バイク乗りのノーヘル率は38.5%(警視庁調べ)

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見出しを読んで信じられない人が多いかも知れませんがこれ事実です。

そもそもバイクによる死亡事故原因の約半数を絞めるのは頭部損傷によるものです。

事故

だから1965年には高速道路での、1978年には一般道でのヘルメット着用が義務化されました。

多分ここを読むような人はみんなちゃんとしたフルフェイスヘルメットを被っていると思うので

「俺には関係ない話だな」

とか思ってる人が多いかも知れませんが、実はそうじゃない。

ハーフヘルメット

ちなみにもし半ヘルを被ってる人が居るなら下の図を見て、半ヘルがいかに危ないか知ってほしいと思います。

ヘルメットに衝撃が加わる割合

これはアメリカの大学と調査機関によるバイクでの事故時に衝撃が加わる箇所の割合。

圧倒的にチン(顎)を中心とした前面の割合が大きい事が見て取れると思いますが、半ヘルはこの一番危険な部分を守ってないから危ないんです。

アライとショーエイ

安全性に定評があるプレミアムヘルメットメーカーのAraiやSHOEIが半ヘルを作らなくなったのはこれが理由の一つ。

そしてもう一つは

「簡単に脱げてしまう」

という理由から・・・そしてこれが本題でもある。

警視庁の2015年調べによると、二輪のヘルメットの着用率は96%と非常に高く優秀。しかし一方で死亡事故のうちヘルメットが脱落したせいで亡くなってしまった方が38.5%もいる。

つまりタイトルの「ノーヘル率が38.5%」というのは

“ヘルメットは被っているけど、被っていれば安心と思い無自覚なノーヘル状態で亡くなってしまった人の割合”

という事になる。これは最初に言った通り安全性を考えてフルフェイスヘルメットを被ってる人も例外ではないんです。

フルフェイスヘルメットといえど

・アゴ紐の締め忘れ

・アゴ紐の緩み

で簡単に脱げてしまう。ベテランライダーが陥りやすいのが”キツくならない様にor解きやすい様に緩めに”といった行為。

アゴ紐の締め方

ヘルメットの新機能や使用期限、SNELL規格やMFJ公認などを気にするものいいですが、こういった行為を軽視してしまうとどんなに高くて良いヘルメットでも何の意味も成さなくなり”ノーヘル状態”と同じになってしまいます。

だから

“安全のために良いフルフェイスヘルメット被って安心”

ではなく

“フルフェイスヘルメットを被ってアゴ紐をちゃんと締めて安心”

ですよ。そこでヘルメットは初めて意味を成すんです。

何度でも言いますが半ヘルは論外です。知り合いが半ヘルで乗ってたら叩いてでも止めること。顔が傷ついても美容整形と見なされ保険はおりませんので後で泣きを見ます。

平さん

そして貴方も次にヘルメットを被る時はアゴ紐を気持ち程度でも良いので今よりもう少し絞めましょう。

あとできれば胸部プロテクターもね。頭部の次に多いのは胸部(23.7%)です。ここまで出来ればピーポくんも大喜びです。

世界の酷道と世界から見た日本の酷道

酷道

「dangerousroads.org」という世界中の危ない道、日本で言う酷道を紹介している面白い英語サイトを見つけたのでピックアップ&翻訳/要約してご紹介したいと思います。

ユンガスの道(ボリビア)

ユンガスの道

あまりの転落事故の多さからデスロードとも呼ばれる世界的に有名な道。

ボリビアは左ハンドルで右側通行なものの、ここだけはすれ違い時に運転手が崖を見えるよう例外的に左側通行になっている。

デスロード

インフラが整っていない開発途上国はこういう道がゴロゴロあるようですね。

コル・デ・ラ・ボネット(フランス)

ボネット峠

フランスにあるアルプス山脈でも最も標高が高い峠。

全長23km、標高差1600m、舗装路としては最も高い2715mまで道がある。

コルデラボネット

最大勾配17%に加えガードレールがない急カーブが続きます。

パサージュ・デ・ゴア(フランス)

パサージュ・デ・ゴア

ノワールムティエ島へと繋がる1日に2回(約180分)ある引き潮時だけ通れる道。

その時間以外は沈んでしまう上に、全長も4.5kmと長いのでタイミングを間違えると水没の恐れあり。

アトランティックロード(ノルウェー)

アトランティックオーシャンロード

8つの橋で島々を結ぶ約8kmの道。

CMにもよく使われる綺麗さを持っているものの・・・

アトランティックオーシャンロード2

海が荒れると途端に牙をむく。

天門山(中国)

天門山

約11km、99個のカーブを曲がりながら約1300mを駆け登っていく道。

これも車のCMなどでよく使われていますね。

郭亮洞(中国)

郭亮洞

中国からもう一つ。郭亮洞。

郭亮村の人達が人力で山を掘って作った全長約700mのトンネル。

今ではすっかり観光名所となり、すれ違えないほどの幅の道を観光バスがガンガン通る。

マーシミク峠(インド)

マーシミク峠

インド北部にある標高5582mの峠道。

車やバイクで走れる最大標高の道であるものの、舗装がかなり悪い荒野なので簡単には走破出来ない。

当然ながら周囲には誰も、何もないので故障すると終わり。

オールドテレグラフトラック(オーストラリア)

オールドテレグラフトラック

オーストラリア北端のケープヨーク半島にある道。

乾季にのみ一般開放されるが、当たり前のように崖や川があるので普通の車やバイクでは行けない。

テール・オブ・ザ・ドラゴン(アメリカ)

