Z H2/SE(ZR1000K/L)-since 2020-

ZH2

「THE NEW Z」

新たなフラッグシップZとして登場したスーパーチャージャー付きのZ H2/ZR1000K型。

ベースとなっているのはスーパースポーツ系のH2ではなくバランス型のH2SXですが、SXを剥いただけかというと全く違います。
・アップライトのファットハンドル
・フレームマウントのヘッドライト
・剛性を下げしなやかにした専用フレーム
・バルブタイミングと燃調を中低速寄りに変更
・FI口径の小径化
・二次減速比をショート化
・両持ちスイングアーム
・触媒内蔵サイレンサー
・クイックシフター
・SHOWA製SSF-BF
・ホイールを星型から6本スポークに
・ブレンボM4.32モノブロックキャリパー
・フルカラーTFTメーター
・インテグレーテッドライディングモード
(トラコンや出力モードの包括的な切替機能)
・RIDEOLOGYアプリに対応
・Kawasaki Care+

などなどSXよりちょっと豪華になっているんですが、決定的に違う部分としてZ H2はストリートファイターというかネイキッドでポジションが起き気味なことと装備重量もSX比マイナス20kgの240kgと軽量化がされていること。

ZH2のデザイン

デザインの方も

『SUGOMI&Minimalist』

というコンセプトに沿って外装も最小限にはなっているんですが、スーパーチャージャーのエアインテークダクトを前に出さないといけない事もありネイキッドとしてはフロントが大きめで低めのハーフカウルが付いているような形。

更に翌2021年4月には豪華版となるZ H2 SE/ZR1000L型も登場。

ZH2SE

・KECS(電子制御サス)
・スカイフックEERA(電子制御アジャスト)
・ブレンボStylema(上位ブレンボキャリパー)
・ブレンボマスターシリンダー
・スーパーチャージャーエアインテークの銀鏡塗装
・スーパーチャージャーの赤刻印

などとなっているんですが、Z H2が発売されて何が一番衝撃だったかというとH2シリーズにしては凄くお買い得な価格設定だったこと。

H2 Carbon3,300,000円
H2SX SE+2,570,000円
H2SX SE2,220,000円
Z H2 SE1,980,000円
Z H21,720,000円

なんとH2CARBON一台でこれを二台買えちゃうほど安い。スカイフックテクノロジーを搭載した電子制御サスEERA(イーラ)を装備したSEモデルですら税別で200万円を切る安さ。

ちなみにスカイフックテクノロジーというのは簡単に説明するとサスペンションが沈み込んで戻る時の戻りすぎ、反動に近い制御をダンパーの電子制御で最小限に抑え込む技術。

「通常の電子制御サスペンションEERA(イーラ)と何が違うの」

という話をザックリすると、もともとサスペンションには”スカイフック”という究極の乗り心地理論みたいなものがある。

スカイフックの仕組み

こうして車体を宙吊りにすればどれだけサスペンションが動いてもバネ上のピッチング(前後の姿勢変化)が無くなるから最高の乗り心地になるという話なんですが、文字通り空から吊るすというのは現実問題として不可能。

なので車体に備えられたIMU(慣性計測装置)とサスペンションに内蔵されたストロークセンサーで車体姿勢を完全に把握し、減衰力を1/1000秒単位で素早く変え抑えることにより

『バネ上に挙動を可能な限り伝えないようにする制御』

というのが先に四輪の方で生まれ、今回それが二輪でも加わったという話。

スカイフックテクノロジー

これの効果はいま話したように乗り心地の大幅な向上なんですが、しかし一方でレインモードでしか採用されていない事からも分かる通りバネ上に乗っている形であるライダーも車体姿勢を把握しにくくなってしまうので少し違和感が生まれるのもまた事実。

だからこれはスポーツ系装備というよりも乗り心地を向上させる巡航向けのまったりシステムと言った方が良い感じ。

ZH2フロント

「じゃあなんでネイキッドのZに付けられたのか」

って話ですが二者択一の装備ではなくボタン一つでどうとでも変えることが出来る電子制御サスペンションで、先にも言ったようにZ H2はフロントマスクが結構たくましく楽なポジションも相まって普通に巡航もロングスクリーンを付ければイケるという要素を狙ったんじゃないかと。

