何故か出なかった大きなモトコンポ

モトコンポ

「今にして思えばあれ良かった」

というバイクあるあるの典型的な原付であるモトコンポですが、ホンダ社内でもそう考える人が多いのか思想を受け継いだモデルはチラホラありました。

ラクーンコンポ

『ラクーンコンポ/ステップコンポ』

1998年と2001年に出たステップワゴンに積める折りたたみ式電動自転車で一応モトコンポの後継といえば後継。

ステップコンポ

『コンパクト&原付』から『ミニバン&電動自転車』になってる辺りに凄く時代の変化を感じますが残念ながら人気は出ず。

次に登場したのは少し経った2011年の東京モーターショーに出展されたEV原付のこれ。

モーターコンポ

『MOTOR COMPO』

コンセプトモデルですが何処からどう見てもモトコンポ。

縦置き

しかもなんと縦置きにも対応。

まあここらへんは有名なので知ってる人も多いかと思いますが、今回の主題であるモトコンポはこれらではなく別のモデル。

今回ご紹介するのは2010年に製作されたこのバイク。

ベンチコンポ

『BENCHBOX』

二輪史上もっとも大容量の60リットル以上という(スーツケースや登山バッグ並の)収納スペースを持つモデルで、ご覧の通りスタンドを掛ければベンチにもなる。外見から判断してパワーユニットは恐らくPCXがベースだから125ccでしょうか。

1960年に設立された本田技術研究所

このモデルは2010年に本田技術研究所(ホンダ製品の開発を行う所)の創設50周年を記念して開催された『G50』という新商品企画大会の作品で投票の結果グランプリに輝いたコンペ作品。※THE DREAM MAKERSより

ところが残念な事に上記写真の様にプロトタイプの製作までは行ったものの何故か商品化されなかった。

もったいないですね・・・って言うと

「いやまあコンペモデルだし」

と思われるかもしれませんが、これは本来なら市販化されてもおかしくないハズだった。そう言い切れる理由は四輪部門にあります。

このコンペ大会では四輪部門も併催されており

四輪部門グランプリ

『ゆるすぽ』

というコンセプトがグランプリに輝いたんですがこれ知ってる人も多いかと・・・そうです。

これを機に市販化計画がスタートし2014年に

S660

『S660』

として登場する事になった。

S660が誕生したのはこのG50が始まりで、それだけこのコンペ大会は市販車に直結していた。

にも関わらず同じく二輪部門でグランプリに選ばれた大きなモトコンポの方は何故か市販化されなかった。

荷物が全く積めない四輪モデルは市販化された一方で、もの凄く荷物が積める二輪モデルは市販されなかったという皮肉。

ベンチボックス

『積めて椅子にもなるバイク』

という発想の逆転のようなモトコンポの思想はもちろん、コンペが始まりという生い立ちまでも受け継いでいたベンチボックス。

人々の生活を豊かにする事が基本理念であるホンダらしい作品なのに・・・惜しい。

右側にある理由と左側にある理由

シンメトリー

バイクというのはシンメトリー(左右対称)に見えて実はアシンメトリー(左右非対称)に出来ています。

最も分かりやすいのがマフラーで、基本的にマフラーは右側にあるのが一般的ですよね。

これは騒音規制の測定時にチェーンなどが発するメカニカルノイズをなるべく拾わないようにするためと、マスの集中化やバンク角の確保のためにマフラーは出来るだけ車体に寄せたいから。

リアアームクリアランス

車体に寄せようとなった時に、チェーンやシャフトなどのドライブラインがあると車体に寄せられない。だからドライブラインとマフラーは左右に振り分けられる様になっている。

これは最終的に真ん中に出ているセンターアップマフラーでもそう。

センターアップマフラーのクリアランス

必ずと言っていいほどチェーンとは逆の右側を沿わせるよう設計されています。

ちなみに二本出しマフラーも一見シンメトリーに見えるけどよく見てみると・・・

二本出しマフラーのリアアームクリアランス

このように左右のクリアランスは同じではないので、シンメトリーに見せるため右側を少し離して付けていたりします。

でもこれでは説明不足かと。

「それなら左右反対でもいいのでは」

と思いますよね。

これは簡単な話で、バイクを押す時は左側から押すから。

左から押すのに左に熱いマフラーがあったら火傷する危険性が高まるし、何よりチェーンの比じゃない大きさだから身体を寄せないといけない押し引きの時に邪魔になる。だからマフラーが右側となっているんです。

自転車のチェーン位置

ちなみに似た形の自転車ではバイクを作っているヤマハですらチェーンはバイクと反対に右側が基本。

これは自転車にはマフラーが無く、邪魔になるのはチェーンだけだから。

話をバイクに戻すと、その弊害と言うべきか一本出しマフラーのカタログ写真はマフラーのある右側から撮ったものがほとんどです。

CB400SS

反対に左側から撮ったジャケット写真というのは意外と少ない。これは左側はマフラーが無いぶん絵的に寂しいから。

そしてこれはオーナーが撮る愛車の写真も同様の傾向があります。

アングル

大体こんな3パターン。

左側からのアングルはボリューム満点な二本出しマフラーじゃないとなかなかサマにならない。

二本出しマフラーのリアアングル

ただし実際は二本出しマフラーのオーナーですら、この左後ろ45度の十八番アングルではなく右側から撮った写真ばかりなのが現実。

その理由はこれまた左右非対称に付いている物・・・サイドスタンドが原因です。

サイドスタンド

サイドスタンドは必ずと言っていいほど左側についているので、停めると左に傾く。

そして左に傾いている物を左から綺麗に撮るのは難しい。反対に右側なら自然と胸を張っているように見えて綺麗に撮れるから、右側からばかり撮ってしまう。

これが次のお題。

ゼファー1100RS

「何故サイドスタンドは左側なのか」

という事。

左側通行だからと思っている人が居ますが違います。右側通行の国もサイドスタンドは左側にあるのが基本。

これには乗馬の歴史が関係しています。

乗馬

馬に乗る時はどの国でも左側から乗るように教わります。

これは乗馬の際に外側の手綱と馬を引き寄せる必要があり、当然ながら利き手で外側を引き寄せた方が引き寄せやすいから。

そして右利きの人が圧倒的に多いから左から乗るというのが常識となった。

これは

「右コーナーが苦手な理由|バイク豆知識」

でも話した軸足も関係しています。

鐙

右利きが多いということは軸足は左が多いとも言えるわけで、先ず足を入れて踏ん張る鐙(あぶみ)に軸足の左を入れ、利き足の右で大きく跨ぐのが跨ぎやすいから。

ただしこの左側から乗るスタイルは英国式と言われ、日本は右側から乗っていたとされています。

武士

これは絵巻物などから

「甲冑や刀の影響で平安時代からそうだった」

という説が有力なんですが、20年ほど前に姫塚古墳(千葉県)から発掘された馬型埴輪を復元したところ、右の鐙(あぶみ)の方が足を引っ掛けやすいように長くなっていた事から