テールオブザドラゴン

ノースカロライナ州からテネシー州にかけて通っているアメリカで最も有名な峠道。

全長約18kmに渡って318ものコーナーがある走り屋の聖地で事故が絶えない。

コース図

対向車とぶつかったり、崖下に落ちているyoutube動画があったら大抵がここ。

マルホランド・ハイウェイ(アメリカ):Motorcyclistより

スネーク

意外にもデンジャラスロードに入っていなかったのですが有名ですね。

ロサンゼルスの外れ、カリフォルニア州西岸にある峠道。転倒動画で見たことがある人も多いのではないかと。

ちなみに”スネーク”と銘打たれているこの(上り)コーナーで何故コケる人が多いのかというと

・Rを読み間違えやすい

・逆バンクになっている

・道路が砂だらけ

という理由から。

「ここでコケたらyoutubeで晒されるぞ」

とMotorcyclistで紹介されていました。

バムロード(ロシア)

BMA

ロシア南部にある全長4300kmの最も厳しい冒険道の一つ。

バイカルアーム鉄道のために設けられた物で現在は放置されている。

多くの腐っている木製の橋、川の交差点、落ちたら助からない穴などで冒険者の神経を削り続ける。

【おまけ】

世界中の道を紹介しだすとキリがないのでこのへんにするとして

「じゃあ日本では何処が紹介されているのか」

というのが気になったので調べました。向こうの解説と共にお楽しみください。

河津七滝ループ橋(静岡県)

七滝高架橋

車を45mも上下させるダブルスパイラル構造の世界で最も壮大なループ橋。

一見すると危険だが、制限速度も30km/hなので安全に景観を楽しむことが出来る。

江島大橋(鳥取県~島根県)

江島大橋

見ているだけで吐き気を催すジェットコースターの様な橋。

しかし実際に走ってみるとそうでもない。

旧犬鳴トンネル(福岡県)

旧犬鳴トンネル

数々の不可解な事件がトンネルの内外で起こった九州で一番危ない場所。

現在は閉鎖されている。

毛無峠(群馬県)

旧犬鳴トンネル

この峠道が危険なのは道路が狭いことではなく対向車だ。

彼らはブラインドコーナーでもカーブミラーを見ないし、譲ろうともしない。

しかし彼らにマナーを求めても無駄である。何故なら彼らは地元民ではなく観光客だからだ。

津軽岩木スカイライン(青森県)

津軽岩木スカイライン

きついコーナーが延々と続く道。

登りきった時の景色は最高でファンになることは間違いないが、食後に行くと後悔するだろう。

あと乗り物に酔いやすい人は絶対に行ってはいけない。

※その他

いろは坂(栃木県)

いろは坂

白山白川郷ホワイトロード(石川県~岐阜県)

白山白川郷ホワイトロード

生駒山(大阪府~奈良県)

生駒山

立山黒部アルペンルート(富山県)

立山黒部アルペンルート

富士スバルライン(山梨県)

富士スバルライン

乗鞍スカイライン(岐阜県)

乗鞍スカイライン

これらは基本的に景色が素晴らしいというベタ褒め的な紹介でした。

やはり山脈が連なっている中部が充実していますね。

スーパーカブという映画がある

スーパーカブ90

アクション映画やアニメ等で時たま出てくるバイク。でも出てくるのは高額なバイクばっかり。

そんな中でなんとあの庶民派バイクの代表であるスーパーカブが

出てくるだけならまだしも、タイトルまでもがまんまスーパーカブで大活躍するという映画が2008年に出ました。

映画スーパーカブ

なんかもう表紙の時点でツッコミどころ満載な感じがしますが・・・少しだけ紹介。

主人公はZXR250で峠で最速を誇っていた峠小僧。

NSR250とZXR250

しかしNSR250Rとの対決でマシントラブルで負けてしまい、更に運が悪いことに白バイに捕まってしまう。

何かニトロ使って加速というワイルド・スピード的な演出もありこれまたツッコミどころ満載。

そして結果としてバイクを失い親戚の蕎麦屋の監視下に置かれる事に。

シーン1

そこでカブ90と出会い、バイクを諦めきれない主人公は蕎麦の出前という新しいバイクライフを始めます。

シーン2

元走り屋なだけあって出前でも最速を誇っていた主人公。

そのせいで色んな所から目をつけられ勝負を挑まれたり

シーン3

事件に巻き込まれたりするわけです。

シーン4

いやいや・・・ちょっと待って。。。

とまあザックリした紹介ですが、ストーリーや勝敗が気になる方はぜひご覧になってはいかがでしょうか?

カブ乗りやカブに興味がある人は必見です。

カブに興味が無い人は・・・まあ暇つぶしにでもどうぞ。

好評だったのかなんと2まで出てたりします。

スーパーカブ2

しかも激闘編です。

欧州車のデザインが奇抜な理由

欧州車

自動車大国である日欧米の中でも欧州は車もバイクもデザインやカラーリングのアクが強いというか、言ってしまえば奇抜なモノが多いですよね。

イタリアのドゥカティは見慣れた感があるのでそうでもないですが

・MV AGUSTA(伊)

・BMW(独)

・KTM(墺)

・TRIUMPH(英)

・PEUGEOT(仏)

