「ヒューマンフィッティング」
三代目CBR1000FのSC31。
1990年に750cc上限が解除された事もありこのモデルから国内仕様も用意されるようになりました。
大きな変更点はコンビブレーキD-CBS(Dual Combined Brake System)の採用です。
前後どちらかのブレーキを掛けると、掛けていない方のブレーキ(前を効かせると後にも、後を効かせると前にも)ブレーキを効かせる機能。
仕組みとしてはリアブレーキはブレーキラインが途中から二つに別れ、一方がフロント(フロントキャリパーの真ん中のピストン)に繋がっている。だからリアブレーキを踏むとフロントブレーキも少し掛かるというわけ。
そしてフロントはちょっとややこしくて、フロントブレーキレバーを握るとまずフロントブレーキが掛かります。そしてブレーキが効いてくると左側のキャリパーの上にリンクを介して付いているメカニカルサーボ機能(もう一つのマスターシリンダーの様な物)を押す。
するとそれが再び液圧を発生させてリアブレーキキャリパーを押すというわけ。
この機能は後のブラバやVFR、更にはスクーターのリードに至るまで色んなバイクに採用されていくようになるわけですが、勝手に前後のブレーキが掛けられる事から余計なお世話だと思う人も多かったですね。
ホンダが何をしたかったのかというと、最大の狙いは理想的な前・後制動力配分をする事で制動力を上げること。そして余り知られていませんが転倒防止の狙いもあります。
というのもコンビブレーキは限界を越えたブレーキやパニックブレーキを起こした際にリアからロックするように調整されています。
つまりフロントのロックによる転倒を防ぐため。そう考えると一概に余計な機能とは言えなくもないかと。
さて、この頃はZZR1100という147馬力の怪物が登場し巷を賑わせていました。
そんな中で国内規制に合わせた93馬力・・・逆車でも135馬力なCBR1000Fでは人気が出ないのも無理ない話。国内仕様が出る前も並列輸入されていたから特段新鮮味があったわけでもなかったですから。
ただまあ良い方に捉えると、最初から最後までスポーツツアラーとしてモデルチェンジしようともブレること無く貫いたバイクでもあります。
CBR-Fシリーズには600もあったわけですが、アッチは年を追う毎にレース需要が出てきたことから初期コンセプトからどんどん離れてスポーツ寄りに変わっていきました。その結果がF4iでありそれが成功したわけですが開発者は初期コンセプトから離れていく事に戸惑っていたそうです。
一方でこの1000はレースとは全く関係ない世界(当時はナナハン)に居たから最後までFコンセプトのスポーツツアラーに徹したまま。
そのおかげか後継のCBR1100XXが発売された後も特性の違う別のバイクで被らないという事から日欧では数年併売されていました。
主要諸元
全長/幅/高 | 2235/740/1215mm |
シート高 | 780mm |
車軸距離 | 1490mm |
車体重量 | 271kg(装) |
燃料消費率 | 22.0km/L ※定地走行テスト値 |
燃料容量 | 22L |
エンジン | 水冷4サイクルDOHC4気筒 |
総排気量 | 998cc |
最高出力 | 93ps/9000rpm [135ps/9500rpm] |
最高トルク | 8.7kg-m/6000prm [1.5kg-m/8000rpm] |
変速機 | 常時噛合式6速リターン |
タイヤサイズ | 前120/70R17(58V) 後170/60R17(72V) |
バッテリー | FB14L-B2 |
プラグ ※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価 |
DPR8EA-9 |
推奨オイル | – |
オイル容量 ※ゲージ確認を忘れずに |
全容量4.5L 交換時3.6L フィルター交換時3.8L |
スプロケ | 前17|後41 |
チェーン | サイズ530|リンク数120 |
車体価格 | 950,000円 ※[]内はEU仕様 |