SR400(RH03J)-since 2010-

RH03J

「日本の、スタンダードです。」

2008年に実施された厳しい排ガス規制で

『空冷×単気筒×400』

という三大要素を全て兼ね備えていた為にカタログ落ちとなってしまったものの、およそ2年の歳月の後に復活した六代目SR400のRH03J型。

SR400wallpaper

ここでも型式は変わらず3HTのままで3HTRから3HTXまでと、2017年モデルから新コードのB0Hとなっています。

大きな変更点としてはキャブからFI(電子制御燃料噴射装置)になった事。

それだけかと思うかも知れませんが、これSRにとっては死活問題。

SR400フューエルポンプ

FIということは燃料を加圧する必要があるので、拳ほどの大きさもある燃料ポンプが必要になる。

スリムなSRにとってこれは非常に重荷。これをもしそのまま燃料タンクに突っ込むとタンクが盛り上がってしまうから。

SR400インジェクション

だからSRはわざわざ電装系の配置を全て見直し、なんとかサイドカバー部にスペースを設けてそこに押し込むことでサイドカバーを左右10mm高くするだけで済ませてある。

排ガスをクリーンにするために欠かせないマフラーもそう。このモデルから触媒とO2センサーを付けたものになり重量が変わりました。

SR400

だから取り付け位置を変える必要が生まれた。

でも単純に変えただけでは”変わってしまう”のでガードを付けたりしてそれを感じさせない様にしている。

しかしここまで電子制御化してもなおキックだけという潔さ。セルも検討したそうですが結局キックだけ。現存する市販車でキックだけってもうSR400だけじゃないかな。

今や伝統化して『儀式』と呼ばれるまでになりました。

キックスタート

ちなみにSRが欲しいけどキックが不安だと思ってる人に断っておきますが、SR400はデコンプ(キックを軽くするレバー)とキックインジケーター(キック位置の目印)が付いているのでかなり簡単です。

慣れると座ったまま3秒で掛けられるくらい簡単。

話を戻しますが、2年もの月日が空いてしまったのはこれら排ガス規制による変更だけでなく、製造ラインの問題も大きく関わっています。

というのも2008年規制で多くのモデルが販売不可になってしまった事を機にヤマハは製造ラインを集約したんですが、SRをそのラインに入れることが出来なかった。

これが何故かというと簡単な話で

B0H

「ハンドメイド過ぎるから」

です。

例えば今どき珍しいクリア塗装のクランクケースは三工程も掛けて手で磨く必要がある。スペシャルエディションになると八工程にもなる。

クランクは組立式だし、マフラーも仕上げは手溶接。そして何より組立に必要な治具もほとんどが昔からの古い専用品。

もっと細かい事を言うと、プロジェクトリーダーの山本さんが悩んだというのがピボットに付いているグリスニップルという今どき考えられない部品。

グリースニップル

グリスニップルというのはグリス注入口が付いたボルトの事なんですが

「これ要るんだろうか・・・」

と悩まれたそう。

これは錆びによる固着(ピボットシャフトが抜けなくなるのを)防止するのが狙いで1983年モデルから付けられたもの。

あくまでも当時の話であって品質が上がった今となっては無くても大丈夫なんでしょうが、悩んだ結果

「変える必要がないならそのままにしよう」

という事で結局そのまま。

35周年

こういう細かいながらも変えていない部分が非常に多いから今どきのバイクと一緒に造るのが難しかった。

それが仇となってしまったわけですが、じゃあどうやったのかというとゴルフカートの製造ラインにねじ込んだんです。

ヤマハのゴルフカート

幸運な事にゴルフカートが4st化に伴い製造ラインが見直されていた。そこで全く部署が違うにも関わらず何とかお願いしてSRも一緒に造ってもらえるように根回し。

復活に少し時間が掛かってしまったのはこれが理由。

最後に。

系譜を読まれて初めてSRが意外と手を加えられている事を知った人も多いかと思います。

ただそう思うのも当たり前な話。

1978と2018

『変えずに変える』

SRはこの難題に四半世紀以上も向き合い、どんなに厳しい時代になろうと逃げずに磨き上げて来たからです。

SINCE1978

今やその歴史の長さから

『ヤマハを体現したバイク』

と言われるまでになったわけですが・・・なんかちょっと安直で伝わり難いですよね。

それより

2018SR400

『ヤマハのクラフトマンシップを体現したバイク』

と言ったほうがしっくり来るかと。

主要諸元
全長/幅/高 2085/750/1110mm
シート高 790mm
車軸距離 1410mm
車体重量 174kg(装)
燃料消費率 41.0km/L
※定地走行テスト値
燃料容量 12.0L
エンジン 空冷4サイクルSOHC単気筒
総排気量 399cc
最高出力 26ps/6500rpm
最高トルク 2.9kg-m/5500rpm
変速機 常時噛合式5速リターン
タイヤサイズ 前90/100-18(54S)
後110/90-18(61S)
バッテリー GT4B-5
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
BPR6ES
または
W20EPR
推奨オイル ヤマハルーブ
プレミアム/スポーツ/ベーシック
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量2.4L
交換時2.0L
フィルター交換時2.1L
スプロケ 前19|後56
チェーン サイズ428|リンク130
車体価格 550,000円(税別)
系譜図
XT500 1976年
XT500
(1E6)
2H6 1978年
SR400(2H6)
SR500
(2J3)
3X6 1979年
SR400/SP
(3X7/3X6)
SR500SP
(3X4)
34F 1983年
SR400/SP
(34F/34E)
SR500/SP
(34A/33Y)
1JR 1985年
SR400
(1JR/3HT)
SR500
(1JN/3GW)
RH01 2001年
SR400
(RH01J)
RH03 2010年
SR400
(RH03J)
RH16J 2018年
SR400
(RH16J)

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

footer.php