馬型埴輪

「古墳時代から右乗りだった」

という説もある。

更に言うと文献で馬形埴輪の後部には女性が乗れる様に横向きの土台が付いていたとのこと・・・つまり

C100カタログ写真

”耳をすませば”などでも有名なこの嫁入りタンデムは古墳時代からあった文化だった可能性がある。

ただ明治に入り廃刀令が布告され、甲冑も刀も身に着けなくなった事から日本も左から乗るようになりました。

話をバイクに戻すと、要するにサイドスタンドが左側に付いていて左に傾くようになっているのは、乗馬の流れを受けているから。

TY50

これは断定出来るような物証が無いので、あくまでも説ですが現時点でこれより有力な説は出てきていません。

最後にもう一つ左右非対称なもの・・・それは右側に付いているリアブレーキペダルと、左側に付いているシフトペダル。

シンメトリーサイド

1940年頃まではシフトチェンジといえば車と同じように手でノブを操作するハンドシフトがメジャーでした。

しかし1950年代に入ると広く普及し始めた事でレースやスポーツが盛んになり、ハンドルから手を離す必要があるハンドシフトは危険な上にタイムロスになるという事でフットシフトに移行。

当然ながら前例がないので

「右シフト派のイギリス組vs左シフト派のドイツ組」

という形で二分化しました。

では一体どうして左シフトが主流になったのかというと、実はこれ日本メーカーの影響なんです。

日本メーカー

ホンダを筆頭に日本メーカーはイギリス式を模範としていたメグロを除き、左シフト&右リアブレーキを採用していた。

そしてレースで猛威を奮ったことで高性能の代名詞が英国車ではなく日本車に変わり人気が出た事と、模範されるようになった事から、左シフト派が圧倒的なシェアと支持を獲得し、右シフト派は廃れていったというわけ。

どうして日本メーカーが左シフト派だったのかについてはハッキリしていませんが

「左足を着くのに左足でブレーキをしていたら忙しくて危ないから」

という説が有力です。

「カブがそうだったから」

という説もあります。

最後に

左側通行

マフラーが乗り降りしない側にあるから火傷の恐れもない。

サイドスタンドで歩道側に傾いてくれるから安全に乗り降り出来る。

フットブレーキが右だから余裕を持って左足を付ける。

このように左右非対称になっている部分には理由があるわけですが、車のように右ハンドル左ハンドルといった作りわけが無いバイクは日本メーカーの成功もあって

カットモデル

「左側通行に便利な非対称構造をしている」

と言えるわけです。

ちなみにイギリス以外の欧州も昔は右側通行ではなく左側通行でした。

ではどうして左側通行から右側通行へ変わってしまったのかというと・・・

ナポレオン

「この人が左利きだったから」

と言われています。

アライヘルメットの商品名の意味

初代RX-7

今年で創立73周年を迎える日本を代表するヘルメットメーカーのアライ。

様々なヘルメットを作っていますが、主にオンロードバイク向け商品についてフラッグシップモデルのRX-7を始め

「何故そういう名前なのか」

ということを知っている人は自身も含め居ないのでは無いかと思い、アライさんに確認しました。結果は下記のとおりです。

※ただし記憶が曖昧な部分やその時のインスピレーションなどもあるとの事です。

RX-7

アライRX-7

R=当時のフラッグシップモデル

X=当時のフルフェイスモデル

7=帽体の窓加工治具の型番

※フラッグシップであると同時に1970年から続く最古株モデル

ラパイド(RAPIDE)

アライラパイド

フランス語のRapide(速い)が語源

XD

アライXD

開発コード名称をそのまま使用

SZ

アライSZ

S=スタイリッシュ

Z=ジェット型の社内モデルコード

VZ

アライVZ

V:Vシールド(VAS-Z)搭載の意味

Z:ジェット型の社内モデルコード

CT-Z

アライCZ

CT:クルーズツーリングの意味

Z:ジェット型の社内モデルコード

ASTRO(アストロ)

アライastro

英語で星または天体の意味・・・という単純な話ではないので最後に持ってきました。これを説明するにはアライの歴史から話さないといけないのでザックリですが説明。

アライはもともと新井唯一郎氏が営んでいた『新井帽子』という帽子屋が始まり。官公庁や軍事用の帽子や装備を作っている会社だったのですが、WW2敗戦と同時にその仕事も無くなり、代わりに建設用のヘルメット(日本初)を作り売ることを生業としていました。

そしてその息子である新井廣武氏も働いていたのですが、そんな彼が大好きだったのが他ならぬバイク。

しかしそれで終わらないのが流石というか

「この乗り物は転倒したら頭が危ないな」

と気づき、まだ義務化されていない時代だったにも関わらず自分の為にバイク用ヘルメットを作成。もちろん日本のバイク史では初の試み。

そしてその安全性を確認し、戦後復興で増えつつあったバイク乗りにも届けたいという思いから売り出したのがアライヘルメットの始まりになります。

アライastro

しかし今でこそプレミアムヘルメットメーカーの代表格であるアライですが、最初から世間に認められていたわけではなかった。

当時の一流ヘルメットメーカーといえばアメリカの『BELL』で、BELLのヘルメットが30,000円で売っていたのに対し、アライは8,000円程度。そのためか今では考えられない話ですが、アライのヘルメットにBELLのステッカーを貼っていたりする人が当たり前に居た。

「一体どうやったら認めてもらえるのか」

と考えた末、アライは1977年に渡米し、アメリカ最大のレース場であるデイトナなどに足を運び、レーサーに自社のヘルメットを使ってもらうよう契約の懇願をして回った。世界レースで使われればその性能と安全性を認めてもらえると考えたわけですね。

ところがよく知らないメーカーのヘルメットの話を聞いてくれるライダーなどそう居らず。当然と言えば当然な話なんです・・・が、ただ一人だけテッドプーディ(ted boody)という当時若干18歳のライダーがフィット感の良さと新井氏の情熱から契約。

アライとテッドプーディ

するとそのテッドプーディが翌1978年のAMAフラットダートレースにてプライベーターながらトップチェッカーという大金星を上げ

「あいつが被っているヘルメットは何処の物だ」

と話題となり、アライの名が世界に広まるキッカケとなったわけですが、そのレースがヒューストンにあるアストロドーム近接会場だった事から、アストロという名前の製品を作ったという話。

補足するとこのレースをキッカケにアライヘルメットを選ぶ国際レーサーが増え、アライもそれに応える製品を作り続けた事で結果となりレーサー御用達のプレミアムヘルメットメーカーへと駆け上がる事となりました。

アライのポリシー

ちなみに余談ですが、アライを有名するキッカケを作ったテッドプーディ氏は、その後ホンダのサイドワインダーことRS750Dの開発に関わる事となり、こちらでも多大な貢献をした歴史があったりします。

参照&ご協力:株式会社アライヘルメットhttp://www.tedboody.com

加速でリアは沈まない~アンチスクワット~

アンチスクワットとは

「アンチスクワット」

ライディングに詳しい方なら誰もが知る用語、一方で全く聞いたこと無い人や耳にしたことがあるくらいの人が大半かと思います。

検索しても力学を学んでいる人間じゃないと分からない様な解説ばかりですね。なのでココでは怒られそうなくらい簡単に自己解釈も交えて説明したいと思います。

二次旋回

アンチスクワットというのは文字通り、リアを潜り込ませない(スクワットさせない)為の技術で、コーナリングと密接に関係しています。

何故ならこれが上手く働くと速く確実に安定して曲がれるから。

速い人はみんな理屈であれ体感であれ知っています。

その前に(サイト内でも言っていますが)バイクはアクセルを開けて加速してもリアサスペンションは沈みません。あれはフロントフォークが伸びリアタイヤが潰れているんです。

