CBR1100XX(SC35後期)-since 2001-

SC35後期

「High-End Super Sports」

強化された排ガス規制に対応するため馬力を152馬力に落とされた最終型のCBR1100XX/SC35後期モデル。

その分リアウィンカーの形状やデジタルメーターへ変更などで質感をアップさせています。

デジタルメーター

そしてもう一つ大きな変更点がこのモデルから国内仕様が追加された事。

100馬力&180km/hリミッターが付いていますが、遮蔽板とマフラーを変えてECUをゴニョゴニョするとセミフルパワー化。

セミというのはカム形状(プロフィール)が国内と輸出仕様で違うというお約束があるから。

CBR1100XX前後

CBR1100XXは2002年にレスポンス改良という年次改良をしたのを最後に2007年の排ガス規制をもって生産終了となりました。

よくよく考えるとリッターオーバーのCBRって後にも先にもこのCBR1100XXだけなんですよね。

ブラバの愛称で親しまれ、いわゆるメガスポ黄金期の一台として今でも再販や後継を望む声は少なくありません・・・が、まあ出ないでしょう。

というのもCBRシリーズのトップを張っているCBR1000RRは”レースでも使う車両”という言い訳が立つ。しかしレースに使えるわけでもないのにレース車両よりもパワーのあるCBR1100XXというのは一般社会から見て良いものには映らないから。

ホンダは業界最大手として社会的責任を過剰なほど持っている非常に厳しいメーカーですから。

国内仕様カタログ

そもそも後継云々の前に、まずホンダからこんなバイクが出たことが奇跡なんですけどね。

これまでホンダから出たとモンスターバイクといえばRC30/RC45/RC51やNR750、RC213V-Sなどレースで使う車両か高額なコレクション的な物しかなかった。

それに対してCBR1100XXは大型バイクとしては常識的な価格(税別110万円)で誰もが買おうと思えば買えるスーパーなバイク。

どうしてこんなバイクが許されたのかと言えば間違いなく開発責任者でありホンダを支え続けた山中さんだったから。そしてそんな山中さんのエンジニアとして最後の仕事、最後の華だったからでしょう。

CBR1100XXコンセプトスケッチ

納得のいくバイクが出来ないと二度もプロジェクトをやり直し、発表時期の大幅な遅れが許されたのも山中さんだったから。

「誰もが買える価格帯」

という取り決めも山中さんの強い意向によるものです。

スーパーブラックバードカタログ

数々の名車を生み出してきた山中さんにとってCBR1100XXがどれだけ強い思いで作られたかが分かる部分があります。

山中さんはCBR1100XXを造られた後に、カブのスイッチを作っていた浜松製作所に戻られ定年退職されました。そしてその後は浜松でバイクカフェをオープンされたのですが、そのカフェの名が・・・

コーヒー ブラックバード

「コーヒー・ブラックバード(http://blackbird147.blog.fc2.com/)」

名前の由来はもちろん最後に開発されたバイクCBR1100XX SUPER BLACKBIRDから。

美味しいコーヒーと共にバイクの深い話も出来るのでバイクライダーの方も大歓迎との事です。大人数で行かれる際はご迷惑にならないように注意してください。

以下は備忘録

Q1. CBR1100XX SUPER BLACKBIRDのコンセプトは?

A1. とにかく楽しいバイクに仕上げることが目標だった。250km/hで風景を楽しむことを念頭に開発した。

Q2. ZZR1100はやはりライバルだった?

A2. 簡潔に答えると「Yes」。ブラバのコンセプトに一番近いバイクがZZR1100だった。ZZR1100が持つネガな部分を徹底的に排除したバイクが理想だった。

Q3. ブラックバード開発で一番苦労した点は?

A3.とにかく軽量化が一番難しかった。特に2軸バランサーによる重量増加の解消が難しかった。しかしZZR1100は振動がネックとなっていたため、2軸バランサーの採用は絶対に外せなかった。

Q4. GSX1300R HAYABUSAが発表された時どう思ったか?

