ゼファーでブイブイ言わせてたカワサキが出したもう一つのネイキッドであるZRX。
ZZR400の水冷エンジンを積んだモデルで見た目から分かる通りローソンレプリカでお馴染みZ1000Rをイメージしたネイキッド。ローソンのZ1000Rというのは簡単に言うとアメリカのレースにおいて憎きホンダを打ち負かしチャンピオンに輝いたマシンです。
フルカウルのZZR、ネイキッドのZRXという住み分けですね。ちなみに兄貴分はZRX1100/1200/DAEGといい、”ZRX”だけだとこの400の事を指します。
弟分であることから勘違いされがちですがこう見えて兄貴分であるZRX1100より2年も先に出ています。
上が1100で下が400。
ただ同じZ1000Rがデザインベースながらも比較的スポーツルックなデザインにリファインしたZRX1100に対してZRXはお尻の跳ね上げなどもせず非常に渋いZに通ずるデザイン。
マシンの特性も見た目通りで、クラスとしては小柄で俊敏な1100に対して400は大きくドッシリ系のバイク。
一年遅れでビキニカウルを外して砲弾型メッキメーターやメッキホイールを採用したオーソドックスなZRX-2も発売。
多分ZRXシリーズで混乱してる人も多いと思うのでまとめると
400はビキニカウルが付いた1と丸目の2
1100もビキニカウルが付いた1と丸目の2
1200はビキニカウルのRと大型のハーフフェアリングを付けたSで丸目なし
DAEGはビキニカウルのRのみで丸目もハーフフェアリングもなし
という事になってる。ややこしいね。
まあ要するに丸目ZRXは400と1100だけですが、結局ビキニカウルの付いた無印やRしか売れなかったから1200以降では無くなったわけですね。大した防風性もないビキニカウルの方が売れるネイキッドって珍しいですよね。
これがZの神通力というやつでしょうか。
今さらアレコレ言うバイクじゃないので書くことがない・・・のでエキセントリックカラーの話をしましょう。ZRXといえばコレでしょう。
ZRXシリーズの特徴であるエキセントリックカラー。
ZZR1100やゼファー等にも採用された歴史があり、新型のZ1000(D型から)にも採用されてますけど、ZRXがDAEGまで採用されていた事と丸パイプスイングアームに似合ってることからZRXのイメージが強い人も多いのではないでしょうか・・・そうでもない?
構わずに話を勧めると、これはまあ見て分かる通りチェーンアジャスターなわけですが一般的なのはこんなのですよね。
アクスルシャフトを緩めて、アジャストナットを回して左右のズレと張りを見ながら調整してアクスルシャフトを絞めて完了。やったことある人は分かると思いますが非常に面倒くさいです。
ところがこれがエキセントリックカラーならとっても簡単。
スイングアームの先端に付いているクランプボルトを緩めてエキセントリックの穴に六角を突っ込んで回して調整しクランプボルトを絞めるだけ。左右両方やる必要もアクスルシャフトを緩める必要もなし。なんてお手軽エキセントリック。
更にエキセントリック使い(?)の間では有名なんですが、このカラーは真円つまり360度回るので、カラーを反転させる事も出来るわけです。
こうすると何が変わるのかというと車高が変わります。
下に向ければ車高が上がり、上を向ければ足付きが良くなる面白い構造・・・なんだけど、このエキセントリックがメジャーにならない理由はここにあるわけです。
要するにチェーンの張り調整次第で車高まで変わってしまうんですね。そうすると挙動も大きく変わってしまうので面白いと思う人がいる一方で、違和感を覚える人も非常に多いというわけ。
最後にZRXに話を戻しましょう。
ZRXはZZRと併売されていたんですが、96年にはラジエーターマウント位置の変更とリアサスリザーバータンクデザインの変更といった少変更が入ってますが、大きく変わったのは1998年モデルから。
K-TRICキャブ(KAWSAKI Throttle Responsive Ignition Control)、サイレンサー別体式マフラー、そしてクラス初となる6POTキャリパーなど。
K-TRICっていうのは要するにイグナイターの点火タイミングを遅らせてノッキングを起こさせない様にするシステム。なんでそうなるのかっていう話まで始めると途方も無い長さになってしまうのでそのうち豆知識にでも書きます。
そしてローソンカラーが出たのもこの98年モデルから。ZRXシリーズってDAEG含めて全部そうなんだけど、ローソンカラーは絶対後出しなんだよね。消費者の心理をわかってるというか商売上手というか・・・
一応この後も02年にはギア比の変更、04年にはイモビの採用といった少変更が加わってますが、大きく前期後期と分けるなら~97と98~でしょうね。
結局ZRXはZZRよりも一年長い2008まで販売が継続されました。
カワサキの400ネイキッドといえばゼファーってみんな答えるけど、Zの流れを見たらZRXの方がZに近いネイキッドかもね。
主要諸元
全長/幅/高 | 2095/745/1130mm [2095/745/1080mm] <2075/745/1115[1065]mm> |
シート高 | 770mm |
車軸距離 | 1450mm |
車体重量 | 185kg(乾) [195kg(乾)] |
燃料消費率 | 36.5km/L ※定地走行テスト値 |
燃料容量 | 16.0L |
エンジン | 水冷4サイクルDOHC4気筒 |
総排気量 | 399cc |
最高出力 | 53ps/11000rpm |
最高トルク | 3.8kg-m/9000rpm |
変速機 | 常時噛合式6速リターン |
タイヤサイズ | 前110/80R17(57H) 後150/70R18(70H) <前110/70R17(54H) 後150/70R18(70H)> |
バッテリー | YTX9-BS |
プラグ | CR9E または U27ESR-N |
推奨オイル | カワサキ純正オイルR4/S4/T4 または MA適合品SAE10W-40 |
オイル容量 | 全容量3.7L 交換時2.8L フィルター交換時3.2L |
スプロケ | 前15|後43 <前15|後42> |
チェーン | サイズ525|リンク106 |
車体価格 | 659,000円(税別) [679,000円(税別)] ※[]内はZRX-II(ZR400F) ※<>内は98年以降 |
系譜図
1985年 GPZ400R/FX400R (ZX400D/E) | |
1986年 エリミネーター400/SE/LX (ZL400A/B/C/D) | |
1987年 GPX400R (ZX400F) | |
1990年 ZZR400 (ZX400K/N) | |
1994年 ZRX/2 (ZR400E/F) |
【関連車種】
CB400の系譜|XJR400Rの系譜|GSR400の系譜
なんてかっこいいんだろう。個人的にZEPHYRよりコッチ派です。少数派なんだろうけど。
前期型ZRXIIオーナーです、このバイク変なところ(エアクリーナーカバー)とかが高かったりヘッドカバー左側とフロントフォークのオイル漏れがとにかく酷くてカワサキっぷりを思い知らせてくれますが楽しいです