加速しても沈まない

当たり前ですがバイクは後輪が地面を蹴って前に進みます。前に進むということは前に押す力が働いているという事。

しかしバイクの場合、車と違って後輪がそのまま車体を押しているわけではなくスイングアームを介してピボットというスイングアームの付け根を押しているのが基本です。

ピボットの場所

加速でリアサスが沈んでしまうということは前に押す力が上下の力としてサスペンションが吸収しているという事。これではちゃんと前に進まなくなってしまう。

じゃあ何故リアサスが沈まないのかというと見なくてはいけないのが

「ドライブ~ピボット~ドリブン」

の三点です。

アンチスクワット効果

アクセルを開けると

ドライブスプロケット(青)が回る

ドリブン(赤)をチェーンを介して回す

タイヤが回る

ピボット(緑)を前に押す

というわけですが注目して欲しいのは

アンチスクワットのズレ

『押す”赤”』と『押される”緑”』が直線上に並んでいないという事。

つまり押す力は真正面ではなくザックリ言ってこういう風に働くわけです。

力の向き

なぜアクセルを開けてもリアサスが沈まずフロントフォークが伸びるのか何となく分かると思います。

要するに頭を持ち上げようとする上方向への力が少し働くわけですね。

これが分かれば後は簡単。曲がる時も同じです。

アンチスクワットの効果

スイングアームが車体を押し上げようとする事から地面に押し付ける力(踏ん張ってトラクションが増す力)が働き、車体が安定し速く曲がれる。

アンチスクワットなので伸びるというより縮むのを抑えると言ったほうが正確でしょうか。

では逆にアンチスクワットが働かない場合はどういう場合かというとリア(赤)がピボット(緑)よりも沈んでいた場合。

押す方向に注目して下さい。

アンチスクワットにならない場合

力はこういう風に働くわけです。

押し上げる力ではなく押し下げる力になりスクワットさせる力が働く。アンチリフトですね。

こう描くと分かりやすいでしょうか。

アンチスクワットの例

フロントブレーキだけを掛けた状態でアクセルを開ければ”ピョコ”っとお尻が上がる感覚を体感できます。

目視したいならシャシダイナモ動画を見れば分かると思います。

ドライブ~ピボット~ドリブンが『への字』になる事で効果を発揮するアンチスクワットですが、この『への字』の角度(スイングアームのタレ角)が大きいほどアンチスクワット効果は強くなります。

アンチスクワットアングル

専門用語でアンチスクワットアングルと言います。

大昔のバイクはレーサーでも基本的にへの字にはなっておらず一直線上でした。まっすぐ前を押すほうが良いに決まってると考えていたから。

アンチスクワットストレート

でもそのかわりアンチスクワットが働かないからコーナーは本当に遅かった。

それがコーナーでもガンガン開けられるアンチスクワットレイアウト(初出はAGUSTAかな)の登場で変わっていったわけです。

今では排気量問わず大なり小なりアンチスクワット効果を狙ったレイアウトが当たり前。そこで欠かせない部品となったのが長いチェーンスライダー(紫)。

チェーンスライダー

スイングアームの付け根であるピボット(緑)を持ち上げて角度を付ける様になった為に、チェーン(チェーンライン)がスイングアームにゴリゴリ当たるようになったんですね。

チェーンの干渉

・・・ただし

「アンチスクワットが強いバイクほど速い」

というわけでも無いのがアンチスクワットの難しい所。

アンチスクワットの狙い

アクセルを開けてもアンチスクワット効果でリアサスは沈まずフロントが伸びると最初に言いましたが、これは言い換えるとアンチスクワットが効くとフロント接地が弱くなるんです。

アンチスクワット効果でトラクションが増しグイグイ押してくるリア、反比例するようにトラクションが薄まるフロント。

力の向き

結果としてアンチスクワットが働きすぎるとプッシュアンダー(前輪が逃げて膨らむ現象)を起こしやすくなる。アクセルに対する車体の反応が過敏になり過ぎる、簡単にギクシャクする等のデメリットもあります。

つまり

『良い塩梅のアンチスクワット』

でないといけないわけですが、まあそれが難しい話。何故なら伸び縮みするサスペンションと呼ばれる物が付いているから。

サスペンション

サスが伸び縮みするということはスイングアームも上下するわけなので当然アンチスクワットアングルも変わってくる。

・人が乗った時

・曲がる時

・ブレーキをかけた時

・アクセルを開けた時

などなど

中でも大きく影響する要素の一つとして人が乗った時。

体重差

人が乗るとリアサスが縮むわけですが体重が40kgの人と100kgの人では沈む量が違うのは当たり前。

「プリロードだけでも合わせましょう、スポーツ走行時は強めましょう」

というのはこのアンチスクワット(アンチスクワットアングル)の為でもあるわけです。

そしてもう一つは曲がる時で、これがアンチスクワットを非常に難解な物にしている原因。

リアサスはコーナーで沈みますが、この時の沈み込む量は

・速度

・バンク角

・R

・荷重

・スキル

・ジオメトリー

などなどなど本当に様々な要素で変わる。タイヤやチェーンの摩耗具合でも変わります。

つまりアンチスクワット効果(アングル)を一定に保つことは不可能なんですが、その変化を緩やかにしてアンチスクワットの効果を広く緩やかにする事は可能。

どうすればいいか・・・

スーパースポーツのレイアウト

「スイングアームを伸ばしてピボットとドリブンの長さを稼げばいい」

コーナリングスピード第一であるスーパースポーツなどがエンジンの全長を縮めつつ、ホイールベースを伸ばすこと無く可能な限りスイングアームを長く取るのはこれが狙い。

スイングアームの長さ

こうしてアンチスクワットアングルの変化を緩やかにし、広範囲で狙ったアンチスクワットを利用しているんです。

そのため一部のモデルでは更にピボット調節機能が付いていたりもします。

可変式ピボット

それだけピボットというのは重要な部分だということです。

バイクの車体というのはレバーやペダルといった保安部品を除くと稼働部はヘッドパイプとピボットだけですからね。

アンチスクワットについて漠然とでも理解できたでしょうか。

要するに

AMAレース

「アクセルを開ければアンチスクワット効果で更に曲がれる」

これを分かれば『立ち上がりだけ速い人』から『本当に速い人』への仲間入りをする日もそう遠くない・・・かも知れない。

まあ頭で理解するのと実際に出来るかは別ですからね、言うは易く行うは難しです。

エアバッグの効果は7パーセント

MotoGPのエアバッグ

ライダーが致命傷を負ってしまう原因はバイクと自分ではなく相手や路面構造物との”打撃”によるもので、自身の運動エネルギーがそのまま跳ね返ってくる形になるから致命傷を負ってしまう。

つまりその運動エネルギーを吸収させるものがライダーと物の間にあれば被害を低減出来る。そこで有効なのがエアバッグなんです・・・が、バイクは構造上なかなか難しくGOLDWINGなど一部の大型クルーザーなどだけに留まっているのが実情。

