「開発コード583」
XT500の登場から約2年後に登場したXT500のオンロード版『Single Roadsports』として登場した初代SR400/2H6型とSR500/2J3型。
SRは元々の企画段階ではBSAのゴールドスターを参考にスクランブラー~トラッカーとして登場する方針でした。
我々が思うSRとはだいぶ離れている印象を受けると思いますが、これはXT500同様に一番売らないといけない主要市場だったアメリカから
「XT500の(マッスルな)ダートトラッカーを造って」
という要望があったから。アメリカの人気レースであるフラットトラックでXT500のエンジンを積んだマシンが活躍したから背景があったからだと思います。
しかし更に転機となったのが1977年。
日本のバイク誌であるモトライダーが4月号にて
「ヤマハからロードボンバーが発売」
というエイプリルフールネタをやったんです。
これは本当はXT500のページでも紹介した通り鈴鹿六耐用に開発されていたレーサー。このマシンに一枚噛んでいたモトライダーがそれを隠して市販化という飛ばし記事みたいな事をやったわけです。
そしたらこれを真に受けてハートを射抜かれる人が続出し、バイク屋やヤマハ本社へロードボンバーに対する問い合わせや予約が殺到という想定外の反応に。
この反響の大きさを受けてヤマハはSRを更にオンロード寄りな形に軌道修正。
とはいうもののエンジンなどは基本的にXT500のまま
・吸気バルブの拡大
・冷却フィンの大型化
・フライホイールマスを12.5%増加
などの変更を加え、四点リジッドで振動を軽減させた新設計のオイルタンクインフレームに搭載。
ちなみに日本とフランス向けだった400はストローク量を縮めることで399cc化・・・というか本当にそれだけで、キャブを覗けば500とほぼ一緒。
というのも400は法的にやむを得ず造った面が強いモデルだったから。しかしいざ造ってみるとショートストローク化による歯切れの良いレスポンスが好評っていう。
そのことが現れているのが500と400の相違点。初代モデルは色々と特徴があります。
まず500はテールカウルが無く、400はテールカウルはあるけどある代わりにグラブバーが無い。
ポジションも500はアップライトハンドルなのに対し、400がコンチネンタルハンドル。
オジサマ向けの500なのに対して400はショートストロークで機敏な事からスポーツ寄りにされてる。
そんな発動場となったSRは、もともとXT500をオンロード仕様にする人がチラホラ居たことから400は約2000台、500も約1300台とそれなりに人気を呼びました。これも海外ではアメリカ向けに造ったけど、結局売れたのはドイツだったとか。
ただ経緯が経緯なだけに初期型はオンロードモデルなのにブロックタイヤなど立ち位置がまだハッキリしていなかった事もあり、わずか一年ほどですぐにモデルチェンジする事になりました。
まさかこのモデルが40年以上も続くモデルになるとはこの時は誰も思っていなかったでしょうね。
主要諸元
全長/幅/高 | 2105/765/1135mm [2105/845/1155mm] |
シート高 | 810mm |
車軸距離 | 1410mm |
車体重量 | 158kg(乾) |
燃料消費率 | 44.0km/L [45.0km/L] ※定地走行テスト値 |
燃料容量 | 12.0L |
エンジン | 空冷4サイクルSOHC単気筒 |
総排気量 | 399cc [499cc] |
最高出力 | 27ps/7000rpm [32ps/6500rpm] |
最高トルク | 3.0kg-m/6500rpm [3.7km-m/5500rpm] |
変速機 | 常時噛合式5速リターン |
タイヤサイズ | 前3.50S19 後4.00S18 |
バッテリー | YB7L-B |
プラグ ※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価 |
BP6ES |
推奨オイル | – |
オイル容量 ※ゲージ確認を忘れずに |
全容量2.4L 交換時2.0L フィルター交換時2.1L |
スプロケ | 前16|後47 |
チェーン | サイズ530|リンク106 |
車体価格 | 310,000円(税別) [350,000円(税別)] ※スペックは2HR ※[]内はSR500(2J3) |