A4. 特に対抗意識は持たなかった。自分の開発したバイクこそ最高のバイクだと確信していた。

Q5. ご自身が携わり続けたV4の可能性はあったか?

A5. 簡潔に答えると「No」。CBR1000Fの後継機としての開発がスタートのため直列4気筒がベースとなった。結局ほとんどを作り直す羽目にはなったが。

Q6. 後継機は開発したかった?

A6. 簡潔に答えると「Yes」。しかし理想のバイクのさらに上を行くバイクの開発はかなりの手探りになったと思う。

主要諸元
全長/幅/高 2160/720/1200mm
シート高 810mm
車軸距離 1490mm
車体重量 256kg(装)
燃料消費率 21.0km/L
※定地走行テスト値
燃料容量 24L
エンジン 水冷4サイクルDOHC4気筒
総排気量 1137cc
最高出力 100ps/8500rpm
[164ps/9500rpm]
最高トルク 10.0kg-m/6500rpm
[12.1kg-m/7500rpm]
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前120/70ZR17(58W)
後180/55ZR17(73W)
バッテリー FTZ12S
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
IMR9C-9H
推奨オイル Honda純正ウルトラG1(10W-30)
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量4.6L
交換時3.8L
フィルター交換時3.9L
スプロケ 前17|後44
チェーン サイズ530|リンク110
車体価格 1,100,000円(税別)
系譜図
SC211987年
CBR1000F
(SC21)
sc241989年
CBR1000F
(SC24)
sc311993年
CBR1000F
(SC31)
sc351996年
CBR1100XX
(SC35前期)
sc35-21999年
CBR1100XX
(SC35中期)
X111999年
X11
(SC42)
sc35-32001年
CBR1100XX
(SC35後期)

【関連車種】
FJR1300の系譜HAYABUSAの系譜ZX-14R/GTRの系譜

X11(SC42)-since 1999-

X11

「次世代ネイキッド」

CBR1100XXが二代目にモデルチェンジしたのを機に発売されたX11/SC45型。

不人気だったので知られていないのですが、一部の国では『X11 CB1100SF』という名前で2002年まで販売されていた一方で国内では限定車(限定1000台)でした。

ホンダX11

ちなみに闘牛がイメージでプロジェクトリーダーは原さん、デザイナーは伴さんでした。

『X4/SC38』『CB1300SF/SC40』と同じですね。

そもそも何故ブラバをネイキッド化しようと思ったのかと言うとブラバを造った山中さんに理由があるかと思います。

X11デザイン案

というのも山中さんはブラバを造る際にボルト一本、パイピング一本に至るまで徹底的にこだわったから。

カウルを取っ払っても恥ずかしくないディティールを持っていたからX11という企画が誕生したんじゃないかと。

「じゃあそのサイドシュラウドは何だ」

と突っ込まれそうですが、これはツインチューブフレーム特有のエンジンハンガーを隠すため。

X11サイドシュラウド

もちろんそれだけではなくラジエーターガードやスポイラーとしての役割も担っています。

サイドシュラウドが目立つのでついついコレばっかりに目が行きがちなんですが、X11は実は単純にブラバのカウルを取ってアップライトなポジションにしただけではなく中身も大きく変更されています。

先ず一点目は何といってもメインフレーム。

CBR1100XXとX11

X11はCBR929RRやVTR1000Fでホンダが推していたフレームの下半分が無いピボットレスフレームにされた・・・かと思いきやそうではなくセンターピボットフレームと呼ばれる聞き慣れないフレームになっています。

スイングアームを挟むわけでも、スイングアームをエンジンに直接付けるわけでもなく、スイングアームでフレームを挟む形。

X11フレーム

前半分はツインチューブフレームなんだけど後ろ半分はバックボーンフレームというハイブリットなフレーム。

トラスフレームでピボット周りの剛性を上げるために使われる事は良くあるんだけど、過多気味なアルミツインチューブの剛性を落とすために取り入れたバイクなんてコレくらいではなかろうか。