GL1800エアバッグ

その代わりに発展してきているのがウェアに内蔵するタイプの着るエアバッグで、バイクとピンで繋いでライダーがバイクから離れ外れると作動する仕組みのものや、最近ではジャイロや加速度センサーを内蔵したワイヤレスのものまで登場しています。

エアバッグ入りウェア

どうしてここにきて急にエアバッグの話をするのかというとレース界でも当たり前になりつつあるから。

MotoGPなど世界最高峰レースで既に採用されているのはご存知の方も多いかと思いますが、2020年からMFJ(国内正規レース全て)でも18歳未満のレーサーにはエアバッグが義務付けられるようになりました。

MotoGPのエアバッグ

理由はもちろん安全性を更に上げることが出来るからですね。

「でも実際エアバッグってどれくらいの効果があるの」

と疑問に思ってる人も多いかと・・・そこで参考になるであろうデータが

鈴鹿サーキットにおける安全対策と救急体制

という書誌のエアバックに関する項目。それによるとエアバックの有無による違いはこう。

エアバック作動別負傷部位発生率

エアバッグを装着し作動した人は『頭部、顔面、頸部、頚椎』を負傷する確率が7%下がっている。

顕著なのが頭部で、これは恐らく首を守るエアバッグによって構造物に直接頭をぶつける機会が減ったからではないかと思います。

7%というとそれほど大きくない印象をうけるかもしれませんが大事なのは部位で、胸部を含めた

『頭部、顔面、頸部、頚椎』

というエアバッグが軽減している箇所は致命傷となる原因の約9割を占める非常に大事な部位なんです。

つまりたった7%だけど

「エアバッグを装着すると致命傷を負う可能性が高い部位の負傷を半減させる」

とも言えるわけ。そう考えると決して低い数値ではないかと。

ちなみにこれはサーキット走行での話なので、ライダーは簡単に破れないプロテクター入りレザー素材に全身を包んだうえ胸部プロテクターと脊椎パッドの装着をしている。

レーシングギア

だからもっと言うとエアバッグは

「フル装備の人すら致命傷を負う確率を半減させる」

とも言える。

ストリートでの検証は残念ながら無いのですが、それを考慮したとしても効果的な安全装備ではないかと思います。

【長い余談】

もはや付けない理由は無いエアバッグですが、付けたくても厳しいのが現実かと。

「コストが高い」

っていう背に腹は考えられない問題があるからですね。

2020年時点で国内に流通しているメジャーなエアバッグウェアとしては

・DAINESE/D-Air

・Alpinestars/tech-Air

があります・・・が、エアバッグ付きジャケットなどは安くても20万円以上、レーシングスーツともなると30万円以上もする。

お金を持っている人はそれを買えば済む話ですが、そんな額をポンと出せるわけないのが正直な所かと。ただウェアメーカーもそこらへんを考えて最近では使い勝手やコスパを考慮した物を出し始めている。

そこで使い勝手が良さそうな物を幾つか紹介したいと思います。

【DAINESE SMART JACKET】

レーシングギア

こちらはダイネーゼのスマートジャケットというメッシュタイプのウェアで

・加速度センサー×3

・ジャイロセンサー×3

・GPS

を内蔵した無線型。

4時間のUSB充電により26時間の連続使用が可能。重量は1.8kgで保証は一年。

保護部位は『胸・背中・首』でプロテクション効果はバックプロテクターの7個分に相当するそう。

レーシングギア

このモデルの最大のメリットはインナーとしてはもちろんアウターとしても使えること。それこそスーツの上からでもイケるので普段遣いにはもってこい。

ただ別にステマと言うかセールスで書いてるわけではないので難点をあげると

・修理に工賃25,000円とエアバッグ代が必要
・海外製で在庫とアフターが不明瞭

などの問題点というか懸念点もある。

【Alpinestars Tech-Air5(日本国内は年内販売予定)】

テックエアー5

アルパインスターズは20万円ほどするエアバッグインナーと10万円ほどするそれに対応したアウターを購入する必要があったのですが、2020年に組み合わせ自由のインナーメッシュ型エアバッグとして出したのがこのテックエアー5。

・加速度センサー×3
・ジャイロセンサー×3

を内蔵している脊椎パッド付き無線型で、4時間のUSB充電により30時間の仕様が可能。

テックエアー5

保護部位は『背中・胸・肩・上腕部・わき腹』と非常に広範囲でプロテクション効果はバックプロテクター18個分に相当。

損傷がない場合2回まで連続使用が可能。重量については非公開なので不明なものの軽量化されているとの事。

難点としては

・タイトなジャケットはNG(胸部に5cmの隙間が必要)
・修理費が不明(旧モデルの修理費は500ユーロ)
・海外製で在庫とアフターが不明瞭

など。

ガッチリガードしたいって人向けですね。人気があるのか海外でも品切れ状態が続いている模様。

※注意点

ダイネーゼもアルパインスターズもこれらは公道用でサーキットなどの走行には非推奨。そっち方面で使うならRモデルを買ってくれという感じ。

もう一つは個人輸入や中古を選ぶと少し安く購入する事が可能ですが、原則として修理は受け付けてもらえませんので国内正規店で買いましょう。

>DAINESE D-Air公式

>Alpinestars Tech-Air公式

さて、2つほど使い勝手が良さそうなエアバッグウェアを紹介したんですが

「インナー/アウターで10万円か・・・」

と思ってしまうのが正直な感想かと。

コミネさん何とかしてくれと叫びたくなるんですが、そんな庶民派にオススメなのが無限電光が出しているhit-airというエアバッグ。

【無限電光 ヒットエアー】

レーシングギア

これは従来のウェアやスーツの上から着るというより付けるハーネスタイプ。

動作は車体と繋いだ線が抜けると作動する充電が要らないけど少し面倒に感じるかもしれない旧来のワイヤー式。

ワイヤー式エアバッグ

なんでこれが庶民派にオススメかというとズバリ安いから。

商品単体でも5万円前後(タイプによる)で、加えて嬉しいのが

「自分で修理する事が可能」

という点。

損傷が無い場合に限りますがエアバッグを畳んで1500円程度のガスボンベを再装着すればまた使えるというランニングコストのやすさ。

ヒットエアーのジョイント

コードは電話の受話器に付いてるような伸縮型で乗り降りで引っ張ってしまう程度では抜けないようになっているんですが、これなら万が一誤動作させても財布も痛くない。

MFJ(レース)に登録されているモデルもあるうえに白バイ隊員も付けてたりします。

難点としては

・ワイヤーの煩わしさ
・付け忘れがある
・見た目がゴツくなる

など。

無限電光 hit-air公式

最後に個人的な事を言わせてもらうと現時点(2020年時点)ではヒットエアーがベストとは言わないまでもベターじゃないかと思います。ツーリングやサーキットなど、長時間走行がメインでそれほど頻度が高くないライダーが”プラスαの”安全装備として使う分には許容範囲だと思うので検討されてみるのも良いかと。

ABSの普及が遅れた表と裏の理由

パワーフリー号

二輪へのABSまたはCBS(コンバインドブレーキ)の装着義務化(新型車については2018年10月から、既存車種については2021年10月から)が記憶にあたらしい人も多いと思います。
これは欧州との規制統一化の一環で欧州では2016年からABSが義務化されます。

