「キング・オブ・モーターサイクル」
ホンダ初となるリッターバイクであり、ゴールドウイングの原点でもあるGL1000GOLDWING。
「北米向けバイクを常識に囚われず白紙から作れ」
とCB750FOURなどにも携わった野末さんが指名され導き出した答えが振動がほぼなく低重心に出来る
『水平対向四気筒エンジンにシャフトドライブ』
の貴族バイクでした。どちらもホンダ初です。
もちろんただ水平対向を積んでるわけではありません。
水平対向エンジンというかクランクが縦になるエンジンの宿命として前後長が長くなってしまうデメリットがあります。
これは車の物なので形が違うのですが、シャフトが縦を向いてしまう為に
『エンジン→ミッション→ドライブシャフト』
と数珠繋ぎになりエンジン長が長くなってしまう問題があるわけです。
エンジン長が長くなると必然的に全長が長くなり眠いバイクになってしまう・・・そこで考えられたのが二階建てエンジン。
エンジンの後ろにミッションを持ってくるのではなく、エンジンの下にミッションを潜り込ませるように配置。
GL1000はこれで前後長を抑えているわけです。
「別にグランドツアラーなんだから伸びてもいいのでは」
と思うかもしれませんが、ゴールドウィングが目指したのはただ上品なだけの貴族バイクじゃないんです。
「気品の中に燃えるスポーツ魂を持っているバイク」
というのが初代GOLDWINGのコンセプト。
だからわざわざオルタネーターをクランクと逆回転にしてトルクリアクションを相殺しコーナリングの邪魔をしない工夫までされている。
エンジン以外の部分でもこだわりは強く、例えばミッションを二階建てにしたことで空いたエンジン後方のスペースをガソリンタンクとすることで低重心に貢献。
ダミータンクにはエアクリーナーや電装系に加え小物入れになっています。
そんなGL1000はデビューするやいなや北米で話題となり、和製クルーザーとして非常に大きな第一歩となりました。
ただ残念ながら1000ccなので(750cc上限規制で)日本では販売されず、入ってきているのは個人輸入モノだけ。
実は国内向けに(本田宗一郎の要望もあり)750ccの計画も並列して進んでいたようですが、パワーが足りないとして結局お蔵入りとなりました。
晩年の1979年にはコムスターホイールとタンクメーターを装備。
でも恐らくGL1000は皆が思うゴールドウイング像と掛け離れていると思います。
それもそのはずでGL1000はグランドツアラーという肩書はあったものの、この時点では大型カウルを付けるという構想は無かった。
ジャパニーズネイキッド然としていたからアメリカでも大ヒットしてたZ1と被って見えた上に倍近い$3000だったので、確かに評判は良かったもののセールスは好調とは言いがたい物もあったのも実情。
この事から
「GL1000はZ1キラーとして生み出された」
という誤解が生まれたんでしょうね。ちなみにそれはGL1000ではなくCBX1000です。
主要諸元
全長/幅/高 | 2305/875/1225mm |
シート高 | 810mm |
車軸距離 | 1545mm |
車体重量 | 265kg(乾) |
燃料消費率 | – |
燃料容量 | 19L |
エンジン | 水冷4サイクルOHC2バルブ水平対向4気筒 |
総排気量 | 999cc |
最高出力 | 80ps/7000rpm |
最高トルク | 8.3kg-m/6500rpm |
変速機 | 常時噛合式5速リターン |
タイヤサイズ | 前3.50-19 後4.50-17A |
バッテリー | – |
プラグ ※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価 |
D7EA/D8EA/D9EA または X22ES-U/X24ES-U/X27ES-U |
推奨オイル | – |
オイル容量 ※ゲージ確認を忘れずに |
– |
スプロケ | – |
チェーン | – |
車体価格 | – ※国内正規販売なしのため |