などは明らかに日本車には見えないデザインをしたバイクばかり。

欧州デザイン

これは欧州の立場から言わせれば

「日本のバイクはデザインが独特」

という話なんですが、このギャップがある為に日本メーカーもメインターゲットが欧州のバイクはヨーロピアン溢れるデザインになっていたりします。

パッと思いつくのがヤマハのTDM850やホンダのCB1000R。

CB1000RとTDM850

それからスズキならGLADIUSにカワサキのER-6nなどですね。

グラディウスとER-6n

なんとなく欧州を意識しているのが伝わるかと。

だから一重に『先進国向け』と言ってもデザイナーは日米と欧州で良い落とし所を持ったデザインをせねばならず本当に大変なんだそう。

じゃあ何故ここまで欧州は違うのかという本題。

コレについて初代ロードスターやRX-7(FC)などをデザインされた後にカワサキに入って二代目Z1000やZZR1400などをデザインされた田中さんがCLUBMAN/266号で非常に腑に落ちる事を仰っていました。

それは・・・

ドイツの景観

「欧州は景観が変わらないから」

という話。

これがどういう事か自己解釈を交えつつ説明します。

欧州というのは基本的に景観規制により構造物が何百年も姿かたちを変えずそのまま建ち続けています。

秋葉原の景観

景観が汚い事で有名な日本からすると羨ましい話でもあるんですが、その国のその場所に住んでいる邦人からするとずっと代わり映えがしない街でもある。

つまり欧州の生活というのは

「日常での視覚的な刺激が乏しい」

という事。

日本で例えるなら長屋とまでは言わないものの延々と祇園みたいな景観が続く形。

日本の景観

旅行で来るなら良いけど

「一生この景観のまま住め」

と言われたら若い人なんかは特にイヤですよね。

でも欧州は規制によってそれが行われてる。

もちろん国民たちは自国の素晴らしい景観を誇りに思っているんですが、そのかわり視覚的な刺激を受ける事は出来ない・・・その反動が乗り物に来ているんです。

フランスの街

車もそうですが乗り物なら建造物ほど規制が厳しくないので刺激的な見た目にする事も、それを所有する事も出来る。

だから自然と刺激性の強いデザインになっていった。

『視覚的な飢えを補うモノ』

という役割もあったから我々からすると奇抜に見えるデザインが主流になったという事。

もちろん欧州と一括りに言っても

・コテコテを好むドイツ

・ヌルヌルを好むフランス

・セクシーを好むイタリア

などなど国によって趣向の違いはあるものの視覚的な刺激を求めているのは一緒。

アビントン

世界的に有名なカスタムビルダーが数多く存在し、トレンドがいつも欧州からである事。

そして何日も掛けて野を越え山を越え、そして国をも越えるツーリングをする人が当たり前の様に居るのも

欧州ツーリング

『視覚的な餓え』

が心の根底にあるからなんでしょうね。

チェーンの発案者はレオナルド・ダ・ヴィンチ

レオナルド・ダ・ヴィンチ

カムチェーンやドライブチェーンなど多くのバイクにとって欠かせない動力伝達の要である鎖状の金属。この構想を最初に考えたのがレオナルド・ダ・ヴィンチってご存知でしたか。

レオナルド・ダ・ヴィンチというと最後の晩餐やモナリザで有名な画家なんですが、ウィトルウィウス的人体図に代表されるように

『解剖学』
『生物学』
『天文学』
『数学』
『物理学』
『土木工学』

などなどを独学で学んでおり、その際に書き残していた膨大な数(残っているだけで5000枚)のメモの中には時代を先取りしていた物が多かった事から近年では

「万能の天才」

と称され発明家としても有名ですね。

代表的なのがヘリコプターや連射銃それにパラシュートや戦車などが有名かと思いますが、その中の一つにはチェーンもあったんです・・・というと

「実現不可能な形でこじつけじゃないのか」

と思われている人も居るかも知れない。

確かに手稿の中には炸裂弾など実現したものもある一方でちょっと無理筋なものもあります。ただチェーンは明らかにハッキリと描かれています・・・それがこれ。

ダヴィンチのチェーンメモ

どこからどう見ても伝動を狙ったローラーチェーンが描かれてる。

これはレオナルド・ダ・ヴィンチの手稿の中でも代表的な

『アトランティコ手稿の987枚目(https://www.codex-atlanticus.it/#/Detail?detail=987)』

に描かれているもの。恐らくフィレンツェの軍事技師をしていた1500年前後に関係しているんじゃないかと思います。

ただしこれ実現していない・・・16世紀にはこんなものを造る製鋼技術も加工技術もなかったからです。

チェーンがこの世に誕生したのはそれから約300年後となる1832年。仏のメデェールガスという人物が自転車用チェーンの特許を取り実現させたのが始まり。

それ以降チェーンの製造技術が確立すると

「角度や距離の問題を解決してくれる最高の伝動機械だ」

という事で普及し始めたんですが、実現当時のチェーン(ガルチェーン)はただ繋ぎ合わせただけの文字通りチェーンだったのでピン(接続部)が簡単に摩耗したり破損したりする問題があった。

しかし1880年に英国のハンスレノルドという人物がブッシュとローラーを兼ね備える事でチェーンの問題点だったピンの摩耗や破損を解消した我々がよく知る

『ローラーチェーン』

を開発。

ライトフライヤー号とローラーチェーン

1903年にライト兄弟が完成させた世界初の航空機であるライトフライヤー号も

「ローラーチェーンが無かったら不可能だった」

という話もあるほど多方面で非常に重宝されました。

レオナルド・ダ・ヴィンチとチェーンの関係

つまりレオナルド・ダ・ヴィンチはそんな偉大な機械を380年も前に考えていたという事になる・・・凄いというか未来人説もあながち嘘じゃないように思えますね。

参照:日本チエーン工業

世界で初めてオートバイを作ったのは現ベンツ(ダイムラー)