欧州では126cc~はABS必須(CBS不可)なので、実質126cc以上はABSが装着されるものと思われます。

さて、ABSとは皆さんご存知アンチロック・ブレーキ・システムの略称でタイヤがロックするのを防いでくれる制御装置ですね。

飛行機

もともとは飛行機の為に開発されたのは有名な話です。

それが小型化&軽量化され精度が増したことで自動車にも積まれるようになり、遂には二輪にも積まれるようになったというわけです。

クルマもバイクもABS自体はどちらもアンチロック・ブレーキ・システムで仕組みは似たようなものです。

じゃあなんでクルマに比べバイクではABSの普及が遅れたのかというと

「クルマとバイクでは求められる役割も性能も違うから」

です。

四輪におけるABSの役割

クルマにおけるABSは最初に搭載した飛行機のABSと同じくタイヤロックにより

”ハンドルを奪われ衝突事故を起こしてしまうのを防ぐため”

にあります。

二輪におけるABSの役割

それに対しバイクはタイヤロックによる

”転倒を防ぐため”

です。

そんなの当たり前だと怒られそうですが、これが非常に難しい。

ABSが作動するということは
ロック

リリース

ロック

繰り返し

を機械が勝手に行うということ。

クルマは多少ガクガクした所でせいぜい車体が振られるくらいで問題にはなりませんがバイクの場合はどうでしょう。

自分の意図しない強いホッピングブレーキを掛けられてしまってはバランスを崩して転倒してしまいますよね。それじゃABSの意味が無い。

ブレーキレバー

更に言うならその挙動やレバーへのキックバックに驚いてブレーキを離してしまうと制動距離が伸びる事となり、かえって危険です。

二輪のABSは作動させてるライダーが気付かない程にクルマとは比較にならないほどスムーズなポンピングブレーキでなければならなかったんです。

もう一つ問題となったのはスペースと重さの問題。

ABSの歴史

ABSが出始めの頃はABSユニットだけで10kg近い重さが有りました。

しかし改良を重ね、高性能化、小型化、軽量化が進みスペースの無いバイクにも載せれるほどの重さとサイズになったんですね。

コンバインドABS

今では更に進化して前後連動制御や無段階制御のリニア制御など更なる進化を遂げてるわけです。

トラクションコントロールシステム(横滑り防止装置)もABS技術から生まれたものだったりします。

・・・さて表の理由はこのくらいでいいでしょうか。

ここからは裏の理由です。(長くなってスイマセン)

そもそもABSを一番最初に積んだのは名門のBMW社。

K100ABS

1987年に登場したK100が始まり。

その後、1994年にボッシュ社が二輪用ABSを開発&生産して以降、BMWはどんどんABSを搭載した車種を増やしていきました。

しかしそれに対し日本メーカーは皆さんご存知のように消極的で追従することはせず。

その理由は日本メーカーは大型のみのBMWと違い、原付からリッターオーバーまで揃えたフルラインナップメーカーだったからです。

何故フルラインナップだと追従出来ないのかというと

例えばアッパークラスの大型バイクに

「ABSは事故予防の必須装備ですよ!」

と謳って発売したとします。

そうすると

「必須装備ならなんで他のクラスのバイクには無いんだ!ユーザーの命をなんだと思ってるんだ!」

となり社会的責任(PL法)を追求される恐れがあったからなんです。

バイクは三ない運動などの歴史を見れば分かる通り、社会からの風当たりが強いのでメーカーもナーバスになっています。

だからABS義務化がここまで遅れたのも、126cc以上のバイクとなっているのも日本メーカーを筆頭としたフルラインナップメーカーへの配慮だったりするわけです。

アンチロック・ブレーキ・システム

しかしBOSCH社によると
「ABSによって生命に関わる事故が3/4に減少する」
という調査がある通りユーザーとしてはABS義務化は歓迎すべき事ですね。
まあ一番の恩恵は保険料が安くなる事だと思いますが。

BOSCHで思い出したんですが、ABSが義務化された事情にはABSユニットを作るある欧州の巨大メーカーからの強いロビー活動によるものも理由の一つと言われています・・・何処のメーカーかは言えませんが。

250もスーパースポーツ~SSの定義とジレンマ~

250スーパースポーツ

「250はスーパースポーツか否か」

という話題が後を立たずサイトへの問い合わせも頂くのでここらへんで豆知識というより客観的な考察と根拠を元に書いていきますが、最初に結論を書くと

「250はスーパースポーツ」

と言えるかと思います。

まずそもそも”スーパースポーツ”という言葉自体は1979年CB750Fなどにも使われていました。

CB750Fのカタログ

当時を知らない人からすると

「いやこれはネイキッドでしょ」

と思うでしょうが、これもAMA(全米レース)で活躍した立派なスーパースポーツ。

AMA/CB900F

CB400SFで見覚えのある人も多いますがそれの元ネタであるスペンサーカラーです。ちなみに横に写っているのはローソンレプリカの元ネタ。

もっと遡ると1952年のCB92でベンリィスーパースポーツ(通称ベンスパ)と名乗っていましたが、何れにせよスーパースポーツと呼ぶことに違和感を覚える人は多いかと。

では現在進行系の”スーパースポーツ”というカテゴリが確立したのがいつかといえば2004年頃。

スーパースポーツ

それまではレプリカとかアルティメットスポーツとか様々な言われようだったのがスーパースポーツに。

キッカケはWSB(ワールドスーパーバイク)を始めとした市販車レースのレギュレーションが750ccから1000ccになった事。

これは人気が高まっていた1000ccのスポーツバイクにあやかろうとした事が理由で、その狙いは見事に的中し人気が爆発しました。ちなみに600も同じです。

SSのサイクル

つまりスーパースポーツというのは

『人気クラス×レース準拠』

という定義が当て嵌まる。

実はこれ80年代後半に盛り上がりを見せたレーサーレプリカにも言えるんです。

250レプリカ

4st400ccや2st250ccにおいて次々に凄いマシンが登場し過激になっていった理由も実はレース。

これはまだローカルレースでしかなかった八耐などを国際レースに準拠(昇格)させる際に、ノービス(アマチュア)を排他する必要があったから。

そこで新たに鈴鹿四耐やTT-F3、他にもSS400やSP250などノービス(アマチュア)が主役の中型ローカルレースを別に設けたんです。

400レプリカ

中型というもともと身近で高い需要があるクラスだった事もあり人気急上昇。

そして競争が起こり、メーカーも応えた事でラインナップが充実した。

SSのサイクル

つまりレーサーレプリカも

『人気クラス×レース準拠』

という構図なんです・・・が、では何故

レプリカとスーパースポーツ

「レーサーレプリカとスーパースポーツは違う」

と言われるのかというと、出発点に違いがあるからです。

ホンダが分かりやすいんですが、ホンダのファクトリーレーサーといえばRCVですよね。

RCVとCBR1000RR

でもCBR1000RRは似ても似つかない姿形をしている。

これが何故かといえばCBR1000RRは出発点がCBR-RRという”公道を走る市販車”だから。

それに対してレーサーレプリカはWGP(現MotoGP)つまりファクトリーレーサーが出発点。

レプリカブーム

NSRという選ばれたレーサーしか乗れないメーカーのプロトタイプレーサーがあって、その流れを受けた市販車としてNSR250Rなどが出た。

【スーパースポーツ】

市販車→市販車レース

【レーサーレプリカ】

レーサー→市販車→市販車レース

両者の決定的な違いはここにあるわけです。

RCVとRC213V-S

だから逆に2190万円もするRC213V-SはRCVの公道版だからスーパースポーツじゃなくてレーサーレプリカと言える。

同じくスーパースポーツを代表するYZF-R1も近年ではYZR-M1を意識したモデルになりました。

R1とM1

つまりR1もレーサーレプリカと言えなくもない話。

何が言いたいかっていうとレーサーレプリカとスーパースポーツの境界線は結構曖昧なんです。なんだかスーパースポーツとレーサーレプリカの違いの説明になってしまいました。

