「THE PREMIUM OFF-ROAD SPORT」
2007年に登場したWR250Rはそれそれは話題騒然で
「ヤマハが本気を出した」
とか
「力を入れる方向が間違ってる」
とか様々な反応でした。
それもそのはず
『31馬力/装備重量132kg』
というコンペティション(競技用)モデルであるWRの名に恥じない性能を持っていたから。
こうなったのは
『オフロード界のR1』
という開発コンセプトを持っていた事があります。
スーパースポーツなど限られた大型バイクのみが採用しているチタンバルブを市販250として初採用。
キック(キック軸)廃止と主要三軸の最適化によりコンパクト化とマスの集中化を行いつつ、吸気もストレートポート化でレスポンスを向上。
更に馬力を叩き出すために
『ボア77mm/ストローク53.6mm』
という超ビッグボアなピストンを採用。
ちなみにこのボアストローク比は当時のYZF-R1(04~08)と全く同じもの。
車体の方も鋳造と鍛造のハイブリットな新設計アルミフレーム、スイングアームも異形断面形状の新設計アルミスイングアームとアルミ尽くし。
もちろんサスペンションはどちらもフルアジャスタブルで、フロントのストローク量も270mmとコンペモデルに迫る本格的な物・・・つまり
『オフロード界のR1』
というコンセプトは決してただのセールストークではなく実際その通りなんです。
本当にYZF-R1のポテンシャルをそのまま250オフロードに最適化させたようなモデルだからそう言われた。
「開発段階でテストライダーが当たり前の様にジャンプしながら走り回ったモデルはこれが初めて」
という話からもそのポテンシャルの高さが伺えます。
このWR250R/X誕生は
「コンペティションであるWR250Fの市販車を作れ」
と言われたのが事の発端。
開発チームはコレを
「つまり公道最強の250を作れってことか」
と受け止めた。
始めはWR250Fのモタード仕様を用意し、それをベースに規制や耐久性をクリアした市販車を造る予定だったものの
「これでは公道最強の250は造れない」
という結論に至り完全新設計する事に決定。
「高性能で高耐久で規制に対応しナンバーが取れる250」
という欲張りとも言える無理難題をクリアするために各部門で相当なバトルが繰り広げられた為にチーム内でも
「これ本当に市販化に辿り着けるんだろうか・・・」
という雰囲気が漂う始末。
そんなこんなありつつも何とか市販化されたWR250R/3D7型。
拘りすぎたせいで
『シート高895mmで70万円』
という腰が抜けるモデルになりました。
そもそも何故WR250Fの公道版を造ることになったのかというと企画主管の牧野さん曰く
「コンペ並のモデルがもう無い」
という事に危機感を抱いていたから。
2stがラインナップから消え、また中古の高騰により買うに買えない状況に陥ってる人たちが大勢いることに危機感を覚えたから造られたのが理由の一つ。
実際このWR250Rは界隈に熱烈に歓迎され、高額にも関わらず販売台数も常に1000台強をキープする安定した人気でした。
人気だった理由はもちろん
「コンペ並の走りが出来てコンペほど手(メンテ)が掛からないから」
言ってしまえば
『メンテナンスフリーで自走できるコンペ』
という本当に欲張りなモデルだったから界隈にも人気だった。
ただし、じゃあ界隈のガチンコ勢だけの為のモデルだったのかと言うと決してそういうわけではありません。
「どうしてオフロードにしたの」
と思われてる方も多いと思いますが、そこらへんの話は長くなったので次のWR250Xにて・・・。
主要諸元
主要諸元
全長/幅/高 | 2190/810/1235mm |
シート高 | 895mm |
車軸距離 | 1425mm |
車体重量 | 132kg(装) |
燃料消費率 | 34.0km/L ※定地走行テスト値 |
燃料容量 | 7.6L |
エンジン | 水冷4サイクルDOHC単気筒 |
総排気量 | 249cc |
最高出力 | 31ps/10000rpm |
最高トルク | 2.4kg-m/8000rpm |
変速機 | 常時噛合式6速リターン |
タイヤサイズ | 前80/100-21(51P) 後120/80R17(62P) |
バッテリー | YTZ7S |
プラグ ※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価 |
CR9EK |
推奨オイル | ヤマルーブ プレミアム/スポーツ/スタンダードプラス |
オイル容量 ※ゲージ確認を忘れずに |
全容量1.5L 交換時1.3L フィルター交換時1.4L |
スプロケ | 前13|後43 |
チェーン | サイズ520|リンク108 |
車体価格 | 668,000円(税別) |