ZX-10Rの系譜

ZX-10R/RR/SE
(ZX1002E/G/H)
-since 2019-

2019年型ZX-10R

「CHAMPIONSHIP-PROVEN POWER」

再びフルモデルチェンジされた2019年式ZX-10R。バリエーションは先代に引き続き3バージョンです。

2019年式ZX-10R

標準モデルのZX-10R/ZX1002E型。

馬力が203馬力にまで上がってRRとSEのみだったシフトアップダウン両対応のクイックシフターを標準装備。

KRTカラーを標準モデルに用意している辺りカワサキの良心を感じますね。

2019年式ZX-10RR

コチラはレース用のホモロゲモデルとなるZX-10RR/ZX1002G型。

マルケジーニホイールとチタンコンロッドを採用し+1馬力の204馬力でシリアル付き限定500台。

ちなみに先代の時に書きそびれたんですが、何故マルケジーニかというとレースでホイール交換が禁止されたから。

2019年式ZX-10R SE

最後はマルケジーニホイールと電子制御サスペンションのZX-10R SE/ZX1002H型。

今回は新たに自己修復能力を持つ塗装であるハイリーデュラブルペイントを採用。線キズや擦りキズ程度なら一週間程度で自己修復してしまう凄い塗装。

 

ちなみにE-G-HとF型が飛んでるのですが恐らくレースベース車両かと。

まあそんな事よりも何が変わったのかって話ですが、馬力とトルクが上がっていることからも分かる通りバルブ駆動を直打式からロッカーアーム(フィンガーフォロワー)式に変更した事が一番の変更点。

フィンガーフォロワー

これの狙いは色々あるんですが公式アナウンスによると

「バルブを軽くするため」

にあります。

というのも従来のカムがバルブを直接叩く直打式だとタペット(リフト)といって土台が必要になる。

直打式のタペット

そしてその土台もバルブにくっついて上下に動くので質量が、要するに重くなるわけです。

対してフィンガーフォロワー式というのはザックリいうとタペットをバルブから切り離してシリンダー側に持たせることでバルブの重さを軽くしている。

フィンガーフォロワーの仕組み

カワサキが言うには20%ほど軽くなったそうです。

なんでバルブを軽くする必要があるかというと、軽くすればバルブサージングを始めとしたバルブ(スプリング)がカムの速さについて行けず異常を起こす問題が起きにくくなるから。

結果として回転数を上げることが出来るわけでこれにより最大出力の回転数が500rpm上がっています。

エンジンパフォーマンス

これには他にも色々とメリットがあるんですが、中でも大きいのがカムだけでなくこのフィンガーフォロワーのレバー比によってバルブの開閉を大きく手助けできる事があります。

バルブというのは”大きく深く長く”開けた方が良いんだけどバルブを押すカムというのは回って押すものなので限度がある。

例えば直打式で大きく深く開けようとすると極端な話こんなカムになる。

カムプロフィールの問題

しかしこうするとバルブの動きも必然的に大きく急激な物になってしまうのでバルブへの負担が増し、カムからバルブが離れてしまうリフトや勢いよく閉じた反動で再び開いてしまうバウンスといった問題が起こってしまう。

しかも直打式だと背が高くなったカムを受ける為にタペットも比例して大きく(広く)しないといけないので、それだけ重量やスペースやフリクションロスが増えてしまうわけですね。

そこでカムだけではなくフィンガーフォロワーによるレバー比も利用、文字通りカムをフォローしてもらって開閉をすることでバルブへの負担を大きくすること無く大きく深く長いバルブ駆動にすることが出来た。

カムの干渉

カワサキ曰くこれは中速トルクの改善と、レース用のハイカム(尖ったカム)を入れるとヘッドが干渉してしまう事を解消するための狙いが大きんだとか。

先代までは干渉する部分を削って無理やり入れていたんだそう。

 

ちなみに

「じゃあどうして今まで採用されなかったのか」

というと摩耗する問題があったから。

カムの摩耗

嫌らしいくらい摩耗しそうな感じが見て分かると思います。

ましてとんでもない回転数になるSSだと相当過酷なものになる。

これが可能となったのはDLC(ダイヤモンドライクカーボン)といって早い話が炭素コーティングが現実的なコストとなり可能になったから。

ダイヤモンドライクカーボン

このフィンガーフォロワー式を採用しているバイクはほぼ例外なくこのコーティングがされています。

 

さて・・・ZX-10Rは市販車最高峰レースSBKで速すぎる事から設けられたレブリミットのハンデを物ともせず2018年も世界チャンピオンになりました。

ジョナサン・レイ

これで

『メーカー&マシン&マニュファクチャラー』

の三冠を四連覇という偉業を達成。

それでも手を緩めることなくエンジンヘッドを丸ごと新設計し速さに磨きをかけたモデルチェンジとなったわけです。

サイドビュー

ただ正直に言うと今回の変更箇所であるフィンガーフォロワーというのはトンデモな改良というわけではありません。

これを採用しているSSは既に結構あり、アピールポイントとしては少し弱い。

 

じゃあこの2019年型ZX-10Rのアピールポイントが何かと言えば

『全く変わらなかったデザイン』

です。

2019年モデル

2019年型はクランクケースカバーがブラックになり、エンジンヘッドカバーが赤くなったくらいしか見た目の違いはありません。

そのためオートポリスで行われた新型発表会でも

「せめてメーターとハロゲンライトくらい変えろ」

という厳しい意見が海外メディアから相次ぎました。

2019年型ZX-10Rエンジン

この意見はごもっともで、せっかく新設計エンジンにしたんだから合わせてLEDヘッドライトや新形状のカウルにした方が新型アピールになり売れる・・・なのにそれをしなかった。

要するにこの2019年型ZX-10Rには

「変えるためのモデルチェンジ」

という商業的な要素が一切入っていないんです。

カワサキレーシングチーム

「勝つためのモデルチェンジ」

という先代から続く『志』を曲げずに貫き通した簡単には出来ない本当にスーパースポーツらしいピュアなモデルチェンジ。

2019年型ZX-10R

全く変わらなかったデザインこそがそれを証明する一番のアピールポイントであり、この2019年型ZX-10Rの魅力なんです。

 

エンジン:水冷4サイクルDOHC4気筒
排気量:998cc
最高出力:203{204}ps/13500rpm
最大トルク:11.7kg-m/11200rpm
車両重量:206[208]kg(装)
※{}内はRR
※[]内はSE

【関連車種】

CBR1000RRの系譜
YZF-R1の系譜
GSX-R1000の系譜
SuperBikeの系譜

系譜図

GPZ750R 1986年
GPX750R(ZX750F)
ZXR750/R 1988年
ZXR750/R
(ZX750H/J)
1996ZX-9R 1994年
ZX-9R
(ZX900B)
1998ZX-9R 1998年
ZX-9R
(ZX900C/D)
2000ZX-9R

2000年
ZX-9R
(ZX900E)

2002ZX-9R 2002年
ZX-9R
(ZX900F)
2004ZX-10R 2004年
ZX-10R
(ZX1000C)
2006ZX-10R 2006年
ZX-10R
(ZX1000D)
2008ZX-10R 2008年
ZX-10R
(ZX1000E)
2010ZX-10R 2010年
ZX-10R
(ZX1000F)
2011ZX-10R 2011年
ZX-10R
(ZX1000J/K)
2016ZX-10R 2016年
ZX-10R/RR/SE
(ZX1000R/S/Z/C)
2019ZX-10R 2019年
ZX-10R/RR/SE
(ZX1002E/G/H)

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