それで本題の250クラス。

非常に盛り上がりを見せているクラスなんですが実はこれも

『人気クラス×レース準拠』

という図式が成り立っている。

『JP(Japan Production)250』

JP250

・二気筒250ccまで

・単気筒300ccまで

が条件で、年を追う毎に人気が高まっている登竜門的なMFJ公認レース。

これが一役買っている・・・と言いたいところなんですが、正直レーサーレプリカ時代のSP250/F等ほどの盛り上がりはない。

いま4st250を盛り上げているのは別のレースです。

『AP(Asia Production)250』

AP250

ほぼ同条件のアジアロードレース選手権。

名前の通り世界で一番重要な市場であるアジアのレースでその人気は凄まじいものがあります。

ちなみにラウンドには日本(鈴鹿)も含まれており日本人ライダーも活躍しているのですが、何が面白いってこの流れ80年代の日本と酷似している事。

ARRC

「腕に自信がある若者が上を目指して競い合い、多くの若者が固唾をのんで観戦する」

という80年代の日本そのままなんです。

アジアはいま正にそんなレーサーレプリカ時代の日本を追体験している状況で、またメーカーも80年代のように応えることで4st250が盛り上がり、その熱が日本まで届いているわけ。

250SS

つまり大型SSやレーサーレプリカと図式が一緒だから

「250もスーパースポーツになった」

と言えるんです。

250をスーパースポーツと言える要素はもう一つあります。

『スーパースポーツのジレンマ』

です。

先に紹介したレーサーレプリカや大型スーパースポーツの人気が長続きせずに終わってしまったのもこのジレンマのせい。

SBK2018王者

レプリカにしろスーパースポーツにしろレーサーという半身が人気に繋がっている以上、性能や戦績が人気に直結します。

そうなると当然ながらメーカーもどんどん本気になる。レースで自社のバイクを勝たせるために凄い市販車を作る、更にレースで勝つためにワークス参戦(メーカー直々に参戦)までする。