X11ディティール

見た目は完全にピボットレスなのがまた面白い。

ちなみにこれの狙いは下半分の剛性を敢えて落とし捻れやすくする事でストリートにおける手応え感を出すため。

でもX11がブラバと違う所はまだあります・・・なんとエンジンも違うんです。

X11エンジン

バルブタイミングやマッピングの変更で低中速重視にセッティングされた上に5速化されているんですが、本当に驚きなのはそんな些細な事ではない。

これ先に紹介した二軸バランサーを一本抜いてるんです。つまり一軸バランサーエンジン。

X11壁紙

苦労して入れた二本バランサーの一本取るという何とも勿体無い気がするわけですが、もちろんこれも敢えてやっていること。

先代で話したと思いますがバランサーを完全な位置ではなく少しズラして決してジェントル過ぎない絶妙な振動を残していたのに、そこから一本抜くと当然ながら振動が大きくなる。

SC42

だからX11というのは端から見ると軽やかに走る様に見えるけど実際はそうでもない。

排気量が排気量なだけあって直四らしい回すほどビリビリ来る感覚をライダーに遠慮なく伝えてくる。

それに加えて

『低中速から蹴り飛ばしてくるパワーの感覚』

『クビレた腰のようなフレームによる捻れの感覚』

も伝えてくるんだからエキサイトメントこの上ないビッグネイキッド。

X11カタログ写真

端的にいうならシート高795mmとカウルレスも相まって乗り手に容赦ない正に『闘牛』と言えるモデルでした。

主要諸元
全長/幅/高 2145/750/1115mm
シート高 795mm
車軸距離 1510mm
車体重量 253kg(装)
燃料消費率 22km/L
※定地走行テスト値
燃料容量 22L
エンジン 水冷4サイクルDOHC4気筒
総排気量 1137cc
最高出力 100ps/8500rpm
[135.8ps/8500rpm]
最高トルク 10.0kg-m/6500rpm
[11.8kg-m/6500rpm]
変速機 常時噛合式5速リターン
タイヤサイズ 前120/70ZR17(58W)
後180/55ZR17(73W)
バッテリー FTX12-BS
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
CR8EHVX-9
推奨オイル Honda純正ウルトラG1(10W-30)
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量4.6L
交換時3.8L
フィルター交換時3.9L
スプロケ 前17|後42
チェーン サイズ530|リンク110
車体価格 920,000円(税別)
系譜図
SC211987年
CBR1000F
(SC21)
sc241989年
CBR1000F
(SC24)
sc311993年
CBR1000F
(SC31)
sc351996年
CBR1100XX
(SC35前期)
sc35-21999年
CBR1100XX
(SC35中期)
X111999年
X11
(SC42)
sc35-32001年
CBR1100XX
(SC35後期)

