「MY BEST SMALL」
2008年をもって一旦は生産終了となったものの2009年に復活を果たした国内としては六代目となるモンキー。
それまでのアメリカンチックなタイプからZ50M~4L時代の様なトレールチックに回帰したんですが、一番の変更点は何といっても排ガス規制に対応するためFI化された事。
そのため
『FIモンキー』
または
『インジェクションモンキー』
と呼ばれています。
排ガス規制に対応しながら何気に馬力も0.3馬力上がっているわけですが、FI化に伴い車体が大幅に見直された結果『モンキー』というバイクの立ち位置が少し変わりました。
電子制御化とそれに合わせた大幅な車体の変更によってモンキーの武器であり財産でもあった無数のカスタムパーツの互換性が無くなってしまいました。
加えて排ガス対応へのコストや原付一種の低迷などで車体価格も29万円とそれまでの1.5倍に・・・これによりモンキーのカスタム離れが起こってしまったわけです。
少し厳しい事を言うと既存のモンキー層にこの事実は受け入れがたかった。
しかしキャブ時代のモンキーは既にプレミア価格・・・その結果なにが起こったかというと10万円ほどで買える中国製のコピーモンキー(キットバイク)が人気となりました。
そもそもの設計から狂っていたりするのでお世辞にもそのまま乗り出せる完成度ではないのですが、いわゆる4mini層にとってそれは弄る楽しみの一つなのでメリットであってデメリットではない。
しかもコピーだから既存のモンキーが築き上げてきた財産である多くのカスタムパーツが流用できる。まさに玩具として完ぺきだったという話。
ただ本当にこのFIモンキーは凄いんですよ。
電子制御燃料噴射であるインジェクションにするということは単純に加圧ポンプを加えるだけでなく、計算して吹くための各種センサーや高度な演算をするECUが必要となる。
250や400ですら悲鳴を上げるこれらのスペース問題を、このモンキーは大きく見た目を変えることなくやってのけてるわけです。
触媒付きエキゾーストなんてこんな状態。
管長を取りつつ、ドレインボルトを避けつつ、モンキーらしいアップマフラーにするためにここまでやってる。
なんでここまでしたかと言えば
「モンキーらしさを守るため」
でしょう。
だからもうこのFIモンキーは玩具というより工芸品と言ったほうがいいかも知れない。
そんなFIモンキーも限定モデルが数多く出たのでご紹介。
2011年にはメッキのコンビネーションが冴えるブラックモンキー。
2012年にはCR110(カブレーシング)をイメージしたリミテッド。
2013年にはオシャレなチェッカー柄のブラックモンキー。
2014年には熊本生産されているということでくまモンバージョン。
2017年には初代を彷彿とさせるチェックの50thアニバーサリー。
そして最後の限定モデルとなるのが最初に造られた銀メッキモンキーを再現した50thスペシャル。
税別で40万円と更に高値となったのですが、ラストモンキーである事と限定500台である事から応募者殺到で倍率は90倍にまで暴騰しました。
Z50としてのモンキーはちょうど50周年を迎えたこのモデルで最後になります。
最後までとにかくモンキーらしさを追求し続けた50年でした。
主要諸元
全長/幅/高 | 1,365/600/850mm |
シート高 | 660mm |
車軸距離 | 895mm |
車体重量 | 68kg(装) |
燃料消費率 | 100km/L ※定地走行テスト |
燃料容量 | 4.3L |
エンジン | 空冷4ストローク SOHC2バルブ単気筒 |
総排気量 | 49cc |
最高出力 | 3.4ps/8500rpm |
最高トルク | 0.35kgf-m/5000rpm |
変速機 | 常時噛合式4速リターン |
タイヤサイズ | 前3.50-8 35J|後3.50-8 35J |
バッテリー | FTR4A-BS/YTR4A-BS |
プラグ ※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価 |
CR6~7HSA U20/U22FSR-U |
オイル容量 ※ゲージ確認を忘れずに |
全容量0.8L 交換時0.6L |
スプロケ | 前13|後31 |
チェーン | サイズ420|リンク74 |
車体価格 | 289,800円(税別) ※09年モデル |