カワサキの対北米戦略ビッグバイク一号の500-SS(通称マッハ3)、海外では「MACH3 H1」の名で知られているバイクです。
色々と凄かった事からネタとして扱われてるので知ってる人も多いかもしれませんね。
大体そういうネタというのは結構大げさに言われてたり、脚色されたりしてるんだけど、このマッハ3は本当に色んな意味で凄かった。
何が凄かったというと2st三気筒500ccってだけでも凄いんだけど、まず
「直線における最速のみ」
を目指して作られた潔さです。
元となっているのは1967年に登場したA7アベンチャー。
「これにもう一気筒追加したら凄いバイクが出来るんじゃないか?」
という発想から生まれたのがマッハ3なんです。
それで見事にゼロヨン12秒というとてつもない速さを持ったバイクが生まれたんだけど、時代が時代なだけあって各部の品質がエンジンに完全に負けていた。
それでも構わず出したから、タイヤが負けてバーストするわ、チェーンは切れるわ、ブレーキは全く効かないわ、フレームもヨレヨレでまっすぐ走らないわ・・・と散々だった。
でも一番問題だったのはシートがツルツルで簡単に滑り落ちる事っていう。
だから巷でも「とても乗れたバイクじゃない」とか「未亡人製造バイク」とかそりゃもう酷い言われようでした。
ところがですよ。
国民性の違いですかね。普通なら止めとこうとなる筈なのにそれを耳にしたアメリカ人達は
「こんなクレージーなバイクは他にない」
とかいって一部の頭のネジが外れた人達に大ウケしたんですね。
アメリカなどでは「カワサキ=ワイルド」というイメージが定着してるみたいなんですが、間違いなくこのマッハ3がその始まりでしょう。
ただカワサキもあまりのクレージーさに危機感を覚えたのか、年次改良のたびにマイルドに仕上げていき、マスキー法(アメリカの厳しい排ガス規制)の件もあってか初期型と最終型の74年モデルでは全く別のバイクになってたりします。
主要諸元
全長/幅/高 | 2025/835/1140mm |
シート高 | – |
車軸距離 | 1410mm |
車体重量 | 174kg(乾) |
燃料消費率 | – |
燃料容量 | 16.0L |
エンジン | 空冷2サイクル3気筒 |
総排気量 | 498cc |
最高出力 | 60ps/7500rpm |
最高トルク | 5.85kg-m/7000rpm |
変速機 | 常時噛合式5速リターン |
タイヤサイズ | 前3.25-19 後4.00-18 |
バッテリー | YB9L-B |
プラグ ※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価 |
B9HCS |
推奨オイル | – |
オイル容量 ※ゲージ確認を忘れずに |
全容量2.3L |
スプロケ | 前15|後45 |
チェーン | サイズ530|リンク106 |
車体価格 | 298,000円(税別) |