VFRの系譜

RVF
(RC45)
-since 1994-

RC45

「歓声は私のものだ。」

VFR750R/RC30の後継モデルになるRVF/RC45です・・・って多分

「RVFがワークスで、RVF(RC45)が市販車で・・・」

と混乱している人もいると思うので時系列で簡単に説明。

RVFの系譜

だいぶ端折ってますが大体こういう感じです。

ワークスマシンと同じRVFという名前を付けてしまったからややこしいですね。まあ一般的にRVFといったらこれか400のNC35です。

RC45とNC35

ハンサムなのが400、可愛い目をしてるのが750です。

ライト形状が違うのは確か海外での規制やレースの関係だったかと。

 

さて、このRVF/RC45は先代にあたるVFR750R/RC30と同じようにスーパーバイク(市販車ベースのレース)で勝つため開発されたバイクです。

ちなみにプロジェクトリーダーだったのはVFR750R/RC30と同じ本多さん。

しかし本多さんが

「RVF/RC45はアルミトラスフレームにする」

と言い出した事でモメてしまい、本多さんが相変わらず折れなかった為にプロジェクトリーダーを解任され企画が頓挫。結局本多さんは勝てば何しても許されるHRC(レース部署)へ出向になったんだそう。

RVF/RC45

代わりに堀池さんという方がプロジェクトリーダー(以下PL)となり開発されました。

この本多さんが外れた経緯や、後継(二代目)である事からRC45というネームバリューはVFR750R/RC30よりは少し落ちるのが正直な所です。

でもですね、というかですね、これVFR750R/RC30の後継とは思わない方が正しいかと思います・・・コンセプトが全然違うんですよ。

RC30とRC45

確かにRVF/RC45はVFR750R/RC30の後釜です。

 

RVF/RC45には解決しないといけない至上命題が二つありました。

一つはフレームです。

RVF/RC45

この頃になるとレースの舞台がTT-F1(耐久レースの延長線上)からWSB(ワールドスーパーバイク)へ完全移行しつつあったんですが、そこで問題となったのがフレーム。

WSBはTT-F1と違ってフレームの変更が禁止されているんです。つまり市販車の段階で激化するレースを戦い抜くフレームを持たせる必要があった。

RVF/RC45フレーム

だからRVF/RC45では一からフレームを作り直しました。

具体的に言うとメインチューブのサイズを縦長に変更することで縦剛性は上げつつ、横方向の剛性を落としてコントロール性を向上。反対にスイングアームは縦も横も捻れも15%ほどアップ。

もちろん先代に引き続きHRC製(HRCの金型)のもの。

 

そしてもう一つはエンジン。

RC45エンジン

厳しいパワー競争に対抗するためワークスチューンではなくHRCキットのみで150馬力を叩き出すポテンシャルを持たせる事を目標に開発。

そしてその為にはRC30ベースでは難しいと判断しエンジンを一から作り直す事に。

エンジンヘッドからクランクまで全て新しくなったのですが、中でも特徴的なのがV4シリーズとしては初めてボアストローク比を見直してビッグボア化したこと。

RVF750

更にインテークとエアクリーナーボックス容量を拡大するためにキャブレターからPGM-FIへの変更。

もちろんパワーだけでなくカムギアトレインをセンターからサイドにしたことでエンジンをコンパクト化し、前輪荷重の増加と4kgの軽量化も行っています。

というか本当はそれらだけでなく何もかも変わっているですが、キリがないのでこのへんで。

honda RVF

相変わらずスペシャルなので年産500台限定でお値段は約200万円。

ちなみにこのRVF/RC45の登場を誰よりも喜んだのはレースをしているプライベーターの人たち。自分たちで弄るのが難しい隅々まで手を加えて速くしてくれたわけですからね。

 

「それでRC30とどう違うんだよ」

って話ですが、RVF/RC45のPLは最初にも言った通り堀池さんという方なんですが、この方はNRの車体設計などずっとHRCに在籍していた市販車とは無縁のレース育ち。

RVF750壁紙

そんな堀池さんがRVF/RC45で掲げたコンセプトはVFR750R/RC30で掲げられた

『打倒RVF(ワークス)』

とは全く違う・・・というかむしろ真逆の

『RVF(ワークス)のスライド』

がコンセプトなんです。

これがどういう意味か簡単に言うと

「RVF(ワークス)を先に造って市販車に持ってくる」

という事。

HRCに長く在籍していた人らしい発想で、HRCスタッフを多く迎えてまずワークスマシンを完成させる。

RC45ワークス

そしてそれを元に市販車(RVF/RC45)を造る形。

だからテストライダーにはワークスライダー(武石さん)まで関わっています。

 

つまりHRCに対抗するのではなく、HRCと造ったホモロゲーションモデルというわけ。

RVFカタログ写真

堀池PLいわくRVF/RC45は

「HRCのノウハウを正直に反映した市販車」

VFR750Rと名乗らず、ワークスと同じRVFと名乗っているのもこれが大きな理由じゃないかと。

 

断っておきますがセールストークじゃないですよ。実際RVF/RC45のディメンションはワークスRVFと瓜二つなんです。

RVFのディメンション

堀池PLも

「リアを20~30mm上げるだけでワークスと同じディメンションになる」

と言い切っています。

※公道では操安性を欠いて危ないのでオススメしないとも

 

RVFをそのまま持ってきた事がセールストークじゃないと言い切れる要素はもう一つあります・・・それはデザインです。

デザイナーはVFRを初め数々の名車をデザインしてきた岸さんなんですが

RVFスケッチ

「デザインしたのはカラーリングくらい」

と仰っていました。

これこそワークスレーサーを持ってきた証。

というのもライバルであるYZR500のPLだった阿部さん曰く、レースマシンにデザイナーは居ないそうです。

何故かと言うとレースマシンというのは

「こうした方が速く走れる」

という事で全ての形が決まってしまうから。

RVFリア

だからそうやって造られたマシンをそのままスライドさせたRVF/RC45も同じ様にデザインの余地がなかった。

ダクトの形状を少し変えようとしたら

「風が引っかかって切り返しが重くなるからダメ」

とHRCからレベルが高すぎて何を言ってるのか分からないクレームが入って諦めたそう。

RVFカタログ写真

つまりこの形は速さを求めた末のもの、言うなればHRCデザインというわけ。

もちろん肝心のスーパーバイクでも1994年に優勝を果たしました。

 

開発者インタビュー記事:BIKERS STATION 1994/3

 

エンジン:水冷4サイクルDOHC4気筒
排気量:749cc
最高出力:
77ps/11500rpm
[120ps/12000rpm]
最大トルク:
5.7kg-m/7000rpm
[7.7kg-m/10000rpm]
車両重量:189kg(乾)
※[]内はフルパワー仕様

系譜図

VF750S/M 1982年
VF750
セイバー/マグナ
(RC07/RC09)
VF750F 1982年
VF750F(RC15)
VF1000R 1984年
VF1000F/R(SC16)
VFR750F 1986年
VFR750F(RC24)
VFR750R 1987年
VFR750R(RC30)
RC36 1990年
VFR750F(RC36)
RVF 1994年
RVF(RC45)
VFR前期 1998年
VFR(RC46前期)
VFR800 2002年
VFR(RC46後期)
VFR1200F 2010年
VFR1200F(SC63)
VFR1200X 2012年
VFR1200X (SC70)
VFR800F 2014年
VFR800F/X
(RC79/RC80)

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