
「The Future is Black and White.」
第二世代のラストを飾る六代目GSX-R750のW型。
カム形状の見直しとデュアルバタフライ式のFIを初めて採用し馬力を135馬力にまでアップ。
そしてこのモデルから国内仕様は廃止され逆輸入車のみになりました。

少し話を巻き戻すとGSX-R750は92年モデルで水冷エンジンとなり、一つ前の96年モデルでセンターカムチェーンからサイドカムチェーンと、二段ジャンプのような改良を遂げました。
ここで少し疑問なのが
「なぜ最初からサイドではなく、センターなんて回り道をしたのか」
って事。
この頃は既にサイドカムチェーンなんて珍しくも時代です。
分からない人のために補足するとカムチェーンというのは上の赤い部分で文字通りカム(バルブ)を動かすチェーン。

四輪ではベルトが主流でタイミングベルトとか言われてますね。最近は四輪の方も技術向上でチェーン採用が増えているようですが。
四輪が再びチェーンを採用にするようになったのはずっとチェーンが主流だった二輪による技術向上の恩恵なんじゃないかと思ったり・・ってそんな話はどうでもいいですね。

センターカムチェーンよりサイドカムチェーンが優れている部分はまず軸受を減らせる事にあります。
軽量&コンパクトに出来て、フリクションロスも減らせるメリットがあるんですね。
そして吸気をストレートに出来るので吸気効率も上がる。

SSがサイドカムチェーンなのはこういう理由があるわけです。
GSX-R750はパワーを取るために水冷化した。なのにカムチェーンはセンターを取った。
何故かのか理由を調べてみると・・・
「センターカムチェーンの方がエンジンが美しいから」
というSSらしからぬ理由でした。
サイドカムチェーンというのは文字通りカムチェーンを通すトンネルがサイドに来るわけです。

カムチェーンのトンネル分だけ手前が盛り上がってるのが分かるでしょうか。
サイドカムチェーン方式の場合こうなって当たり前なんですが、このためエンジンの造形がアシンメトリー(左右非対称)になる。
これが気に食わなかったそう。
対してセンターカムチェーンの場合はトンネルが真ん中に来るのでシンメトリー(左右対称)になる。

「随分と小さい事にこだわるな」
と思うわけですが、実はこの
「サイドカムチェーンの造形が好きではない」
という声はこのGSX-R750に限った話じゃなく、ホンダやヤマハから(何の車種か失念)も聞いた記憶があります。

一般人からしたら些細な事と思うわけですが、クラフトマンシップを持ったエンジニア達からすると些細な事ではないんでしょう。
にしたってGSX-R750はフルカウルでエンジンはそれほど見えないのに・・・油冷エンジンの細かすぎるフィン造形といい、機能美に一番うるさいのは実はスズキだったりするのかもしれませんね。
主要諸元
全長/幅/高 | 2055/720/1135mm |
シート高 | 830mm |
車軸距離 | 1395mm |
車体重量 | 179kg(乾) |
燃料消費率 | – |
燃料容量 | 18.0L |
エンジン | 水冷4サイクルDOHC四気筒 |
総排気量 | 749cc |
最高出力 | 77ps/10000rpm [130ps/11500rpm] |
最高トルク | 6.7kg-m/7500rpm [8.3kg-m/10000rpm] |
変速機 | 常時噛合式6速リターン |
タイヤサイズ | 前120/70R17(58W) 後190/50R17(69W) |
バッテリー | FTX9-BS |
プラグ ※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価 |
CR9E または U27ESR-N |
推奨オイル | スズキ純正 エクスター |
オイル容量 ※ゲージ確認を忘れずに |
全容量3.5L 交換時2.6L フィルター交換時2.8L |
スプロケ | 前16|後43 |
チェーン | サイズ530|リンク108 |
車体価格 | 1,028,000円(税別) ※[]内はEU仕様 |
当方当時このモデルに乗っていましたので少し修正させて下さい。
このモデルはデュアルバタフライではありませんでした。
又、逆輸入のみではなく国内仕様もありました。
諸元にも記載されていますね。
最終型はカラーリング変更のXとなりそれ以降がK1シリーズとなります。
国内仕様はマニホールドが半分塞がれてマフラーもふん詰まり。
ECUもリミッター付き、さらにエアー吸入口を絞る負圧式のエア遮断バルブのおかげでドン付きがひどかったですね。
ECPとマニホールドを逆車仕様に交換しマフラーを社外品に交換。
遮断弁を撤去すると低速以外素晴らしいレスポンスになったのを覚えています。
調子に乗って回して走るとカムチェーンテンショナーが弱くすぐにジャラジャラ音が出ていました。K1以降は対策されましたね。
今ほどエンジンもスリムでは無かったのでだるまさんみたいでした。
でもいかにもスズキらしく思い入れもあったバイクです。
長文失礼しました。