ルマンというスポーツモデルで頑張っていたモトグッツィだったけど日本メーカーやドゥカティによる高性能化の激しい波に抗いきれなくなっていた。そこで対抗すべく作られたのがこの1000DAYTONAシリーズ。
これはMOTO GUZZIの車両(R/Vレーサー)でアメリカのレースをプライベーターとして戦っていたジョンの協力によって生まれたレーサー車両。
結論から言うと
1990 1000Daytona
↓
1992 1000Daytona-FI
↓
1996-99 1000Daytona-RS
と続いたわけですが、あまり台数も出なかった(出さなかった?)数少ないOHCモトグッツィだったのですが、MOTO GUZZIとしては転換期のバイクでもあり進むべき道が決まった特筆すべきバイクでもあります。
その見た目からしても分かる通り今までのグッツィの流れから逸脱した作り。
エンジンはそれまでのOHVから4バルブOHCに改められ、カウルデザインも流動的な物に。更にパラレバーに加えフレームもバックボーンタイプへと変更。横置きVツインエンジンくらいしかソレまでのモトグッツィらしさがない異質なモデル。
レースでも勝てる車両として開発されたわけなんだけど市場からは
「こんなのMOTO GUZZIじゃない」
という声が多く聞かれたそうです。
そんな声から作られたのがDaytona1000の実質的な後継となる1994年からの1100スポルトシリーズ。
後のV11のご先祖様であり歴代スポルトシリーズでも非常に人気の高いモデル。
フレームや足回りは先の1000Daytonaをベースにしつつもエンジンを4バルブOHCから2バルブOHVへと変更。
なんだか先祖返りな気がするけど、これはOHCだった1000Daytonaがあまりにもヒュンヒュン回ることへの違和感を覚える人が多かったから。
モトグッツィはもともとカリフォルニアの流れからアメリカで非常に人気のあるメーカーだったんだけどそれでもOHCは駄目だったんだね。アメリカ人のOHVへのこだわりっぷりは本当に凄いね。
だからこの1100スポルトは非常にドコドコといわせる味のあるエンジンになってる。
結局この一件がMOTO GUZZIの方向性を決めたんじゃないかと思います。
その後のラインナップやDAYTONA1000の後釜になり得たMGS-1(デイトナ優勝レーサー)が市販化されなかった事からみても、MOTO GUZZIに求められることはドゥカティに勝つことではなく、味のある唯一無二なバイクを作ることだということが。
ちなみにこの1100スポルトも非常に人気が高かったため、2007年にV1200スポルトとして復活し、2011年まで販売されました。