「サーキット性能No.1」
カワサキはレースはZX-7Rに任せていたんですが、市販車レースの規格が750ccから1000ccになった事でリッタースーパースポーツを造る必要が生まれました。
もともと公道スーパースポーツはZX-12Rなどリッターオーバーに尽力していた為、国内4メーカーで最後発となったわけですが、これがまあ色々と凄い。
初っ端にしてクラストップとなるパワーウェイトレシオ0.98kg/psを記録し、ラジアルキャリパーやバックトルクリミッターなどフル装備だったこともそうですが、何よりも
『バックボーンフレームとメインシャフトを押し下げたエンジン』
という他社とは全く異なる独自レイアウトである事。
そしてもう一つそれはMotoGP直系技術である
『倍速ジェネレーター』
を採用した事です。
バイクは発電もしているんですが、スポーツバイクはエンジンの左側にジェネレーターが付いて一緒に回る事で発電します。
このポッコリとはみ出している部分がそう。
対して倍速ジェネレーターを採用したZX-10Rはというと・・・
明らかに小さいですよね。
これは倍速ジェネレーターという名称からも分かる通り、要するに
「倍回せば半分の大きさで済む」
というシンプルな考え。
コンパクトな事からエンジンの横ではなく背面に搭載。動力はクランクではなくメインから。
これによってZX-10Rはリッターにあるまじきスリムさを持っていました・・・が、まあご存知の方も多いように、ジェネレーターに多大な負担をかける事となるのでトラブルの原因に。
デザインの方はカワサキ要素が綺麗に詰まっていたんですけどね。
MotoGPマシンZX-RRとほぼ同じラムエアダクトに空力を考えたビルドインウィンカー。
同クラスのSSの中では一番お金が掛かってるんじゃないかと思うほど。
ただ最初にも言ったように独自性の塊のようなSSでしかも処女作だった事もあり、太鼓持ちが基本な雑誌インプレですら
「ZX-10Rは荒削りで初心者には難しい」
と言われるほどでした。
まあカワサキ自身も
「分かる人だけ乗ってくれれば良い。」
と割り切った発言しているんですけどね。
でも改めて振り返ってみると、この初代モデルが一番カワサキらしいリッタースーパースポーツとも言えるのではないかと思います。
というのも開発を務められ、後にZX-14Rも担当する事になる有馬さんの言葉にあります。
「挑戦を恐れない姿勢こそがカワサキらしさ」
何処をどう見ても挑戦的としか言えないC型。
「乗れるもんなら乗ってみろ」
そう訴えかけてくる様なKAWASAKIらしいリッタースーパースポーツ。
主要諸元
全長/幅/高 | 2045/705/1115mm |
シート高 | 825mm |
車軸距離 | 1395mm |
車体重量 | 170kg(乾) |
燃料消費率 | – |
燃料容量 | 17.0L |
エンジン | 水冷4サイクルDOHC4気筒 |
総排気量 | 998cc |
最高出力 | 175ps/11700rpm |
最高トルク | 11.7kg-m/9500rpm |
変速機 | 常時噛合式6速リターン |
タイヤサイズ | 前120/70ZR17(58W) 後190/50ZR17(73W) |
バッテリー | YT12B-BS |
プラグ | CR9EIA-9 |
推奨オイル | カワサキ純正オイルR4/S4 または MA適合品SAE10W-40 |
オイル容量 | 全容量3.7L 交換時2.7L フィルター交換時3.0L |
スプロケ | 前17|後39 |
チェーン | サイズ525|リンク110 |
車体価格 | 1,250,000円(税別) ※スペックはマレーシア仕様 |