ただZ H2で何よりも書くべきはスーパーチャージャー。

スカイフックテクノロジー

「いやいやスーパーチャージャーなのはもう知ってるよ」

って人も多いかと思います。でもこれが出たのは本当に凄いことであり、これがH2シリーズの真打ちじゃないかと。

というのも重ねて言いますがバイクで過給が根付かなかったのは急激なトルク変動がマンマシンの一体感というバイクにとって非常に大事な要素を阻害する、もっというと危なかったから。

そんな常識がある中でその危うさを極致下においてエキサイトメントという武器にしたのが第一弾のH2/R。そしてワンクラス上のパワーで余裕を持って走れるダウンサイジングに近い考えを武器にした第二弾のH2SX/SE。

そしてそして低中速寄りにチューニングしポジションも取っつきやすいアップライトで比較的軽く振れるフレンドリーさを武器に出た第三段がZ H2/SE・・・そう、Z H2は過給を積極的に楽しむことを武器にしている。

「ストリートでスーパーチャージャーを気軽に堪能出来る」

という本当に世が世なら間違いなく許されなかったであろう企業の社会的責任ギリギリを責めたコンセプトになっている。

エンジン性能

信号ダッシュや交差点からの立ち上がり、前が開けた時などあらゆる日常シーンで目と鼻の先にブーストゾーンがある。

ポジションもアップライトだから簡単にフロントが離陸すると同時に、身構えないと首を痛めてしまうほどのワープを

「キュルルル、ヒュルルル」

というタービンが生む音と一緒に”比較的誰でも簡単にそこら辺の道で”堪能出来るようになっている。Z H2がH2シリーズの真打ちじゃないかと思う理由はここ。

カワサキH2シリーズ

これこそがスーパーチャージャーが最も活きる使い方だから。

重ねて言いますが、この手軽にブーストはエンジン(クランク)から動力を貰うスーパーチャージャーだからこそ可能なこと。

スーパーチャージャーの構造

ターボだとこうはいかない。何故なら排気を動力源にするターボはある程度の排圧がないと首を痛めるほどのブーストが効かないから。

もちろんデメリットもあって高回転になるとターボのほうが効率が良い。でもそれはあくまでも高回転域での話でストリートでは難しいうえに、吹け上がりや排気音もタービンに邪魔されて濁ったものになる。

つまり何が言いたいのかというと

「このZ H2はスーパーチャージャーを本当に上手く活用してる」

という事。でもだからこそ本当にギリギリアウ・・・じゃなくてセーフ。

ZR1000K

過給機が載っていることが武器ではなく、過給による変化をそれもストリートで楽しむことを武器にしている。

間違いなく乗り手をブースト依存症にし、右手との戦いを一番強いるネイキッドというか別の意味でストリートファイター。

H2シリーズの展開においてカワサキ広報さんが話されていた

「より多くの方にスーパーチャージャーを」

という文言の”多くの方”というのは単純に台数を出す云々の話ではなく、まさかスーパーチャージャーというアドレナリン放出機能の真髄を広く知ってもらう事だったとは。

主要諸元
全長/幅/高 2085/810/1130mm
[2085/815/1130mm]
シート高 830mm
車軸距離 1455mm
車体重量 240kg(装)
[241kg(装)]
燃料消費率 16.9km/L
※WMTCモード値
燃料容量 19.0L
エンジン 水冷4サイクルDOHC四気筒
総排気量 998cc
最高出力 200ps/11000rpm
最高トルク 14.0kg-m/8500rpm
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前120/70ZR17(58W)
後190/55ZR17(75W)
バッテリー YTZ10S
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
SILMAR9E9
推奨オイル カワサキ純正オイルR4/S4
または
MA適合SAE10W-40
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量4.7L
交換時3.5L
フィルター交換時4.3L
スプロケ 前18|後46
チェーン サイズ525|リンク118
車体価格 1,720,000円(税別)
[1,980,000円(税別)]
※[]内はSE/ZR1000L
系譜図
マッハ31969年
500SS MACH3
(H1)
マッハ41972年
750SS MACH4
(H2)
H22015年
Ninja H2
(ZX1000N/X/ZX1002J)
H2R2015年
Ninja H2R
(ZX1000P/Y)
H2SX2018年
Ninja H2SX/SE
(ZX1002A/B/D)
zh22022年
Z H2/SE
(ZR1000K/L)

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