ZX-10Rの系譜

ZX-10R
(ZX1000J/K)
-since 2011-

2011年型ZX-10R

「Explore The Limit、限界への探求」

カワサキ曰く、先代までの多岐に渡る改良は全部マイナーチェンジで、これが10Rとしては初めてのフルモデルチェンジなんだそう。

 

まあ確かに先代F型とこのJ/K型の変化に比べれば、これまでの変更は些細と言えなくもない話。

というのもこのモデルで造りが180度変わりました。

先代との比較

従来のメインシャフトを押し下げたエンジンをバックボーンから吊り下げる様な形だった独自レイアウト(写真左)を止め、メインシャフトを押し上げた三軸レイアウトをツインスパーで挟むレイアウト(写真右)になったから。

要するにSSとしては非常にオーソドックスな形になったわけです。

Engine

このおかげで先代まで続いた牙というか棘が嘘のように乗りやすいSSになりました。

ただし、じゃあ無個性になっちゃったのかというとそうでもなく、相変わらずカワサキらしい独自色というか挑戦している箇所があります。

それはクラストップの200馬力でも、ビッグピストンフォークでも、カワサキ自慢のトラコンでもありません。

ホリゾンタルバックリンクリアサスペンション

ホリゾンタル・バックリンク・リアサスペンション(Horizontal Back-link Rear Suspension)です。

長い名前ですが、要するにサスペンションを水平にしたもの。

 

これですね・・・実はサスとしてはあんまり良くない。

なんでもここまで寝かせてしまうと、極限状態ではトラクション感が薄れてしまうんだとか。

「じゃあなんで採用したの」

って話ですよね。

2011ZX1000J

これを採用した理由の一つはマスの集中化。

ホリゾンタル・バックリンク・リアサスペンションはリンクも上に付いているから下が大きく空く。

そこに大容量の触媒入りの膨張室、俗にいう弁当箱を置くことが出来る。

キャタライザー

これは重く中心から離れているサイレンサーを少しでも軽く、そして少しでも短くしてマスに近づけるため。

ZX-10Rのマフラーが小さいのは、このホリゾンタル・バックリンク・リアサスペンションによる弁当箱スペースの大幅確保にあるんです。

2013ZX-10R

非常に熱くなる弁当箱と離すことでリアサスを熱から守ることにも繋がり、熱ダレを防ぐメリットもあります。

 

ただ、一番の狙いはそれじゃない。

一番の狙いはリアサスを受け止めるアッパークロスの位置です。

アッパークロスはサスペンションからの荷重で折れたり曲がったりしないよう強くある必要がある。

アッパークロス

だから上の写真の様にメインフレームの左右に橋を架けるようになっているのが普通。

そしてこれは視点を変えるとフレームの補剛(剛性アップ)にも繋がっているわけですが、そこで問題となるのがコーナリングに大事なフレームの”しなり”です。

ZX1000JKカタログ写真

リアのスイングアームからの力はピボット(スイングアームとメインフレームの付け根)まで伝わって来る。

この時、従来の起きているリンクサスだとアッパークロス、つまり補剛部がピボットの直ぐ上にある為に簡単にはしなってくれない。

アッパークロスとピボットの位置

対してホリゾンタル・バックリンク・リアサスペンションなら、アッパークロスをピボットから離れた位置に持ってこれるからピボット部の剛性を不用意に上げる事なく柔軟に”しならせる事”ができる。

2012ZX-10R

地面を舐めるようにしなってくれるから安心してアクセルを開けられる。

多少の事は受けて止めてくれるから大きく開けていける。

このJ/K型が持っている懐の広さ、そしてオリジナリティはここにあるわけです。

オーリンズ共同開発ステアリングダンパー

更に2013年にはオーリンズのステアリングダンパーのアップグレードが行われました。

一見普通に見えるけど実はカワサキがオーリンズと共同開発の電子制御式なステダン。

 

そして忘れちゃいけないのは2013年にカワサキとしては初となるSBKワールドチャンピオンに輝いたということ。

サイクス10R

ZX-10Rのコンセプトであった

「サーキット性能No1」

を5代目にして遂に証明したわけです。

主要諸元

全長/幅/高 2110/710/1135mm
シート高 815mm
車軸距離 1415mm
車体重量 198kg(装)
[201kg(装) ]
燃料消費率 -
燃料容量 17.0L
エンジン 水冷4サイクルDOHC4気筒
総排気量 998cc
最高出力 151ps/10000rpm
{200ps/13000rpm}
最高トルク 10.8kg-m/10000rpm
{11.7kg-m/11500rpm}
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前120/70ZR17(58W)
後190/55ZR17(75W)
バッテリー YTZ7S
[YTZ10S]
プラグ CR9EIA-9
推奨オイル カワサキ純正オイルR4/S4
または
MA適合品SAE10W-40
オイル容量 全容量3.7L
交換時2.9L
フィルター交換時3.3L
スプロケ 前17|後39
チェーン サイズ525|リンク112
車体価格 1,520,000円(税別)
[1,648,572円(税別)]
※スペックはマレーシア仕様
※[]内はABSモデル(ZX1000K)
※{}内はEU仕様

系譜図

GPZ750R 1986年
GPX750R
(ZX750F)
ZXR750 1989年
ZXR750
(ZX750H/J/L)
1996ZX-9R 1994年
ZX-9R
(ZX900B)
1998ZX-9R 1998年
ZX-9R
(ZX900C/D)
2000ZX-9R

2000年
ZX-9R
(ZX900E)

2002ZX-9R 2002年
ZX-9R
(ZX900F)
2004ZX-10R 2004年
ZX-10R
(ZX1000C)
2006ZX-10R 2006年
ZX-10R
(ZX1000D)
2008ZX-10R 2008年
ZX-10R
(ZX1000E)
2010ZX-10R 2010年
ZX-10R
(ZX1000F)
2011ZX-10R 2011年
ZX-10R
(ZX1000J/K)
2016ZX-10R 2016年
ZX-10R/RR/SE
(ZX1000R/S/Z/C)
2019ZX-10R 2019年
ZX-10R/RR/SE
(ZX1002E/G/H)