するとどうなるか・・・ユーザーがついて行けなくなるんです。

多額の開発費で性能と同時に車体価格が跳ね上がっていき、何から何まで上回っているワークスという番長の登場でレースの敷居も高くなる。

NSR250プライス

このせいで『価格弾力性』が無くなっていく。

要するにモデルチェンジに冷めてしまう、または購入を諦めて離れてしまうユーザーが増えてくるんですね。

そうなると当然ながら販売台数が落ちていき、好循環だったサイクルが一転して負のサイクルへとなってしまう。

負のサイクル

これはビッグスクーターなどブームが来たジャンル全てに当て嵌まるんですが、スペックやタイムといった目に見える数字勝負になるスポーツ系は特に直面する問題。

『性能を上げないと売れない』

『性能を上げると値上げになり売れない』

という板挟み、ジレンマに陥ってしまう。

SSのジレンマ

だからモデルチェンジされなくなり、やがてはレースも開かれなくなりカテゴリそのものが終わってしまう。

これは晩年のレーサーレプリカ、終わりかけの600SS、なんとかこらえてる1000SS全てに当てはまる。

250もスーパースポーツと言えるのは、これが当てはまる様になったから。

新旧Ninja250

一番最初に出たNinja250Rは50万円を切る車体価格でしたが今では60万円ほど。

新旧CBR250

ホンダも最初に出したCBR250Rは50万円を切る車体価格だったのが、本気を出して80万円弱もするCBR250RRを出した。

ヤマハのYZF-R25も価格を抑えたとはいえ倒立サスやLEDなどで8万円近く高くなった。

2019年式YZF-R25

こうしてどんどんインフレしていく。

でもこれは決してメーカーが悪いわけではなく本当にどうしようもない事。

「クラスで一番速い、一番スポーツなバイクが欲しい」

とユーザーが望むからです。

だからメーカーも高くなろうと一番凄いバイクを提供する事を止めることは出来ない。

そう言い切れる根拠なのがGSX250Rというバイク。

GSX250R

サーキットではなく公道での使い勝手と速さを重視したモデルなんですが、販売台数は先に出ていたライバル車にすら負けている。

これが何故かと言えば

「ライバル車より凄くない」

とサーキットを走るわけでもタイムを縮めたいわけでもないのにカタログスペック(最高馬力)で優劣を判断する人が多かったから。

GSX250Rのカタログ

市場がもう

『フルカウル250=スーパースポーツ』

としてしか見ていない事を如実に表している。これほどまでにカタログスペック(特に馬力)を判断材料にされるジャンルはスーパースポーツだけ。

もうこうなった以上はレーサーレプリカや大型SSと同じ様に

『250スーパースポーツ』

としてユーザーがついて行けなくなるまで性能も価格もインフレしていくしかない。

アジアロードレース

もちろんこのインフレのおかげで凄い250が買えるようになるわけなので悪いことでは無いですけどね。

以上が250がスーパースポーツと言える根拠。

これは歴史的に見た場合の話なので

「250はスーパースポーツじゃない」

と別の定義で否定されるのも分かりますが

「スーパースポーツの道を歩んでいる」

というのは紛れもない事実かと。

バイクの世界への巧みな誘い方

バイクの誘い方

バイク乗りにとってバイクというのはコレ以上の物は無いと言えるほど楽しい乗り物。

その溢れんばかりの熱中っぷりに、バイクに乗らない(興味がない)人へ魅力を力説して煙たがられるのをよく目にします。

「翼が生えた気になれる」

「四季を感じ取れる」

「魂が揺さぶられる」

等など、表現力が乏しいのに無理に例えようして何かの宗教勧誘の様に・・・経験がある人も多いでしょう。

乗ってみたら一発なんですが、車と違い簡単には試乗できないのが現実。

モンキー

このサイトを始めたキッカケもそうなんですが

「バイクの魅力を多くの人に分かってもらうにはどうすれば」

と常日頃考えていて様々な本や資料を読み漁り至った考えというか、巧みなバイクの誘い方を書いていきたいと思います。

まずバイク乗りの多くの方に理解してもらいたい事があります。

それはバイクに乗っていない人の多くにとってバイクというのは

バイクは危ない

「危ない乗り物」

という認識が圧倒的に占めているという事。

ヤマハの調査でも82.4%の人間が

「転倒が怖い」

と答えています。

マーケティングでロイヤリティ分布図というものがあります。簡単に言うと印象分布図。

自動車のロイヤリティ

多くの人に生活必需品として普及している車の場合はこう。ポジティブでもネガティブでもない人が大多数。

しかし市民権を得ていないバイクは全く違います。

バイクのロイヤリティ

車とは正反対でポジ/ネガ両極端で歪な形。

そして問題は私達バイクに乗るポジティブ側の人間がバイクに乗らない人を大きく勘違いしている事。

バイクのロイヤリティ分布図

アンケート結果からも分かるように、バイクに乗らない人の多くは±0ではなくマイナス側に居る。

この状況でどんなにバイクの魅力を伝えようとも

「でもバイクって転倒するし」

というネガが解決されるわけではないので通らない。

最近ホンダが倒れないバイクを出したのを覚えているでしょうか。東モ2017ではヤマハも出してきました。

自立型バイク

このバイクが世間を賑わすビッグニュースとなったのは我々ポジティブ層(バイク乗り)ではなく、圧倒的多数派のネガティブ層(非バイク乗り)が考える

「バイクは転倒するから危険」

というネガティブ要素を解消したバイクだったからです。

ネガティブトレール

ちなみに倒れない仕組みはトレール量をネガティブ側(マイナス側)にすることで起こる復元力で。

ネガティブにすることでネガティブ層にアピールという何とも面白い話。マイナス同士をかけるとプラスになるとは正にこの事ですね・・・はい、すいません。

ただまあ何年先の話になるか分からないので現代に話を戻します。

重ねて言いますが自発的にバイクに乗らない人というのは

“ポジティブ面を知らないわけでなくネガティブ面が勝っている”

です。

そんな人に使える有効な手段として考えられるのが

「ネガティブ要素も言う」

という手段。

【片面提示】と【二面提示】という交渉術があります。

片面提示というのはポジティブな事しか言わないこと。

両面提示はネガティブな事も言うこと。

交渉術

片面提示はポジティブ側に居る人(バイクでいえば乗る気満々の人)に使える交渉術。

しかしバイクに乗らない多くの人は”転倒”というネガティブ要素を知るネガティブ側の人間。

そういう人にネガティブな要素を一切言わずにポジティブな事だけ言っても信用されません。

しかし反対にネガティブな要素も言う二面提示をすると信頼性と説得力が増します。

アドバイス

注意点は

「ネガ要素を先に言う」

という点。

「バイクは楽しいけど危ないよ」

「バイクは危ないけど楽しいよ」

どちらが好印象かと言えば後者でしょう。

以上の事を踏まえた上でツイッターを例に挙げてみます。

ツイート例

例えばこういうツイートをしたら”いいね”は貰えるかもしれないけど、バイクへ興味を示してくれる人が居るかというと微妙な所。

ネガティブに触れていないからです。だから例えばこうする。

ツイート例2

いいねを貰える確率は下がるかもしれませんが、その代わり間違いなくバイクに乗らない人からの反応は上がる。

説得力が違うのが分かると思います。

更に極端な言い方をするとこう。

ツイート例3

バイクは危ないから乗らないという考えを逆手に取って

「お前らは止めとけ」

と我慢を強いるような印象を与えるわけです。

これは禁止されると興味を持ってしまう

【カリギュラ効果】

という心理現象を狙っての事。

ダチョウ倶楽部さんのネタである

「絶対に押すなよ!」

や、鶴の恩返しで覗くなと言われたのに覗いてしまった話と一緒。

鶴の恩返し

まあこれは少し極端で意地悪なのでオススメしません。

要するに多くのバイク乗りがバイクを勧めて煙たがられるのは、ポジティブ要素しか言わないから。

「ネガ要素を最初に言う」

これだけ守って下さい。ネガ要素を隠したり否定したりしない。

バンバン

「夏は暑くて冬は寒いけど、楽しい乗り物なんだよ」

というようにポジティブ面だけでなくネガティブ面も

“バイクを謳歌している自分から言う事”

これが大事。

駒ではなく仲間を増やしたスズキ ~マニュファクチャラー7連覇の栄光~

スズキレーシングチーム

スズキのロードレースにおける偉業というと鈴鹿8耐ヨシムラとのタッグによる番狂わせの優勝が有名ですが、一方で純レーサーで行われるWGPとなると今ひとつ語られないイメージ。

2015年にWGP(MotoGP)へ復帰し、2016年には初勝利を上げ2019年に至っては上位に食い込むなど大健闘をしているんですけどね。

スズキのWGP

当たり前ですがスズキもWGPでチャンピオンに輝いた事もマニュファクチャラータイトルを取ったこともあります。

若い方は

「スズキがWGPでブイブイ言わせてた時代がある」

なんて言っても信じられないでしょうから輝かしい功績と合わせてスズキのWGPにおける実績を交えつつ長々と。

まず何と言っても紹介しなければいけないのが50ccクラスで出場した伊藤光夫さん。

マン島TT王者伊藤さん

1963年にWGPの中でも特別な位置づけにあったマン島TTで日本人として初であり唯一の優勝された方。

この時のメーカーがご覧の通りスズキでした。※2019年7月3日逝去

そこからズズッと進んでバイクブーム時代だった80~90年代。

この頃を知る方ならスズキのWGPといえば

WGP歴代チャンピオン

「ケビン・シュワンツ」

と即答される方も多いかと思います。

当時を知らない人でも名前くらいは聞いたことがあるかと思いますがザックリ説明するとアメリカの方で、苦節八年デッドヒートの末にRGV-Γ500で並み居る強豪を抑え1993年にチャンピオンとなった苦労人です。

ケビン・シュワンツ

暴れるマシンを器用に乗りこなす姿から

「ロデオライディングのフライング・テキサン(テキサス人)」

と称され非常に人気がありました。

しかしながら実はこれらの時、伊藤さんの時もケビンの時もスズキはマニュファクチャラータイトルの獲得には至っていません。

バリー・シーン

これは2000年に同じくWGPチャンピオンとなったロバーツjrの時もそう。

理由としてスズキは二輪部門が小さいくせに赤字事業で金欠だから。お金がないからライダーやセカンドチームなど環境規模を大きくする事が出来ずポイントを稼ぐことが難しいんです。

では

「スズキはWGPでマニュファクチャラータイトルと取った事がないのか」

というとそんな事はなくこれまで7回も獲得しています・・・しかもその7回というのは7年連続で。

これがいつかというとケビン・シュワンツよりもう少し前の1976年の事。

バリー・シーン

『バリー・シーン』

というエースの活躍によって1976~1977年チャンピオンと同時にスズキもマニュファクチャラータイトルを獲得しました・・・が、それもここまで。

3年目となる1978年に思わぬ天才ライダーが黒船のごとく現れます。

ケニーロバーツ

『ケニー・ロバーツ』

こちらも名前くらいは聞いたことがある人は多いでしょう。

ハングオンまたはハングオフという膝を出して曲がっているスタイルとイエローストロボ(インターカラー)を世界に広めた伝説のライダー。それまでの常識を覆すような神がかり的な速さで1978年から三連覇を達成しました。

その時のレース結果がこう。

1976年から1980年

優勝はケニー・ロバーツ・・・だけどもマニュファクチャラーはスズキ。

「どうしてスズキがマニュファクチャラーを死守できたのか」

という話ですが、この頃のWGPはホンダがNRとかいう斜め上な挑戦をしていた事もあり実質的にヤマハとスズキの一騎打ち状態で、例として1979年の年間リザルトをあげるとこういう結果でした。

