「the perfect blend」
発売から三年が経った頃マイナーチェンジを行ったSC35の中期モデル。
・ラムエアの吸気口のメッシュ形状の変更
・HISS(イモビライザー)の採用
・タンク容量+2L
・ラジエーターレイアウト変更
・マフラー変更
・テールライトの変更
などなど結構色々変わっています。
ただ一番大きいのはやはりFIの採用とセッティングの見直しで、中低速でのトルクに厚みを持たせつつアクセルレスポンスをより柔らかくした事でしょうね。
少し中身の話をするとCBR1100XXはCBR900RRを模範にしたと言われています。
ツインスパーフレームや前傾が強くなったエンジンなどカウルを剥くとRRに非常に近いことがわかります。
フューチャー10を実現させる為に軽量化やハンドリングにも拘って設計していく上で、900RRにて培われた技術を貪欲に取り入れた結果だそうです。
「じゃあ900RRの1100版なのか」
というとそれはまた別になる。
分かりやすいのが先にも挙げたエンジンのバランサー。
バランサーというのはエンジンが生む振動を消すためにあるんですが、直四の場合はこれが一本だと完全には消せず完全に消すには二本のバランサーが必要になります。
だからCBR1100XXはホンダとしては初となる二軸(二本)バランサーを装着しました・・・が凄いのは単に二軸バランサーを入れている事ではない。
凄いのは
「二軸バランサーを入れつつも”敢えて”バランスを少し崩した」
という事です。
何故そのような事をしたのかというと、理由は2つあります。
エンジンにバランサーを入れるということはエンジン内部の部品や構造が複雑になる。複雑になるということは信頼性や耐久性に問題が出てくる。実際に試作機では満足がいく耐久性を出せなかった。
しかし信頼性や耐久性を犠牲にするのは最高性能ではないとして、それまで進めていたエンジンを全て破棄。一から強度・限界値を最も高く出来るレイアウトのエンジンを再設計。
その際にバランサーを少しズラす事になったんです。つまり耐久性を持たせるために敢えてズラしている。
そしてもう一つがフューチャー10にも上げられてる
『上質な振動』
です。
これどういう事かというと、バランサーで振動を完全に消したエンジンを試作した所あまりにもジェントルすぎたから。かといってバランサーを入れないとガサツさという雑味が生まれる。
そこで耐久性を取るために生じたズレを活用し不快に感じない心地よく高揚できる程度の縦の振動だけを残すようにした。
「今までにない最高性能」
というのは数値だけでなくこういった部分にまで至っているということです。
【余談】
スペックのみならず耐久性や限界値まで徹底して作られたエンジンだった為か、これをベースにホンダがターボ化したエンジンを作っていたのをご存知でしょうか。
「AquaTrax F-12 -Since2002-」
いわゆる水上オートバイといわれるやつで、ストロークを5mm伸ばし1235ccとしたエンジンにIHIのターボチャージャーを積んだモデル。
この頃の水上オートバイはまだまだ2stが主流だったようですが、水上でも打倒2stなんですね。
主要諸元
全長/幅/高 | 2160/720/1170mm |
シート高 | 810mm |
車軸距離 | 1485mm |
車体重量 | 255kg(装) |
燃料消費率 | – |
燃料容量 | 24L |
エンジン | 水冷4サイクルDOHC4気筒 |
総排気量 | 1137cc |
最高出力 | 164ps/9500rpm |
最高トルク | 13.0kg-m/7500rpm |
変速機 | 常時噛合式6速リターン |
タイヤサイズ | 前120/70ZR17(58W) 後180/55ZR17(73W) |
バッテリー | FTX12-BS |
プラグ ※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価 |
CR8EHVX-9 |
推奨オイル | Honda純正ウルトラG1(10W-30) |
オイル容量 ※ゲージ確認を忘れずに |
全容量4.6L 交換時3.8L フィルター交換時3.9L |
スプロケ | 前17|後44 |
チェーン | サイズ530|リンク110 |
車体価格 | – ※国内正規販売なしのため |