CBR1100XX(SC35中期)-since 1999-

SC35中期

「the perfect blend」

発売から三年が経った頃マイナーチェンジを行ったSC35の中期モデル。

・ラムエアの吸気口のメッシュ形状の変更

・HISS(イモビライザー)の採用

・タンク容量+2L

・ラジエーターレイアウト変更

・マフラー変更

・テールライトの変更

などなど結構色々変わっています。

SC35メーター

ただ一番大きいのはやはりFIの採用とセッティングの見直しで、中低速でのトルクに厚みを持たせつつアクセルレスポンスをより柔らかくした事でしょうね。

2000CBR1100XX

少し中身の話をするとCBR1100XXはCBR900RRを模範にしたと言われています。

ツインスパーフレームや前傾が強くなったエンジンなどカウルを剥くとRRに非常に近いことがわかります。

CBR1100XXとCBR900RR

フューチャー10を実現させる為に軽量化やハンドリングにも拘って設計していく上で、900RRにて培われた技術を貪欲に取り入れた結果だそうです。

「じゃあ900RRの1100版なのか」

というとそれはまた別になる。

分かりやすいのが先にも挙げたエンジンのバランサー。

バランサーというのはエンジンが生む振動を消すためにあるんですが、直四の場合はこれが一本だと完全には消せず完全に消すには二本のバランサーが必要になります。

CBR1100XXエンジン

だからCBR1100XXはホンダとしては初となる二軸(二本)バランサーを装着しました・・・が凄いのは単に二軸バランサーを入れている事ではない。

凄いのは

「二軸バランサーを入れつつも”敢えて”バランスを少し崩した」

という事です。

何故そのような事をしたのかというと、理由は2つあります。

スーパーブラックバードエンジン透視図

エンジンにバランサーを入れるということはエンジン内部の部品や構造が複雑になる。複雑になるということは信頼性や耐久性に問題が出てくる。実際に試作機では満足がいく耐久性を出せなかった。

しかし信頼性や耐久性を犠牲にするのは最高性能ではないとして、それまで進めていたエンジンを全て破棄。一から強度・限界値を最も高く出来るレイアウトのエンジンを再設計。

その際にバランサーを少しズラす事になったんです。つまり耐久性を持たせるために敢えてズラしている。

CBR1100XXスーパーブラックバード

そしてもう一つがフューチャー10にも上げられてる

『上質な振動』

です。

これどういう事かというと、バランサーで振動を完全に消したエンジンを試作した所あまりにもジェントルすぎたから。かといってバランサーを入れないとガサツさという雑味が生まれる。

そこで耐久性を取るために生じたズレを活用し不快に感じない心地よく高揚できる程度の縦の振動だけを残すようにした。

1999CBR1100XX

「今までにない最高性能」

というのは数値だけでなくこういった部分にまで至っているということです。

【余談】

スペックのみならず耐久性や限界値まで徹底して作られたエンジンだった為か、これをベースにホンダがターボ化したエンジンを作っていたのをご存知でしょうか。

F-12

「AquaTrax F-12 -Since2002-」

いわゆる水上オートバイといわれるやつで、ストロークを5mm伸ばし1235ccとしたエンジンにIHIのターボチャージャーを積んだモデル。

この頃の水上オートバイはまだまだ2stが主流だったようですが、水上でも打倒2stなんですね。

主要諸元
全長/幅/高 2160/720/1170mm
シート高 810mm
車軸距離 1485mm
車体重量 255kg(装)
燃料消費率
燃料容量 24L
エンジン 水冷4サイクルDOHC4気筒
総排気量 1137cc
最高出力 164ps/9500rpm
最高トルク 13.0kg-m/7500rpm
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前120/70ZR17(58W)
後180/55ZR17(73W)
バッテリー FTX12-BS
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
CR8EHVX-9
推奨オイル Honda純正ウルトラG1(10W-30)
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量4.6L
交換時3.8L
フィルター交換時3.9L
スプロケ 前17|後44
チェーン サイズ530|リンク110
車体価格
※国内正規販売なしのため
系譜図
SC211987年
CBR1000F
(SC21)
sc241989年
CBR1000F
(SC24)
sc311993年
CBR1000F
(SC31)
sc351996年
CBR1100XX
(SC35前期)
sc35-21999年
CBR1100XX
(SC35中期)
X111999年
X11
(SC42)
sc35-32001年
CBR1100XX
(SC35後期)

CBR1100XX(SC35)-since 1996-

SC35

「The World’s Greatest Super Sport」

CBR1000Fの後継モデルとして登場する・・・筈だったCBR1100XX SUPER BLACKBIRDのSC35前期。

というのは当初はCBR1000Fベースで進む予定だったから。しかしそれではツアラーの延長線上で、真のリッタースポーツは作れないとしてそれまでの計画を白紙にし一から造ることに。

