK)
1wg/2TK1986年
FZR400/R
(1WG/2TK)
3EN1988年
FZR400/R
(3EN)
3TJ1990年
FZR400RR/SP
(3TJ)

FZR400/R(3EN) -since 1988-

3EN

二代目FZR400の3EN型。

新設計ピストンやクロモリ鋼製コンロッド&カムシャフト、更に吸排気の見直しでフレッシュエアを導入するFAIやEXUPを標準装備。

1988FZR400

更にスイングアームもアルミ製へと変更されたわけですが、留まる所を知らないとは事のことで、翌1989年には更に改良が入りFZR400Rへと改名。

3EN2

3EN2型(3EN二型)でスラントノーズ化やマフラー形状の真円化に加え、フロントフォークを大径化。

3EN2車体

フレームも見直され、リアスイングアームを補強レスのアルミデルタボックスタイプに変更などなど結構大掛かりな変更が加わっています。

3EN2コックピット

熟成に近いモデルチェンジで評判も上々だったものの、残念なことにレプリカ戦国時代だった事もあり半年ほどしか発売されず。

その為FZR400シリーズでは一番数が少ないモデルです。

3EN1カタログ写真

少し遡りますがFZR400の特徴として挙げられる一つが140/60というリアタイヤです。

110/90が当たり前だった時代に140/60という超扁平のワイドタイヤ。

3EN2フレーム

これはまだ主流では無かったラジアルタイヤのグリップ性能をフルで活かすため。

今こそ珍しくもなんともないサイズですが、当時はこのサイズにするとリム幅の関係でタイヤの選択肢がほぼ無くなる状況だったんです。

だからこれまでのラジアルタイヤは簡単に言うとバイアスタイヤに合わせたラジアルタイヤだった。

3ENカラーリング

しかしそれではラジアルの本領を発揮できないとして、前々から考えていたラジアル前提のホイールと超偏平のラジアルタイヤ化を決断。

3EN2カタログ写真

今ではメジャーなサイズとなっている140/60という扁平率は、このFZR400が最初に踏み出したから進んでいったというわけ。

何が何でも超偏平を高次元で実現させるとして開発にも一番時間を掛けたんだとか。

主要諸元
全長/幅/高 2025/685/1160mm
[2020/685/1130mm]
シート高 760mm
[770mm]
車軸距離 1400mm
車体重量 165kg(乾)
燃料消費率 52.0km/L
※定地走行テスト値
燃料容量 17.0L
エンジン 水冷4サイクルDOHC四気筒
総排気量 399cc
最高出力 59ps/12000rpm
最高トルク 3.9kg-m/9500rpm
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前110/70R17(53H)
後140/60R18(64H)
バッテリー YB12AL-A2
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
CR8E
または
U24ESR-N
推奨オイル
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量3.0L
交換時2.3L
フィルター交換時2.6L
スプロケ 前19|リア55
チェーン サイズ428|リンク130
車体価格 719,000円(税別)
[729,000円(税別)]
※[]内はFZR400R
系譜図
FZ400R1984年
FZ400R/N
(46X/2EL/3CD/1FK)
1wg/2TK1986年
FZR400/R
(1WG/2TK)
3EN1988年
FZR400/R
(3EN)
3TJ1990年
FZR400RR/SP
(3TJ)

FZR400/R(1WG/2TK) -since 1986-

1WG

「最強・最速の400」

明け渡してしまったF3チャンピオンの称号を取り返すために作られたワークスマシンYZF400との共同開発という形で誕生した初代FZR400の1WG型。

1WGイラスト

アルミデルタボックスフレームや45度傾斜エンジン&ダウンドラフト吸気システムといったGENESIS思想の塊となり正真正銘レーサーレプリカに。

ワークスクオリティFZR400R

「遂にヤマハが400でも本気を出した」

と非常に話題となりました。

ところが本気はこれで終わりじゃなかった。

翌1987年にはレース前提車両ともいうべきFZR400Rを限定生産で発売。

ヤマハFZR400R

標準モデルに加え

・冷却用オイルジェット&オイルクーラー

・EXUP(市販車初)

・F3モデルと同じクロスミッション

・リアフレーム等のアルミ化

・シングルシート仕様

・対向4ポットブレーキキャリパー

等などを装備しお値段89万円(税別)。

レーサーレプリカ時代によく出ていたSPグレードを最初に設けたのはこのFZ400Rです。

少し補足をすると、最初に言った共同開発のワークスマシンYZF400というのは、国内400ccレースのトップであるTT-F3(国際A級)という言わば改造何でもありでワークスが犇めき合うトップのクラスのレース。

YZR400

一方で改造範囲が狭い事から人気だったのがSP400というレース。

ほぼノーマルで戦う為に腕がモノを言う登竜門の様なクラスだったわけです。

FZR400R内部

FZR400Rを始めレーサーレプリカ時代に大量に出てきたSPモデルというのは単にワークスベースの為ではなく、そういったレーサー(アマチュア・ノービス)に向けて出された意味合いが強い車両というわけ。

