GSX-R400R/SP/SP2(GK76A) -since 1990-

GK76A

「REVOLUTION」

GSX-R400Rの最終型となるGK76型

アルミダブルクレードルフレームに倒立サスペンション、水冷オイルクーラーなど、もう出し惜しみ無しな作りになりました。スラントシートライト(一枚レンズ)が特徴的ですね。

GK76Aフレーム

もちろんエンジンも新作で、お値段さらに上がって73万9000円。

このGK76型の特徴を端的に表すとすれば”極限までレーサーレプリカな作り”かと。

例えば最初に言ったアルミダブルクレードルフレーム。時代は既に今でも使われるアルミツインスパーフレームに移ってたんだけども、GSX-R400Rは”敢えて”アルミダブルクレードルフレームを選んだ。

それは1989年世界耐久レースで見事勝利したGSX-R750Rがアルミダブルクレードルフレームだったから。

89GSX-R750R

さらに言うとGSX-R400は水冷エンジンなんだけど冷却フィンが付いてる。これもGSX-R750Rが油冷エンジンでフィンが付いていたから。見えない部分までも可能な限りレプリカ。

そして有名なのはポジション。
R400は元々ポジションがライバル車と比較しても結構キツめだったんだけど、このGK76型はそのキツい先代から更に7cm近くハンドルが下がってる(シート高参照)

GSX-R400黒

タンクが長いこともあって窮屈ではないけど、ハンドルが遠くて低いっていう一昔前のポジションを突き詰めた形。そのキツさは全バイクの中でもトップレベルで昨今のSSを鼻で笑えるほど。

足回りも想定域を上に絞ってるから、本気で身体入れて走らないと曲がらない。

要するに完全に割りきった作りをしている。いくらレーサーレプリカと言えどここまで公道走行を考慮してないバイクはそうそうないです。

GSX-R400R SP

しかしいま改めて振り返ってみると、この頃のスズキは本当に凄かった。

HY戦争に否が応にも巻き込まれ致命傷を負ってしまい二輪撤退まで囁かれていた中で

ギャグ

GAGという遊び心の溢れるバイクを出して起死回生のヒットを飛ばしたと思ったら

NSR50|YSR50

ホンダやヤマハに後出しジャンケンでボコボコにされ

RG250

RG250Γという2st250ccレーサーレプリカを出してヒットしたと思えば

NSR250|TZR250

またホンダやヤマハにボコボコに

GSX-R

そしてこのGSX-Rという4st400レーサーレプリカを出してヒットしたかと思えば

CBR400RR|FZR400

やっぱりホンダとヤマハ、そしてカワサキまでにもボコボコに。

これは今も続いています。

昨今の市販スーパースポーツの始祖と言えば

CBR900RR|YZF-R1

「CBR900RR(1992年)だ!」「いやYZF-R1(1998年)だ!」

と言われることはあっても

GSX-R750

「GSX-R750(1985年)だろ!」

と言われる事はめったに無い。どれも正解なんだけど何故かGSX-R750だけは言われない。

バイク業界も勝てば官軍か。

話をGSX-R400Rに戻しましょう。

1993年には400ccの馬力規制が59馬力からさらに強化され53馬力になりました。当然GSX-R400Rも例外ではなく1993年モデルからは53馬力に。

これが去りつつあったレーサーレプリカブームのトドメとなりGSX-R400Rも1995年モデルを最後に生産終了となりました。

GSX-R400Rファイナル

決して大人気といえるレーサーレプリカではなかったけど、ガンマと共に時代を開き、最後まで時代に抗ったレーサーレプリカでした。

主要諸元
全長/幅/高1995/710/1060mm
シート高750mm
車軸距離1375mm
車体重量167kg(乾)
燃料消費率36.0km/L
※定地走行テスト値
燃料容量16.0L
エンジン水冷4サイクルDOHC4気筒
総排気量398cc
最高出力59ps/12500rpm
<53ps/12000rpm>
最高トルク4.0kg-m/10000rpm
<3.5kg-m/9500rpm>
変速機常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ前120/60R17(55H)
後160/60R17(69H)
バッテリーFTX7A-BS
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
CR8EK
推奨オイルスズキ純正
エクスター
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量3.7L
交換時2.8L
フィルター交換時3.0L
スプロケ前14|後44
チェーンサイズ525|リンク108
車体価格739,000円(税別)
[787,000円(税別)]
{797,000円(税別)}
※[]内はSP
※{}内はSP2
※<>内は92年以降モデル
系譜図
GSX-R 1984年
GSX-R
(GK71B)
GSX-R400 1986年
GSX-R400
(GK71F)
GK73A 1988年
GSX-R400/R/SP
(GK73A)
GK76A 1990年
GSX-R400R/SP/SP2
(GK76A)

「GSX-R400R/SP/SP2(GK76A) -since 1990-」への1件のフィードバック

  1. ありがとうございます。
    自分はGK76Aに乗っています。
    HY戦争の話から4stレーレプの争いの話などなどを、こんなガキの俺にもとてもわかりやすく説明してくれて、生まれて初めて社会の歴史で感動し、切ない気持ちになりました。
    ただただレーレプが好きで、見た目も良く誰とも被らないカッコいいバイクだ!と思っていましたが、こんな過去を背負ってこいつが生き残ってきたとは思いもしませんでした。
    ファッションや言動など時代は回ってゆくと言いますので、いつかまだ自分が地球に存在しな頃のレーレプ全盛期の時代が我らのもとへくることを願っています。

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