開発目標「フューチャー10」~

(1) 見てわかる性能の高さ=高性能が瞬時に感じられるデザイン

(2) 誇りを持てる造り=使うほど磨き込むほどに愛着が持てるような丁寧な造り込み

(3) 感動を生む加速=“鋭い”を上回る、感動を与える加速

(4) 俊敏なハンドリング=ミドルクラスのバイクに匹敵するコントロールしやすいハンドリング

(5) 安心して楽しめる高速性能=周囲の景色を楽しみながら高速走行が可能な安定感

(6) 信頼の制動性能=高速マシンにふさわしい制動力があり、コントロールしやすいこと

(7) 上質な振動性能=いかなる回転域でも上質な振動フィーリング

(8) ふたり乗りが楽しめる居住性=パッセンジャーをつらいふたり乗りの我慢から解放

(9) 安心の夜間走行=夜間走行においても最高性能を十分に楽しめる明るいヘッドライト

(10) 世界最速=バイク史上最速。

CBR1100XXのXXというアルファベットはホンダにとって究極を表すXモデル(CBXなど)の更に究極だからXX、究極の究極という意味です。

ちなみにスーパーブラックバードというのは米軍の超音速偵察機SR71通称ブラックバードが由来。

CBR1100XX表紙

もちろん本物ではないのでカタチが若干違うそうですが、何故これから名前を取ったのかというと航空機好きの設計メンバーが

「これはまるでブラックバードだ・・・」

と言い出した事がきっかけ。

CBR1100XXのフューチャー10の一つである

「見てわかる性能の高さ」

という狙いに合致するとして採用されました。

1998CBR1000F

ちなみにその航空機好きの設計メンバーというのはホンダの鈴木さんでお馴染み鈴木哲夫さん。

「もう高回転高出力の時代じゃない・・・」

と仰って軽く炎上された方です。

この方CBR1100XXの開発に関わっていたんですよ。2stの倍回る非常識な超高回転エンジンのVT250Fの開発責任者でもありました。そんな人が言ったと知ると少し考えされますね。というかその通りな時代になったわけですが。

では肝心のCBR1100XXの開発責任者は山中勲さんです。

ホンダでバイクの開発がしたくてホンダに入るもカブのスイッチを取り付けるライン工からスタートし、CB750FやVF750~VFR750F、GL1500などの開発責任者や車体責任者を歴任された方。ホンダの方で手記も書かれています。

山中勲さん

>>熱き心で夢を創らん(http://www.honda.co.jp/motor-roots/) ※現在リンク切れ

だいぶ話がそれました。

ZZR1100を皮切りに始まったリッタースポーツ競争が加熱し、時速300km/hを超えるのも時間の問題だと彼方此方で言われていた時代。

そんな中でずっと沈黙していたホンダが出したリッターオーバースーパースポーツという事で、否が応でも最高速ばかりが注目されてしまったのですが、フューチャー10に書かれている通りCBR1100XXは最高速だけを目指したバイクではない。

CBR1100XX透視図

「全ての面で速くて、楽しくて、かっこいい」

を目指して作られた文字通りスーパーなバイクなんです。

主要諸元
全長/幅/高 2160/720/1170mm
シート高 810mm
車軸距離 1485mm
車体重量 255kg(装)
燃料消費率
燃料容量 24L
エンジン 水冷4サイクルDOHC4気筒
総排気量 1137cc
最高出力 165ps/9500rpm
最高トルク 12.1kg-m/7500rpm
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前120/70ZR17(58W)
後180/55ZR17(73W)
バッテリー FTX12-BS
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
CR8EHVX-9
推奨オイル Honda純正ウルトラG1(10W-30)
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量4.6L
交換時3.8L
フィルター交換時3.9L
スプロケ 前17|後44
チェーン サイズ530|リンク110
車体価格
※国内正規販売なしのため
系譜図
SC211987年
CBR1000F
(SC21)
sc241989年
CBR1000F
(SC24)
sc311993年
CBR1000F
(SC31)
sc351996年
CBR1100XX
(SC35前期)
sc35-21999年
CBR1100XX
(SC35中期)
X111999年
X11
(SC42)
sc35-32001年
CBR1100XX
(SC35後期)