メルセデスベンツ

世界で初めてオートバイを作ったのは自動車の父でもあり、後にダイムラー・ベンツの元となる会社DMC(ダイムラー・モトーレン・ゲゼルシャフト)の創始者ゴットリープ・ダイムラーさんです。

ゴットリープ・ダイムラー

世界で初めて自動車を作った人としては有名ですが、実は車より先にバイクを作って特許まで取っていたんですね。

それがこれ。

1885-1886年 Reitwagen(リートワーゲン)

リートワーゲン

264ccの0.5馬力で時速10kmで走ることが出来たそうです。

何でも息子に乗らせて実験してたとか。

股の真下で轟々と炎が燃えてるなんて熱い以前に相当な恐怖があったんではなかろうか・・・

設計図

しかしダイムラーはすぐに四輪の方に取り掛かり、世界初の四輪車の製作に成功するとそちらへ注力する事になり市販化には至たらず。

世界で初めてオートバイが市販化したのは約10年後の1894年の事。

それもダイムラーではなく同じドイツのヒルデブラント&ヴォルフミュラー(H&W)という会社から。

1894年 Hildebrand & Wolfmüller

ヒルデ&ヴォルフ

世界初の量産車となるとこのバイク。

1489ccで最高速は45km。総生産台数は3000台にも上ったそうです。

H&W構造

ドイツではオートバイの事をモトラードと言うのですが、その言葉を生み出したのもH&Wと言われています。

2010年ごろに偶然アメリカの家庭で見つかったものがネットオークションに掛けられ8万6000ポンド(約1500万円)で落札されました。恐ろしい値段ですね。

ちなみに1896年(明治29年)に初めて来日したオートバイメーカーでもあり、日比谷をデモ走行したそうです。

残念ながら1919年の第一次世界大戦の終戦と同時に閉鎖となりました。

余談ですが日本で最初に生まれたオートバイは何処のかというと大阪の島津 楢蔵さんの作ったNS号です。

1909年 NS号

NS号

20台ほど売れたらしいのですが残念ながら現存しているのは一台もありません。

もはや昔過ぎる上にホンダのホの字も出ないから何一つピンと来ない人も多いかと・・・

しかしもしダイムラーが二輪車に本腰を入れてたら今頃はメルセデス・ベンツのバイクが売ってたんでしょうかね。

スリーポインテッドスターのバイクか・・・

日本のレギュラーはイレギュラー ~オクタン価の話~

日本のガソリン

『オクタン価(RON)』

言葉くらいは知ってる人が多いと思います。

・自己着火し難い”イソオクタン”

・自己着火しやすい”ノルマルヘプタン”

オクタン価というのはこの混合比(容積比)の事で、オクタン価が高いガソリンほど自己着火し難いガソリンとなる。

ガソリンの色

そしてハイオクはオクタン価100。

つまりほぼイソオクタン(99.5%以上)で、レギュラーのオクタン価90はヘルマルヘプタンが少し入っているという事。

厳密に言うと、現在では燃焼試験によって算出するためオクタン価というのは一種の目安でしかないそうですが。

そして一部の高性能車がハイオク仕様となるのは、エンジンの性能(圧縮比)を上げていく際に問題となるノッキング(自己着火)を回避するため。

ノッキングというのは燃焼行程で燃料がプラグからの火を待たずに勝手に燃え始める事。

ノッキング

エンジン開発はノッキングとの闘いとも言われるほど、ノッキングというのは非常に厄介な現象。

ノッキングを起こすとパワーダウンとなり、高負荷時に起こるとエンジンブローします。

つまりハイオク仕様というのは、自己着火し難いハイオク燃料を前提にする事でノッキングのボーダーラインを引き上げるため。

それ即ち性能(圧縮比)が上がるわけですからね。

まあそんな事よりもこのページで大事なのは

「ハイオク仕様≠オクタン価100仕様」

という事です。

これは日本と海外で流通しているガソリンはオクタン価が違う事が関係しています。耳にしたことがある人も多いかと。

【欧州のオクタン価:92/95/98】

EU

欧州ではオクタン価95のガソリンを販売する事が欧州燃料指令(DIRECTIVE 2009/30/EC)で義務付けられています。

「欧州のレギュラーは日本のハイオク」

と言われる理由はこれで、向こうの人はほぼこのオクタン価95を使っています。

ちなみにオクタン価92のローグレードは国によって有ったり無かったりするマイナーグレード。

【北米のオクタン価:※87/89/91】

USA

北米は地区によっては若干の誤差があるんですが、それより重要なのはオクタン価の計測方法が他の国がリサーチ法を用いるの対し

「リサーチ法(RON)×モーター法(MON)」

による算出のため他の国より低い数値になっている事。

アメリカのガソリン

ただこれをリサーチ法に換算するとおおよそ92/95/98で欧州と変わらない。

この算出法の違いから

「89指定ということはレギュラーでいいのか」

という誤解を招きやすいので注意を。

日欧米を纏めるとこうなります。

LOW MID HIGH
日本 90100
北米 929598
欧州 929598

つまり日本に持ってきた際にハイオク仕様となるのは

「欧米のレギュラー(オクタン価95)に合わせているから」

となるわけですね。

これを知っている人はハイオク仕様でもハイオク(オクタン価100)とレギュラー(オクタン価90)を半分ずつ入れて節約したり・・・あまりオススメしませんが。

あとオクタン価を上げる高濃度のアルコール系添加剤も金属やシール・ゴムを駄目にするので絶対に止めておきましょう。

話を戻すと、要するにハイオク仕様というのは極一部の例外を除き

「オクタン価95以上が条件であってハイオクが条件ではない」

という事です。

ハイオク仕様の逆輸入車にお乗りの人はタンクなどに貼ってあるコーションラベルを見てもらうと分かります。

ガソリンラベル

”RON95(オクタン価95)”もしくは”95Octane”

