「Redefining Total Performance」
フルモデルチェンジされ三代目となったGSX-R1000のK5とK6。
先に述べた通りスーパーバイク(市販車レース)における四気筒レギュレーションが750から1000に変わり、リッターSSがレースベースとなった事で2004年から各社とも競争が激化していました。
2004年を境に各社からそれまでのSSとは一線を画するモデルが次々と出てきたことは皆さんもご存知のことと思います。
そんな中で追われる立場だったGSX-R1000なんですが、まず見て分かるようにデザインが物凄く凝ったものに変更されました。プロジェクトリーダーの飯尾さん曰くこのモデルからデザインにも大きく予算を割くようになったからだとか。
ただK5/K6はそのデザインに負けずとも劣らないほど中身の改良も凄かった。
・ボアを0.4mm拡大し998cc化
・チタンバルブ化
・圧縮比を0.5アップ
・上記により164馬力から178馬力へアップ
・フレームを目の字から日の字にしてコンパクト化
・逆三角形チタンサイレンサーなどで2kg減の166kg
・スリッパークラッチの採用
などなど期待を裏切らない大幅な性能向上。
ただし先代に引き続きこのモデルも真の魅力というか真の凄さはそこではなくコンパクトな所にあります。
というのもこのモデルは
「数値以上に感じられる小ささをライダーに」
という考えのもと開発された経緯がある。
これがどういう事かというと、全体の寸法を小さくしたのはもちろんのこと、ステアリングを6mm手前に持ってくることでハンドルとシート(ライダー)に近づけるなど、跨ってみると明らかに数値以上の小ささに思える変更が行われているんです。
加えてべた褒めされたのがシート。
なんとただでさえ低かったシート高がさらに20mmも下げられて810mmになった。
しかも数値以上の小ささを実現させるため車体を極限までスリム化させシートも三角形に近いほど抉られてるから驚くほど足付きが良好。他のモデルなら片足がせいぜいな人でも両足がベッタリ付くほど。
これがK5/K6が好評というか今でも名前が上がるほどの評価を得た理由。
圧倒的な速さを持ちつつも車体は非常にコンパクトでハンドルも近く足付きも良い。
『最大パワーの最小リッターSS』
だった事が今でも名前が上がるほど物凄く評価されたんです。
ちなみに当時SS界ではセンターアップマフラーが流行っていたんですがスズキは採用せず右一本出しでした。
これはエンジン設計の山田さん曰く
「これが正論の形だったから(操安を取ったから)」
ヘッドライトに続きここでも正論を押し通した形。GSX-Rというバイクは正論のみで造られているSSという事ですね。
補足ですがK5/K6はフレームに関するリコールが行われています。
海外動画等でよく見るウイリーという行為をするとフレームにクラックが入るとの事。
フレームを軽くしすぎたのが原因ですが・・・ドッタンバッタンとウイリーするのが悪いのではなかろうか。
あまりにコンパクトで振り回せるサイズ感にした事が災いした形と言える。
主要諸元
全長/幅/高 | 2030/710/1130mm |
シート高 | 810mm |
車軸距離 | 1405mm |
車体重量 | 166kg(乾) |
燃料消費率 | – |
燃料容量 | 18.0L |
エンジン | 水冷4サイクルDOHC4気筒 |
総排気量 | 999cc |
最高出力 | 178ps/11000rpm |
最高トルク | 12.0kg-m/9000rpm |
変速機 | 常時噛合式6速リターン |
タイヤサイズ | 前120/70ZR17(58W) 後190/50ZR17(73W) |
バッテリー | YT12A-BS |
プラグ ※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価 |
CR9E または U27ESR-N |
推奨オイル | SAE 10W-40 |
オイル容量 ※ゲージ確認を忘れずに |
全容量3.6L 交換時3.0L フィルター交換時3.3L |
スプロケ | 前17|後42 |
チェーン | サイズ530|リンク110 |
車体価格 | 1,300,000円(税別) ※モトマップ価格 |