CBR1000F(SC31)-since 1993-

1993CBR1000F

「ヒューマンフィッティング」

三代目CBR1000FのSC31。

1990年に750cc上限が解除された事もありこのモデルから国内仕様も用意されるようになりました。

大きな変更点はコンビブレーキD-CBS(Dual Combined Brake System)の採用です。

コンビブレーキの仕組み

前後どちらかのブレーキを掛けると、掛けていない方のブレーキ(前を効かせると後にも、後を効かせると前にも)ブレーキを効かせる機能。

コンビブレーキの説明

仕組みとしてはリアブレーキはブレーキラインが途中から二つに別れ、一方がフロント(フロントキャリパーの真ん中のピストン)に繋がっている。だからリアブレーキを踏むとフロントブレーキも少し掛かるというわけ。

そしてフロントはちょっとややこしくて、フロントブレーキレバーを握るとまずフロントブレーキが掛かります。そしてブレーキが効いてくると左側のキャリパーの上にリンクを介して付いているメカニカルサーボ機能(もう一つのマスターシリンダーの様な物)を押す。

コンビブレーキサーボ

するとそれが再び液圧を発生させてリアブレーキキャリパーを押すというわけ。

この機能は後のブラバやVFR、更にはスクーターのリードに至るまで色んなバイクに採用されていくようになるわけですが、勝手に前後のブレーキが掛けられる事から余計なお世話だと思う人も多かったですね。

ホンダが何をしたかったのかというと、最大の狙いは理想的な前・後制動力配分をする事で制動力を上げること。そして余り知られていませんが転倒防止の狙いもあります。

というのもコンビブレーキは限界を越えたブレーキやパニックブレーキを起こした際にリアからロックするように調整されています。

SC31リアビュー

つまりフロントのロックによる転倒を防ぐため。そう考えると一概に余計な機能とは言えなくもないかと。

さて、この頃はZZR1100という147馬力の怪物が登場し巷を賑わせていました。

そんな中で国内規制に合わせた93馬力・・・逆車でも135馬力なCBR1000Fでは人気が出ないのも無理ない話。国内仕様が出る前も並列輸入されていたから特段新鮮味があったわけでもなかったですから。

sc31カタログ写真

ただまあ良い方に捉えると、最初から最後までスポーツツアラーとしてモデルチェンジしようともブレること無く貫いたバイクでもあります。

CBR-Fシリーズには600もあったわけですが、アッチは年を追う毎にレース需要が出てきたことから初期コンセプトからどんどん離れてスポーツ寄りに変わっていきました。その結果がF4iでありそれが成功したわけですが開発者は初期コンセプトから離れていく事に戸惑っていたそうです。

一方でこの1000はレースとは全く関係ない世界(当時はナナハン)に居たから最後までFコンセプトのスポーツツアラーに徹したまま。

CBR1000Fカタログ写真

そのおかげか後継のCBR1100XXが発売された後も特性の違う別のバイクで被らないという事から日欧では数年併売されていました。

主要諸元
全長/幅/高 2235/740/1215mm
シート高 780mm
車軸距離 1490mm
車体重量 271kg(装)
燃料消費率 22.0km/L
※定地走行テスト値
燃料容量 22L
エンジン 水冷4サイクルDOHC4気筒
総排気量 998cc
最高出力 93ps/9000rpm
[135ps/9500rpm]
最高トルク 8.7kg-m/6000prm
[1.5kg-m/8000rpm]
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前120/70R17(58V)
後170/60R17(72V)
バッテリー FB14L-B2
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
DPR8EA-9
推奨オイル
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量4.5L
交換時3.6L
フィルター交換時3.8L
スプロケ 前17|後41
チェーン サイズ530|リンク数120
車体価格 950,000円
※[]内はEU仕様
系譜図
SC211987年
CBR1000F
(SC21)
sc241989年
CBR1000F
(SC24)
sc311993年
CBR1000F
(SC31)
sc351996年
CBR1100XX
(SC35前期)
sc35-21999年
CBR1100XX
(SC35中期)
X111999年
X11
(SC42)
sc35-32001年
CBR1100XX
(SC35後期)