と書かれている文を発見できるかと。

ココまでが豆知識で、これ以降は備忘録と思って下さい。

上記の内容を見て同じように思った人も多いと思います。

ガソリンノズル

「なぜ日本のレギュラーはオクタン価90と低いのか」

という話。

これは日本のオクタン価はJIS規格K2202で

・プレミアムガソリン(1号:オクタン価96以上)

・レギュラーガソリン(2号:オクタン価89以上)

と定められているから。

だからレギュラーはオクタン価90となっている。

規格の89より1多いのは下回った場合、売れなくなってしまうので安全マージンというわけ。

しかしそうすると新たな疑問が湧いてくる。

「なら何故ハイオクは規格の96を大きく上回る100なのか」

という事。

いくら調べても答えが見つからなかったのでJXTGエネルギー株式会社に問い合わせてみたところ・・・

ENEOS

「石油各社が商品アピール競争した結果」

という想定外な答えが返ってきました。オクタン価を品質と思ってる消費者が多いということでしょうか。

※実際に売られているハイオクはオクタン価98程度という話もあります

まあハイオクは好き者や極一部の人しか使わないのでいいとして、問題は9割以上の人が使うレギュラーです。

最初にも言いましたが、エンジンの性能を向上させる上で問題となるのはノッキング。

マツダの某エンジニアの方も

「オクタン価90と95は全然違う・・・」

と嘆くほど、90というオクタン価はエンジニア泣かせな要素なんです。

燃焼

ちなみにいま存在するオクタン価90(レギュラー)前提のエンジンを、オクタン価95前提の設計にすると燃費や馬力が5%ほど上がると言われています。

だから実はJAMA(日本自動車工業会)も2007年に石油業界に95に上げるように要請した事があります。

JAMA

「欧州を中心に高圧縮&ダウンサイジングの流れが来ている。

しかしそれはオクタン価95の環境があるからで、オクタン価90である日本の環境ではハイオク仕様となり売れない事から、高圧縮技術の開発が進まず置いていかれる。

もしもオクタン価が95になれば燃費も伸びるからエコにも繋がる。」

凄く真っ当な言い分です・・・が、結果はお流れに。

そしてその言い分の通りメーカーが恐れていた欧州発端ダウンサイジングターボブームが巻き起こり

「日本はHV偏重だったから欧州の直噴ダウンサイジングターボで遅れを取った」

などと好き勝手に言われる事態に。

ちなみにレギュラーのオクタン価は最初から90だったわけではありません。

一号  二号  三号
1952  726560
1958 807560
1961 9080廃止
1965 9585 
19869689 

こうやって少しずつ上がってきたんですが、1986年を最後に30年以上もオクタン価は上がっていない。

なおのこと

「燃費も性能も向上するんだから上げろよ」

と思いますよね。

じゃあオクタン価を引き上げに反対する

『石油業界の言い分』

は何なのか。

コンビナート

どうして石油業界がレギュラーのオクタン価引き上げに難色を示しているのか色々と調べたところ

「バランスが崩れてしまうから」

というのが大きな理由のようです。

石油精製のフローチャート

石油から様々なものを造っているのは皆さんご存知と思います。

その中でガソリンとして主に精製されているのは

・重質ナフサを接触改質して精製する改質ガソリン

・原油から得られる直留ガソリン

・LPガスをベースに付加反応で精製するアルキレートガソリン

・重油を接触分解して精製する分解(またはFCC)ガソリン

これらを上手いことミックスして造っているのがガソリンで、一つだけでガソリンになるわけではないんですね。

ガソリン消費量の推移

そして大量に精製する必要があるレギュラーガソリンのオクタン価を95に上げるとなった場合、この基材(ベース)の割合を変える必要がありバランスが崩れてしまう。

「コスト増&設備負担増&他の石油製品への影響大」

という理由から石油業界は首を立てに振らないというわけ。

500km NO FUEL

これは安定供給第一という国からの命題を守るためでもあり、国(経産省)の方も

「オクタン価を95に上げると確かに自動車のCO2は減るが、設備負担とコストが増すので慎重を期する必要がある」

という結論を出しています。

また我々は値段とオクタン価しか見ませんが、ガソリンにもバイクの排ガス規制のように硫黄などの有害成分に規制値が設けられており、石油メーカーは年々強化される規制値をクリアするガソリンの開発という課題も抱えているんです。

ガソリンの規制値

ちなみにその規制のおかげで日本のガソリンは今や世界一クリーンなんだとか。

ただもう欧米だけでなく台湾やシンガポールなどでもオクタン価95がメジャーになっている時代。

gasoline

そんな中で日本だけオクタン価90というのは・・・いつか95、もしくは95グレードが設けられる日は来るんでしょうかね。

そのまま水素に移行する気がしないでもないですが。

【オマケの豆知識】

ガソリンって同じ銘柄でも地域や季節によって微妙に違うのをご存知でしょうか。

冬や北海道などでは始動性をあげる為に寒候用ガソリンに、夏や沖縄などでは加熱によるベーパーロック(気泡発生)を防ぐために夏季用ガソリンに、蒸気圧(37.8℃kPa/44以上78以下)などで変えてある。

