「揺るぎないコンセプトの、GSX-R」
遂にGSX-R750ベースを完全に脱した五代目のGSX-R1000/K9~L1型。
最大の変更点は完全専用設計となったエンジンで、主要三軸を三角形(メインシャフトを持ち上げる形)にすることで全長を更にコンパクト化。
これに同じく新設計フレームを合わせることでホイールベースを10mm短くしつつもスイングアームを33mmも延長させコーナリング性能を向上。
ちなみにマフラーは変わらずチタンの二本出しなんですが、5kgの軽量化に加えマスの集中化とバンク角の確保を更に突き詰めた事で湾曲化。
これ凄くお金がかかってるんだとか。
他にもメーカー最速でのBPF(ビッグピストンフォーク)採用と相変わらず出し惜しみの無い造りというか、750の方で書いた通りサプライヤーの熱が伝わってくる内容なんですが、少し厳しいことを言わせてもらうと当時は少し落胆する声が見られたもの事実。
というものGSX-R1000はこれまでずっと馬力トップを塗り替え続けてきた歴史があったから、現実味が出てきた200馬力超えをするのはスズキのGSX-R1000だと期待する人が非常に多かった。
しかし蓋を開けてみたら185馬力で据え置きだった事に落胆する人が居た・・・でもそうじゃない。
これだけは覚えておいて欲しいんですが、GSX-R1000のコンセプトは最高馬力をマークする事ではないんです。
GSX-R1000はそれまでGSX-R750から継がれたエンジンを改良し、それに合わせて車体を作る手法でした。
それが今回のフルモデルチェンジで遂にエンジンを新設計、つまりほぼ真っ白な状態から開発する事になった。
そうした時にスズキは
『どんな状況下でも走る、曲がる、止まるの基本性能No.1』
を掲げエンジンありきではなく車体全体のバランスを考えで新たに作り直し、トラクション性能やコーナリング性能やハンドリングなどが大幅に向上しました。
じゃあ合わせるように造られた完全新設計エンジンはどういう感じなのかといえば、相変わらずSSとしては異例のロングストロークなんです。
なんでって初代でも話しましたが、それこそがGSX-R1000の本当のコンセプトであり幅広い人に認めてもらえた部分でもあるから。
それをカタログスペック競争が最高潮に達していた時代にも関わらず全くブレずに貫き通した。
『揺るぎないコンセプト』
その言葉の真意はここにある。
主要諸元
全長/幅/高 | 2045/720/1130mm |
シート高 | 810mm |
車軸距離 | 1405mm |
車体重量 | 205kg(装) |
燃料消費率 | – |
燃料容量 | 17.5L |
エンジン | 水冷4サイクルDOHC4気筒 |
総排気量 | 998cc |
最高出力 | 185ps/11500rpm |
最高トルク | 11.9kg-m/10000rpm |
変速機 | 常時噛合式6速リターン |
タイヤサイズ | 前120/70ZR17(58W) 後190/50ZR17(73W) |
バッテリー | YT12A-BS |
プラグ ※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価 |
CR9EIA-9 または IU27D |
推奨オイル | SAE 10W-40 |
オイル容量 ※ゲージ確認を忘れずに |
全容量3.6L 交換時2.8L フィルター交換時3.3L |
スプロケ | 前17|後42 |
チェーン | サイズ530|リンク114 |
車体価格 | 1,500,000円(税別) ※モトマップ価格 |