CBR1000F(SC24)-since 1989-

1989CBR1000F

若干のスラントノーズ化とシート形状の変更、ラジアルタイヤの標準装着とサスペンションの見直し、5馬力アップと見た目も中身もスポーティさが増した二型のSC24。

とはいうもののCBR1000Fはあくまでもツアラーに大きく舵を取っているスポーツツアラー。

sc24サイド

ちなみにライトの上に付いているダクトはキャブに外気を送るためのダイレクトエアインダクションシステムでラムエアではありません。

そしてこのモデルからホンダがフルカバードカウルと同様に推していた「Hurricane」というペットネームが国内外問わず付かなくなりました。

sc24カタログ写真

本当に短命なペットネームでしたね。

主要諸元
全長/幅/高 2235/740/1200mm
シート高 780mm
車軸距離 1490mm
車体重量 264kg(装)
燃料消費率
燃料容量 24L
エンジン 水冷4サイクルDOHC4気筒
総排気量 998cc
最高出力 132ps/8600rpm
最高トルク 8.36kg-m/6500rpm
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前120/70ZR17
後170/60ZR17
バッテリー
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
推奨オイル
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量4.5L
交換時3.6L
フィルター交換時3.8L
スプロケ
チェーン
車体価格
※国内正規販売なしのため
系譜図
SC211987年
CBR1000F
(SC21)
sc241989年
CBR1000F
(SC24)
sc311993年
CBR1000F
(SC31)
sc351996年
CBR1100XX
(SC35前期)
sc35-21999年
CBR1100XX
(SC35中期)
X111999年
X11
(SC42)
sc35-32001年
CBR1100XX
(SC35後期)

CBR1000F(SC21)-since 1987-

1987CBR1000F

ホンダ初の水冷リッター直四になるCBR1000F。

ホンダのフラッグシップモデルとして登場した「Fコンセプト」の始まりでもあります。

ただこの頃はまだ国内750cc規制があったので、国内の方は750cc版であるCBR750Fが用意され、この1000は欧米メイン。国内での正規販売はされませんでした。

SC21

ホンダが推していたフレームまでをも隠すフルカバードカウルが時代を感じさせますね。

ちなみにFコンセプトとは、ツーリングからサーキット走行までこなせるオールラウンドスポーツとして1987年に発足したコンセプトの事です。

1987CBR1000F

余談ですが、後にこのCBR1000Fの為に開発された新設計の水冷エンジンを見たデザイナーが

「せっかくの造形なのにカウルで隠すなんて勿体ないなあ」

とエンジンを魅せるタイプのバイクを自己満足で描いた事がキッカケで生まれたのが

CB1000SF参考出展

今も有名なCB1000SFだったりします。

主要諸元
全長/幅/高 2245/725/1185mm
シート高 780mm
車軸距離 1490mm
車体重量 248kg(装)
燃料消費率
燃料容量 24L
エンジン 水冷4サイクルDOHC4気筒
総排気量 998cc
最高出力 132ps/9500rpm
最高トルク 10.5kg-m/8000rpm
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ
バッテリー
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
推奨オイル
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
スプロケ
チェーン
車体価格
※国内正規販売なしのため
系譜図
SC211987年
CBR1000F
(SC21)
sc241989年
CBR1000F
(SC24)
sc311993年
CBR1000F
(SC31)
sc351996年
CBR1100XX
(SC35前期)
sc35-21999年
CBR1100XX
(SC35中期)
X111999年
X11
(SC42)
sc35-32001年
CBR1100XX
(SC35後期)