だから同じ銘柄でも地域や季節によって五種類ほどあるんだそう。※種類や詳細については企業秘密

最後になりましたが、迅速かつ丁寧に色々とお答えいただいたJXTGエネルギー様、出光興産様ありがとうございました。

給油の際は是非ともエネオスか出光で。

自然吸気も過給している ~慣性吸気と吸気脈動~

自然吸気の過給

排気量が大きいほうがパワーがある事からも分かるようにパワーを出すのに最も大事となるのが吸気の量。

「どれだけ多くの空気(混合気)を吸えるか」

がパワーに直結します。

そのためターボやスーパーチャージャーなど予め圧縮した空気を吸わせる事でパワーを出すいわゆる『過給装置』が生まれました。

スーパーチャージャー

しかし実は過給というのは何もターボやスーパーチャージャーだけの専売特許ではなく自然吸気(Naturally Aspirated 通称NA)でも行われています。

その名も

『慣性過給』

というやつです。

ややこしくなるので以下すべて空気で通していきます。

そもそもエンジンがどうやって空気を吸うかというと、ピストンが下がる事によって生まれる負圧から。

負圧が音速で吸気管を遡りエアクリーナーという大気圧の部屋まで伝播することで空気が引っ張られる様に流れ込んでくる。

吸気の負圧波

しかしだからとってすぐに吸われて満たされるわけじゃない。何故なら空気は伸縮する上に重さがあるから。

一気に最大船速でシリンダーに流れ込むわけではなく引っ張られて伸びながら徐々にスピードを上げつつ流れ込んでくるわけです。

吸気フロー

そのためエンジンが

「180度(吸気終了)だから圧縮に入るよ」

といってキッチリ180度で吸気ポートをピシャリと閉めると間に合わず入り損なってしまう空気が出てくるわけです。

吸気フロー2

この状態では充填率は80%ほどで大気圧以下つまり負圧状態。

最初に言ったようにどれだけ多くの空気を吸えるかが大事なエンジンにとってこれは非常に勿体無いですよね。

じゃあその猛スピードで雪崩込もうとしている空気を最大限取り入れよう思ったらどうすればいいか・・・180度を超えても吸気バルブを開けておけばいい。

吸気フロー3

こうすれば猛スピードで来ている空気も最大限詰め込む事ができる。

「それだけで100%以上の空気を詰め込める過給(大気圧以上)になるとは思えない」

と考えるかも知れませんが、ごもっともな話でそこがこのページのミソ。この慣性力(勢い)で詰め込む事を慣性過給と言われていたりしますが違います。

一番最初に解説した様にピストンの負圧によって負圧波が発生するんですが、その負圧波が大気圧つまりエアクリーナーボックスまで達すると今度は正圧波と呼ばれる圧力波が発生します。

