「深化。」
SR史上最大のヒットとなった四代目のSR400/1JRとSR500/1JN型。
主な変更としては、エンジンが再び見直されガスケットのメタル化とカムチェーンのアルミ化でオイルにじみを改善。
ロッカーアームに焼結チップを採用し、カムにもバーコリューブライトという表面処理をすることで耐摩耗性を更に向上。
ガソリンタンクも2Lアップの14Lとなり、ポリッシュからアルマイト加工の中空アルミリムの前後18インチに変更、サイドスタンドも鍛造になり信頼性と質感を向上。
しかし・・・一番は何と言ってもディスクブレーキからドラムブレーキへの変更ですね。
おまけにフロントフォークブーツを装着し、ポジションもバックステップ&ハンドル化で前傾気味に。
もはや回帰を通り越して退化と呼べるような変更で一気にトラディショナル感溢れるモデルへとなりました。
ドラム化しても制動距離がディスク時代から変わっていない事にメーカーの意地を感じますが、こうなった事には賛否両論ありました。
今と違ってSRを軽快な街乗りトラッカーとして評価している人たちや、自分たちでトラディショナルにしたいと考えていた人たちが居たからです。
しかし、こうなってほしいと願ったのもまた同じSRユーザー。
その声に応えた形となったこの1JR/1JN型は順調に販売台数を増やしていきました。
その人気は目を見張るものがあったため、遂に競合車が現れる様になりトラディショナル(カスタム)ブームが到来。
このトラディショナル(カスタム)ブームは本当にSRを救ったと言えるでしょう。
SRはもともとSRXにバトンタッチして終わる予定だったものの、社内から残すべきだという声が多かった事から存続する事になった経緯があるからです。
じゃあそんなブームが訪れた中でSRが生き抜くために何をやったかというと
【1988年(3HT1/3GW1)】
・カムを4度遅らせてマイルドに
・キャブを強制開閉式から負圧式に
・エアクリーナーボックスを拡大
・チェーンを428へダウンし騒音規制に対応
【1991年(3HT3/3GW3)】
・タンクを多重クリアのミラクリエイト塗装に
【1993年(3HT5/3GW4)】
・MFバッテリー化
・CDIや点火コイルの改良
【1994年(3HT6/3GW5)】
・セミエアフォーク廃止
・タンデムベルト廃止
・ACジェネレーターの改良
などなどブームが来ているジャンルとは思えないほどの小変更だけ。それでも1996年には約9000台とSRとしては最大の販売台数を記録。
時代が来よう来まいと、売れようと売れまいとSRはずっとSRのまま。
ヤマハのSRに対するぶれない姿勢はこのモデルで固まったと言えるんじゃないかと。
主要諸元
全長/幅/高 | 2085/735/1080mm |
シート高 | 790mm |
車軸距離 | 1410mm |
車体重量 | 153kg(乾) [153kg(乾)] |
燃料消費率 | 47.0km/L ※定地走行テスト値 |
燃料容量 | 14.0L 『12.0L』 |
エンジン | 空冷4サイクルSOHC単気筒 |
総排気量 | 399cc [499cc] |
最高出力 | 27ps/7000rpm [32ps/6500rpm] |
最高トルク | 3.0kg-m/6500rpm [3.7km-m/5500rpm] |
変速機 | 常時噛合式5速リターン |
タイヤサイズ | 前3.50S18 後4.00S18 |
バッテリー | YB7L-B <GT4B-5> |
プラグ ※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価 |
BP6ES {BPR6ES} |
推奨オイル | – |
オイル容量 ※ゲージ確認を忘れずに |
全容量2.4L 交換時2.0L フィルター交換時2.1L |
スプロケ | 前16|後47 {前19|後56} |
チェーン | サイズ530|リンク106 {サイズ428|リンク130} |
車体価格 | 399,000円(税別) [430,000円(税別)] ※スペックは1JR ※[]内はSR500(1JN) ※{}内は88年以降 ※<>内は93以降 ※『』内は96以降 |