1位ケニー 113pt
2位バージニオ  89pt
3位バリー 87pt
4位ウィル 66pt
5位フランコ 51pt
6位ボート 50pt
7位ジャック 36pt
8位ランディ 29pt
9位フィリップ 29pt
10位トム 28pt

ここで注目してほしいのはケニーではなく2位以下・・・実はこれ全てスズキなんです。

1979年のWGPリザルト

怒涛のスズキラッシュ。

だからマニュファクチャラーのリザルトはこう。

1位スズキ165pt
2位ヤマハ138pt
3位モルビデリ2pt

優勝はヤマハのケニー・ロバーツだけどマニュファクチャラーは逆転してスズキ。

こうしてスズキはマニュファクチャラーの連覇を達成する事が出来た。

1979年のWGP500シルバーストン

金欠のスズキが何故これほどのエントリーを設けられたのかというと、これはスズキが設けたわけではないんです。

「メーカー直系ではないプライベーターの多くがスズキを選んだから」

なんです。

というのもスズキはYZR500という怪物マシンを投入してきたヤマハに対抗するため

XR14

『RG500/XR14(eXperimental Racer)』

というファクトリーマシンを製作し1974年から挑んでいました。

しかしその一方でWGPで初のチャンピオンとなった1976年に

『RG500-1』

という瓜二つながら別の名のレーサーも製作。

RG500-I

これはファクトリーマシンRG500/XR14と一部の部品を除いてほぼ全て同じといえるレーサーレプリカならぬファクトリーレプリカ。

スズキはなんとこれを300万円という破格の値段で売ったんです。

何千万円と開発費が掛かっているレーサーと寸法までほぼ同じマシンを300万円で販売なんてスズキとしてはもちろん大赤字だし、こんなものを売ったらワークスを脅かす存在にもなる。

一体全体どうしてこんな事をしたのかというと

「ワークス(自分達)だけでなく共に戦ってくれる仲間を作ろう」

という方針転換をしたから。

それまで市販車ベースの改造車がメインだったプライベーターにとって巨大メーカーが手掛けた最速マシンが破格で手に入るなんて夢のような話。

RG500-II

しかも毎年ちゃんと改良される上にスズキのメカニックサポート付きなもんだから何処のチームもこの市販レーサーRG500を買い求めた。

その結果パーツの融通やセッティングのノウハウなどを共有するチームの垣根を超えた巨大なRG500ファミリーが完成しWGPがスズキ一色に。

そしてスズキの思惑通りワークスがダメな時もプライベーターが代わりに勝利を上げてくれた事でマニュファクチャラータイトルを死守する事が出来たというわけ。

実質RG500一択だった状況の結果こういう珍事も起こりました。

RG500-II

マシンはスズキのRG500なのにツナギはイエローストロボのインターカラー・・・。

これはUSヤマハに所属しWGP250で戦っていた

『ランディ・マモラ』

という選手が途中で契約解消となった際、市販ファクトリーのRG500で参戦していたプライベーターの席が急遽空いて飛び乗ったから。

そうしたら19歳ながらケニーの前に出るわ表彰台で2位を獲得するわの大活躍で

「アイツは何者だ」

と話題になり翌年からはスズキワークスと契約。

スズキワークス ランディ

その後もWGPで活躍という正にシンデレラストーリーとなったわけなんですが、これもスズキがRG500というとんでもないファクトリーレーサーを売ってプライベーターを活気づけたから出来たこと。

もちろんスズキもライダースタイトルを諦めたわけではなく晩年の1981年と82年には再びワークスで挑み見事にリベンジ。

1976年から1982年

この要因の一つとしては再び勝つために大きく生まれ変わった新型ファクトリーマシンの投入があったから。

その名も・・・

XR35

『1981 RGΓ/XR35』

そう、皆さんご存知ガンマの始まりはここになります。

XR45

『1982 RGΓ/XR45』

スズキはこのRGΓによってリベンジ&二連覇に成功しワークス撤退となりました。

つまりスズキのマニュファクチャラータイトル連覇は本当なら2連覇で止まるハズだった。

それを7連覇まで伸ばすことが出来たのはワークスだけでなくプライベーターも一緒になって戦ったから。

1980WGP

「駒ではなく仲間を増やす」

という異例の戦略を取ったから成し得た偉業なんです。

スズキとカワサキが共同開発したバイクがある

スズキとカワサキ

国内オートバイメーカーの三位と四位、とはいうもののアジア市場での出遅れもありホンダとヤマハにだいぶ差を付けられているスズキとカワサキ。

そんな二社が手を取り合って作ったバイクがあります。イプシロンとかGSX250FXとかOEMの話じゃありませんよ。

経緯から話しましょう。

スズキとカワサキは目の上の瘤であるホンダとヤマハの物量に対抗すべく2001年に業務提携をしました。

スズキからはスカイウェイブ250(イプシロン250)、アヴェニス150(イプシロン150)、DR-Z125(KLX125)が供給。

スズキOEMバイク

それに対してカワサキからはバリオス2(GSX250FX)、D-TRACKER250(250SB)、KX65(RM65)などが供給。

カワサキOEMバイク

GSXとFXが夢のコラボと話題に・・・なりませんでしたね。

これはまあ要するに新しく作るより横流しした方が作る方も分母が増えるからコスト削減になるし、売る方もリスクを負わずに利益が簡単に出るからwin-winなわけです。最近の軽自動車なんてコレですよね。

結局ATVなども含めるとスズキからは9機種23000台、カワサキからは7機種7000台が供給されました。ちなみにエプシロンやGSX250FXや250SBは日本のみ。

外国では売ってないので、外人からするとビックリかもしれませんがみなさんはご存知かと思います。が、これらはOEMという横流しで共同開発とは呼べません。

しかし並行してこのOEM提携とは別にスズキとカワサキは更に一歩進んで共同開発に乗り出し合作バイクを2004年に出した事は意外と知られていないです。

スズキとカワサキが共同で作ったバイクはこれ。

RM-Z250|KX250F -Since 2004-

RM-Z250とKX250F

モトクロッサーRM-Z250とKX250F。日本ではニッチなカテゴリなので知らない人が多いのも無理はないです。

スズキとカワサキ初の合作で製造はカワサキ。しかもこのモデルはただ一緒に作っただけではなく、国内レースに投入し更なる共同開発&改良を推進していくモデル・・・のハズだったんですが、スズキは三年後の2006年、カワサキに至ってはもっと短い2005年でこのモデルは打ち切りとなり、同年には2007年をもって両社の提携解消が決まりました。

2004年モデル

スズキ曰く

「十分な提携効果が得られず、競争環境も厳しくなった」

という事なんですが、それにしたって提携解消を待たずに打ち切ってるあたり、RM-Z250&KX250Fの共同開発でも一波乱あったのかもしれません。

製造がカワサキな事からカワサキ版KX250Fの方が1000円安い価格設定になっていた事にケチなスズキが腹を立てたのか、それとも唯我独尊なカワサキには二人三脚は難しかったのか。

2016年モデル

まあ真意は分かりませんがクセ者とクセ者が手を取り合うというのは難しいという事ですね。結局両社は自分たちだけで作った新しいモトクロッサーを展開させていく事となりました。

スズキとカワサキ

まあでもスズキとカワサキは仲睦まじい関係というよりも良きライバル関係の方がシックリ来るからこれで良かったのかもしれませんね。