圧力波

この正圧波はいま負圧波が来た道を逆行するように吸気ポートに向かいます。

正負とあるように空気を引っ張ってくるのが負圧波なら反対である正圧波は・・・ピンと来た人も居るでしょう。

吸気フロー4

空気を押し込むんですね。正確に言うと吸気管内の圧力を高める。

こうして吸気管内の圧力が燃焼室よりも高くなることで空気が圧力の低い方(燃焼室)に雪崩れ込む形となり充填率が場合によっては120%を超える。

これが慣性吸気またの名を

『慣性過給』

といいます。

「じゃあなんでターボと馬力がぜんぜん違うの」

という痛い所を突かれると、これには問題があるから。

重ねて言いますがこの圧力波というのは音速です。

圧力波

つまり往復する速度は時速1225km/hと決まっている。

じゃあ吸気バルブの開閉周期はどれくらいか。

「そんなのエンジン回転数次第じゃん」

という話ですよね。

圧力波とバルブタイミング

これが問題。

つまりこの慣性過給を全域で起こす事は出来ない。

正圧波とバルブタイミング(バルブが閉まる寸前)をベストマッチさせて初めて起こせる過給だから『ここぞ』という狙った回転数でのみ有効なんです。

じゃあそのタイミング合わせは何処で取っているのかというとインテーク、最初に話してきた吸気管の長さです。

吸気管の長さと太さ

長ければそれだけ往復に時間が掛かるし、短いとすぐに返ってくる。

本当はバルブも大きく関係しているんだけどますます難しくなるので割愛します。

吸気管の長さ

ちなみにスクーターなど低中域が大事なバイクほど吸気管は長く、SSなど高回転型になるほど短くなっているのが一般的です。

これは前に話した社外マフラーの話と同じで、低中速では流速(流れる速さ)が、高速では流量(流れる量)が大事だから。

吸気管というのは空気にとって加速ゾーンみたいなもの。

だから長くすればゆっくり吸っても(低回転)でもビュンビュン来てくれる。でも思いっきり吸う高回転になると量が足りなさ過ぎてパワーが出ない。

反対に短いと高回転時はグングン吸えるけど、低回転域では弱いので空気が来てくれずパワーが出ない。

マニホールドの長さ

よく別のエンジンを積んだバイクで

「中低速寄りにしました」

とか言っているのはここを絞ったり長くしたりしている事が大半。一昔前にあった逆輸入車デチューンの国内仕様などもそうですね。

もっというとヤマハなどが採用している可変エアファンネルも

「凄く短く(高回転寄りに)したいけど低回転で吸えなくなる」

という問題から生まれた技術。

加速ゾーン

2ピースにして低速時は連結されて長い吸気管にしつつ、高回転になるとパカっと開いて短い吸気管にという話。

スズキやカワサキが採用している変な形をしたファンネル(インテーク)も同じ狙いです。

S-DSI

なんだか話が脱線し始めたのでまとめると・・・

過給器が付いていない自然吸気エンジンでも過給とは無縁ではなく慣性による過給が起こっている。そしてそれを活かすようにメーカーは設計を行っているという事。

是非ともトルクピークまで回して慣性過給を体感してみてください。

以上が自然吸気でも過給が行われているという話でした・・・って

『吸気脈動』

についての話をしていませんでしたね。

・圧力波が反転し正圧波となって吸気ポートに向かっていくことで過給が起こる

・バルブの開閉はエンジン回転数に依存するので常にタイミングを合わせる事は出来ない

という話でしたが

「じゃあタイミングが合ってなかったらどうなるの」

というと正圧波が向かって行った時に吸気ポートが閉まっていると行き場がないので反射して帰ります。

正圧波の反射

帰っていった先に何があるかといえば負から正へ反転するポイントである大気圧のエアクリーナーボックスですよね。

つまりこうなる。

負圧波への反転

再び負圧波に転身し吸気ポートに向かうんです。

そして吸気ポートが閉まっていたらまた跳ね返ってエアクリーナーまで戻り、再び正圧波として吸気ポートに向かう。これは何度も力を弱めつつも脈のように続きます。

そんな繰り返される二次三次の圧力波(またはそれを利用する事)を『吸気脈動』と言います・・・が、この吸気脈動は少し厄介な問題があります。

負圧波との合致

それは負圧波がドンピシャで吸気ポートと合ってしまった時。

こうなるとどうなるか・・・分かりますよね。

せっかく充填されつつあった空気を引っ張り出す様な働きをしてしまうんです。

トルクの谷の正体

従来の吸気の働きとは真逆の事をしてしまう。

こんな事をされると当然ながらパワーが出ない。

世間でよく言われている

『トルクの谷』

と呼ばれる一時的なトルクの落ち込みの主な原因はこの吸気脈動の負圧波が重なってしまう事から。

基本的にレゾネーター等でそうならないように消したりしているんですけどね。

吸気の仕組み

慣性過給かトルクの谷か、そのどちらかを起こす諸刃の剣のようなのが吸気脈動。

ちなみにこの吸気脈動というか圧力波は感じ取ることが出来ますし、なにより大好きな人も多いと思います。

あの”クォーン”と響く吸気音。それの正体(音源)はコイツなんです。

タンデムは武器である ~何故バイク乗りはモテないのか~

タンデム

今回は少し男性的な話。

先入観や偏見と言われるかも知れませんがバイクというコンテンツが男性に人気な事から見ても女性と縁がないバイク乗りは多いかと・・・系譜なんて訪問者の9割が男性です。

そのため

「バイクに乗ってもモテない」

とお思いの人も非常に多いかと思いますが・・・必ずしもそうとは限らない。

ヤマハが20~30代の女性を対象としたアンケート結果(ヤマハ発動機株式会社「TRICITY LMW部調べ」)によると意外な事が分かりました。

【調査概要】
調査名:女性のバイクに対する意識調査
調査実施期間:2015/6/25~2015/6/26
調査手法:インターネットパネルを利用したWEB定量調査
サンプル年齢:20~39歳
サンプル性別:女性のみ
サンプル数:618名

「バイクに乗ってみたい、または運転してみたいですか?」

というアンケートを取ったところ、こういう結果が出たんです。

バイクに乗ってみたい女性

なんと実に約半数以上の女性が

「バイクに乗ってみたい」

と考えているという驚きの結果に。

しかし一方で

「二輪免許を取得していますか」

という質問に対してはこういう結果。

現在二輪免許を取得していますか

僅か12%しか居なかった。

そして

「取得を考えたことがあるか」

という質問に対しては約40%ほど。

女性の二輪免許取得

この調査結果を受けてヤマハは

「女性の方に潜在需要がある」

という結論を出していました・・・が、既にバイクに乗っている男性にとって重要なのはここから。

合わせてこういう質問もされていました。

「バイクに憧れた事がありますか」

+

46.8%と非常に多くの女性がバイクに憧れを抱いた事があると回答。

しかも一番多かった理由は

「格好良いから」

というもの。

そしてもう一つ。

「タンデムするならどんな人としたいですか?」

という質問に対し

「異性・恋人」

と答えた女性が89.5%と圧倒的だった。

タンデムデート

つまり世の女性の約半数は

「免許を取ってまで乗ろうとは思わないけどバイクを格好良いと思っておりタンデムデートに憧れを持っている」

ということになる。

タンデムツーリング

ちなみに

「バイクで何処へ行きたいか?」

という問いに対しても

1位 海岸沿い
2位 定番のツーリングスポット
3位 自然あふれる所

とバイク乗りなら比較的誰もが知ってるであろうベタなもの。

女性はバイクなんて興味ないとか我々は思っていますが、実際は興味ある人が多いんですね・・・バイク乗りとしてこれを使わない手は無い。

ツーリングスポット

気になる人がいたら気軽にタンデムに誘ってみてはいかがでしょうか。

もしかしたらその人はバイクに乗るアナタを格好良いと思っており、タンデムに誘われるというのは白馬に乗った王子様(ソッチじゃないですよ)に誘われる様な事なのかもしれない・・・。

タンデムツーリング

と言ったところで恐らく大多数の野郎バイカーは

「絶対に嘘だ、バイクに乗ってもモテない」

って思うでしょう。

確かにバイクが縁で彼女が出来ましたなんて話はほとんど聞かないし

「バイク乗るなんて格好良いですね」

なんて言われた事がある人は例えお世辞であろうと1割も居ないかと。

このアンケート調査と体感のギャップは何なのか。

女「バイクのタンデムデートに憧れる」

男「バイクに乗ってもモテない」

何故こうなってしまっているのか。これがずっと気になっていたんですが、バイクに全く興味のない平成生まれの女性達に話を聞く機会があって思わずナルホドと唸った意見があったのでそれを元に書いていきます。

