「Evolution in Motion」
第3世代のマジック9ことZX-9Rの初代モデルであるBタマ。
なぜ”B型”ではなく”Bタマ”と呼ばれるのかというとロゴにあります。
Rがカタカナの”マ”みたいな特徴的な形な事に加え、ナンバリングの9がカタカナのタに見える事から
Z→ユ
X→メ
9→タ
R→マ
という愛称が広く普及し、愛着を込めてBタマCタマなどと言うようになったんです。
さて・・・始まりのBタマについて書く前にマジック9について少し説明します。
マジック9とは900SUPER4(Z1)、そしてGPZ900R(ZX900A)と、知らぬものは居ないほどの大成功を収めてきたカワサキにとって特別なナンバリング(クラス)の事。
ただマジック9という概念を生むキッカケとなった二代目マジック9ことGPZ900Rが900になったのは、偶然であり狙ってやった事ではないんですけどね。
そして面白いことにZX-9Rがマジック9になったも、GPZ900Rと同じ様にたまたま・・・ユメタマなだけに。
ただ、そうなった以上は偶然とはいえ泥を塗らないように頑張るしか無いと開発チームも意識していたそうです。
そもそもZX-9Rが生まれるキッカケとなったのは何かと言うと、世界中で大ヒットしていた元祖メガスポーツことZZR1100に起因します。
カワサキとしては渾身のスーパースポーツとして造り出し好評を得ていたZZR1100だったんですが、調べてみると購入層の平均年齢が高かった。
企画の伊藤さんがなぜスーパースポーツ好きが多い若年層が買わないのか調査してみると
「ZZR1100はスーパースポーツじゃないから」
という答えが特に欧州で多かった。
そう思われる最大の理由はルックヘビー、要するに見た目が大きくて重そうだから。
若年層が望むのはZZR系よりもZXR系だという事がわかったわけです。
そこで始まったのが
「ZZR1100とZXR750のイイトコ取りしたバイク」
というプロジェクト。
これがZX-9Rの始まりなんです。
ベースをZZRにするかZXRにするか色々と検討した結果、ZXR750をベースにする事に決定。
そしてZXRから引き続きエンジン担当となった渡辺さんだったんですが、ZXR750のエンジンは元々レース第一の造りでキッチリ750に合わせて造ったものだったから
「これを900ccにして低速トルクを増やせ」
と言われた時は何かの冗談かと思ったそう。
しかし偶然とはいえマジック9のバイクになる以上はやるしかないとして
・ピストンとコンロッド
・クランク周り
・カムチェーン&スプロケ
・ミッション周り
これらを全て変更。
「終わってみたら残ったのはヘッドとガワだけだった」
というほぼ新設計のエンジンが完成。
これはフレームも同様で、形こそZXR750と近いものの部材やマウントの変更で別物と化しています。
特にZXR750と目に見えて違うのがダウンチューブフレーム(上の写真の黒い部分)の追加です。
これはZXRの要素だけでなくZZRとしての要素、つまりツアラーとしての要素も持たせるために設けられたエンジン振動の受け手。
こうしてZXR750とZZR1100のイイトコ取りな139ps/215kgのスーパースポーツが完成したわけです。
ちなみにフランス仕様は法規の関係上、非対称なライトで何とも言えない表情に。
主要諸元
全長/幅/高 | 2085/725/1165mm |
シート高 | 800mm |
車軸距離 | 1440mm |
車体重量 | 215kg(乾) |
燃料消費率 | – |
燃料容量 | 16.0L |
エンジン | 水冷4サイクルDOHC4気筒 |
総排気量 | 899cc |
最高出力 | 139ps/10500rpm |
最高トルク | 9.8kg-m/9000rpm |
変速機 | 常時噛合式6速リターン |
タイヤサイズ | 前120/70ZR17(58W) 後180/55ZR17(73W) |
バッテリー | YTX12-BS |
プラグ | CR9EK または U27ETR |
推奨オイル | カワサキ純正オイル または MA適合品SAE10W-40 |
オイル容量 | 全容量3.8L 交換時3.1L フィルター交換時3.3L |
スプロケ | 前16|後44 |
チェーン | サイズ530|リンク112 |
車体価格 | ※スペックはEU仕様 |