これを買えば弄らずともレースに出れると当然レーサーたちは飛んで喜びました。

主要諸元
全長/幅/高 2040/690/1125mm
シート高 785mm
車軸距離 1400mm
車体重量 157kg(乾)
[162kg(乾) ]
燃料消費率 53.0km/L
※定地走行テスト値
燃料容量 18.0L
エンジン 水冷4サイクルDOHC四気筒
総排気量 399cc
最高出力 59ps/12000rpm
最高トルク 3.9kg-m/9500rpm
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前110/70R17(53H)
後140/60R18(64H)
バッテリー YB12AL-A2
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
C8E
または
U24ES-N
[CR8E/CR9E
または
U24ESR-N/U27ESR-N]
推奨オイル
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量3.0L
交換時2.2L
フィルター交換時2.5L
[全容量3.1L
交換時2.3L
フィルター交換時2.6L]
スプロケ 前15|リア44
チェーン サイズ525|リンク104
[サイズ520|リンク104]
車体価格 698,000円(税別)
[890,000円(税別)]
※[]内はFZR400R(2TK)
系譜図
FZ400R1984年
FZ400R/N
(46X/2EL/3CD/1FK)
1wg/2TK1986年
FZR400/R
(1WG/2TK)
3EN1988年
FZR400/R
(3EN)
3TJ1990年
FZR400RR/SP
(3TJ)

FZ400R/N(46X/2EL/3CD/1FK) -since 1984-

FZ400R

「リアルレスポンス」

もしかしたらというか、恐らく系譜の始まりにして最も人気があるであろうFZ400R。

FZ400Rは当時4st水冷400のスーパースポーツ(レーサーレプリカ)での出遅れを取り戻す事を狙って作られたバイクで、TT-F3のFZR400(純レーサー)と共同開発という謳い文句で登場しました。

TT-F3 FZR400

ちなみにこのFZR400は見事TT-F3初代チャンピオンに輝きました。

そんなFZR400との二卵性双生児であることが最も現れているのが、大きなフロントフェアリングと流れるようなシートカウル。

FZ400Rサイド

このカウルは空気抵抗を軽減する為に編み出された造形で、ヤマハとしてはRVZ500Rと並び”飾りではない本当の空力パーツ”として取り入れた初めての市販車。

でもライダーはそんな事よりも単純にこの斬新なデザインにヤラれた人が多かった。

46X

今改めて振り返ってみると本当にFZ(FAZER)シリーズの始祖に相応しいデザインですね。

コチラは翌1985年に出たネイキッドモデルであるFZ400N。

FZ400N

N=ネイキッド=カウルレスという認識はこのバイクから始まりました。

2年後の86年モデルではハンドルなどのポジションが見直され、87年モデルではフルカウルモデル(3CD型)も登場するなど、FZ400Rは二年保たないのが当たり前だったレーサーレプリカ時代において、4年以上もラインナップに居た超長寿レーサーレプリカだったりします。

FZ400Rフルカウル

これが何故かと言うとFZ400R/Nは基本設計が古かったからです。

誤解している人も多いのですがFZ400RはGENESIS思想のバイクではありません。GENESISの始まりはFZ400Rの翌年に出たFZ750やFZ250PHAZERから。

1FKカタログ写真

FZ400R/Nはアルミフレームでも無いし、エンジンはXJ400Zの物だから純粋なレーサーレプリカかと言うとそうでもない。

でもこれが良かったんです。

FZ400Rカタログ写真

これまで培ってきた直四や鉄フレームから来る若干のナローさのおかげで、速いだけでなく懐が非常に広かったから何年経ってもFZ400を選ぶ人が多かったんです。

主要諸元
全長/幅/高 2025/690/1145mm
[2025/705/1145mm]
シート高 785mm
車軸距離 1385mm
車体重量 165kg(乾)
[166kg(乾)]
燃料消費率 55.0km/L
※定地走行テスト値
燃料容量 18.0L
エンジン 水冷4サイクルDOHC四気筒
総排気量 399cc
最高出力 59ps/12000rpm
最高トルク 3.7kg-m/10000rpm
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前100/90-16(54H)
後120/80-18(62H)
バッテリー FB12A-A
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
D8EA
推奨オイル
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量2.9L
交換時2.2L
フィルター交換時2.5L
スプロケ 前16|リア45
チェーン サイズ520|リンク104
車体価格 598,000円(税別)
[615,000円(税別)]
※スペックはFZ400R(46X)
※[]内はフルカウルモデル(3CD)
系譜図
FZ400R1984年
FZ400R/N
(46X/2EL/3CD/1FK)
1wg/2TK1986年
FZR400/R
(1WG/2TK)
3EN1988年
FZR400/R
(3EN)
3TJ1990年
FZR400RR/SP
(3TJ)
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