タンデムカップル

バイクについて聞いてみるとヤマハの調査結果通り

「バイクに乗る男性は格好良いと思う」

「タンデムしてみたい」

という答えが確かにあった・・・あったんですが、詳しく聞いてみると同時にこの格好良いを

「多くのバイク乗りが勘違いしている」 

という事も分かったんです。

オフロードレーサー

バイクに乗らない女性が思う格好良いバイク乗りというのはこういうバイク乗り・・・ではない。

クルーザーライダー

こういうバイク乗りでも

SSライダー

もちろんこういうバイク乗りでもない。

バイクに乗らない女性が格好良いと思うのはこういうバイク乗り。

街乗りライダー

要するにバイクをツールとして普段遣いしている人。

極論すると

『通勤や街乗りに使ってるバイク乗り』

だったんです。

レインスーツ

「レインスーツを着て走ってる人が格好良い」

という意見すらありました。

これに対してバイク乗りは基本的に愛車(バイク)を世界一好きで世界一格好良いと思ってるから

「格好良い愛車で格好良くキメることが最高に格好良いんだ」

というヒーローの様な図式を思い浮かべてしまう。

ロゴウェア

ギャップの原因はここにあると思われます。

バイクに乗らない女性にとってバイクというのはツールのような物だから

『平然と当たり前のようにバイクに乗る姿』

これこそが格好良いバイク乗りと考えている。ビューティフルライフのTW200や最近ではアンナチュラルのW400などドラマに起用され一般人にもウケが良かった使われ方が正にそれですよね。

しかし野郎バイカーは漫画やアニメやアクション映画の様にバイクを前面に押し出して凄みを出す姿こそが格好良いバイク乗りだと思ってる。

バイク乗りを前面に押し出す

だからバイクを村正やエクスカリバーのような『最強の武器』と思ってブンブンと見せつけるように振り回し勝利ポーズを決めようとする。

でもバイクを知らない女性にとってバイクはそういう物ではないのでヤバい人としか思われない。結果として期待に対する効果が得られずモテないと考えてしまうという話。

タンデムデート

もちろんそうやって酔いしれる事が出来るのがバイクの魅力の一つであるのは間違いないのですが、気になる女性の前だけでは最強の剣ではなく腰から下げるマルチツール程度に思い、必殺技のように繰り出すのではなく何気なく使ってる姿を見せ”糸口”にするのが賢い選択かと。

エンジンが溶けない理由とノッキングで溶ける理由

燃焼温度

エンジンは触れない事からも分かる通りものすごく熱くなります。

燃焼温度は2000℃を超え鉄すらも溶かしてしまう程の高温です。

燃焼温度

それに対して圧縮する役目を持っており一番その熱を受けるであろうピストンは基本的にアルミで出来ており融点は鉄よりも低い660℃となっています。

つまり普通に考えると2000℃を超える燃焼に晒されたらピストンはデロデロに溶けるハズ・・・なのに溶けない。

これが何故かというと熱伝導で逃しているのも勿論あるんですが、断熱境界層という2mmほどの空気のベールに包まれるからなんです。

断熱層

ザックリいうと燃焼の火炎とピストンを始めとしたエンジンの間に空気の膜が形成される事でエンジンが直接晒されずに済み溶けないんです。

熱いお風呂でも浸かると慣れてしまうのと同じです。

これを踏まえて次。

「ノッキングでエンジンが壊れる」

と言われる理由もこれに関係しています。

境界層

早い話が設計上の点火と別の場所で異常燃焼が起こってしまうと、それによる圧力波で断熱境界層を破ってしまう。

この膜が破られる事でピストンを始めとしたエンジンの各部が燃焼の火炎に直接晒されてしまい溶けてしまうんです。

断熱層が破れる

絵が下手で申し訳ないですが、これもお風呂で例える事ができます。

さっき熱い風呂でも浸かれば慣れると言いましたが、そんな状況でも体を動かしたり風呂を掻き回されると途端に熱く感じますよね。

まさにそれもこの断熱境界層が破られるから。氷の中で缶を回すと冷えるのもそうです。

つまりノッキングはエンジンにとって厄介な湯掻きみたいなもの。

このノッキングによって温度境界層が破壊され溶けたり、掻き回した事で発生した圧力波が縦横無尽に反射してシリンダーを傷ついたりする・・・んですが、更に不味いのが『プレイグニッション』を誘発する事。

断熱層が破れる

どこかでも言いましたがノッキングによる断熱層破壊により熱せられた部分が点火装置となってしまう。

アチラコチラで点火はまだ先なのに勝手に点火と膨張を始めてしまい更にひどい状況になる。

『ノッキング』

『熱せられてプレイグニッション』

『プレイグニッションで更に熱せられる』

『暴走型プレイグニッション』

ピストン溶解、コンロッド変形、焼付き

などなど・・・となる。

だから

「ノッキングがエンジンを壊す」

と言われているんですね。

以上がエンジンが溶けない理由、そしてノッキングでエンジンが溶ける(壊れる)理由でした。

ちなみに良い様に思える断熱境界層ですが『断熱』なので、場合によっては厄介なものだったりもします。

オイルジェット

油冷や空冷がエンジンヘッドやピストンといった熱に厳しい部分にオイルを流すだけではなくジェットで勢いよく吹き付けるのは、単純に冷却するためだけではなく断熱境界層を破る(破って熱を奪いやすくする)狙いもあるんです。

つまり湯掻きならぬ油掻きというわけです。