TMAX530の系譜

TMAXSX/DX/530(BX3/BC3) -since 2017-

六代目TMAX

先代で「TMAXモデルチェンジ早すぎ」なんて言ってたら熱も冷めぬ内にまたモデルチェンジしたから二度目の驚き。

日本にも入ってきて見かけるようになったN-MAXシリーズに合わせて逆スラントノーズになりました。また日本は一年遅れになるのかな。

 

ちなみにイタリアのEICMAモーターショー2016で発表されたんですが、特別に別の会場を用意されたようで・・・会場の駐車場が案の定TMAXだらけに。

EICMA-TMAX

一向に人気が衰える気配が無いですね。

 

さてモデルチェンジで大きく変わったポイントを挙げますが、まあこういう事は調べれば幾らでも出るでしょうからチャチャッと書いていきます。

まずフレームが新しく作り直されました。

2017TMAXフレーム

青いほうが2017年式の方なのですが、肉を削ぎ落として9kgの軽量化、更にベルトやホイールのリム幅をワンサイズ細く(タイヤサイズは変わらず)し合計で10kgの軽量化。

リアまわり

フレームを短くしてホイールベースが短くなった分、スイングアームを一気に40mm伸ばしました。安定性を確保するためでしょうね。コレにともなってリアサスペンションにも変更が入っています。

 

二つ目は電子スロットル化(YCC-T)された事。

電スロTMAX

もう電スロの仕組みはCBR250RRの系譜とかで話したので割愛させてもらいますけど、これによってスクーターなのにトラクションコントロールやモード切替やクルーズコントロール・・・

・・・なんですが、車名タイトルにもあるようにTMAXもグレード分けされました。

2017年式TMAX

上の写真はノーマルグレードで付いている装備は

・ABS(標準化)
・トラクションコントロール
・スマートインテリジェンスキー
・新型TFTメーター
・D-Airへの対応

などなど。

2017年式TMAXメーター

D-Airというのはダイネーゼというイタリアのバイク用ウェアを中心に作っているスポーツウェアメーカーが10年掛けて開発したエアバッグシステムの事で、凄いのはワイヤレスだという点。

エアバッグシステム自体は前からあるしレースなんかではもう常識だけど、一般用途においてはランニングマシンのように作動用コードでバイクと繋ぐ必要性があったりする煩わしさがあった。

それをダイネーゼはセンサーをジャケット(背中プロテクター)に内蔵する事でワイヤレス化に成功したというわけ。

2017年式TMAX

1秒につき約800回ライダーの動きを収集し、転倒と判断したら僅か0.045秒という速さで展開するエアバッグシステム。これは自動車のエアバッグと同等の速さ。

そんなD-Airシステムの正確性を更に増すためにTMAXからも作動信号を送れるコントローラーを内蔵出来るようした(コントローラーはオプション)というわけ。

2017年式TMAX

当然ながらタンデムの事も考えて2名までコントロール出来るようになってます。

イタリアで人気の車種故の装備って感じですね。日本のウェアメーカーも早く追い付いて欲しい物です。

 

話をTMAXに戻しましょう・・・次に紹介するのはスポーツグレードのTMAX SX

2017年式TMAX SX

最初に紹介したノーマルグレードに加え

・D-MODE(2モードのエンジン出力切り替え)
・内装のメッキ化やアルミ化などのアップグレード
・My TMAX Connect

となっています。

"My TMAX Connect"というのはスマートフォンで遠隔操作でホーンやウィンカーなどを操作できたり、今バイクが何処にあるのか内蔵GPSで分かったりする。更には速度警告や走行データといったものも閲覧できるデータロガー的なアプリ・・・多分みんな「いらね」って思ってるでしょうね。

でも欧州人にとってはこれ結構ありがたい装備。何故ならこのMy TMAX Connectのお陰で保険のクラスが下がるから。

2017年式TMAX SX

向こうは車種によって保険料が違うのでバイク選びに保険が直結するんですが、今回のモデル分けでそのアプリ機能が付かない無印は今までのTMAX同様にA2ライセンス(日本でいう普通二輪扱い)。

それに対しSXと次に紹介するDXモデルはこのMy TMAX Connectによる速度警告機能やGPSによる追跡といった機能と、Aライセンス(日本でいう大型)扱いのおかげで保険が更に下げられる事になっています・・・まあつまり日本で乗る分にはあまり重要ではないです。

 

そして最後はそのDXモデル。

2017年式TMAX DX

SXモデルに加えて

・電動スクリーン
・クルーズコントロールシステム
・グリップヒーター
・シートヒーター

が付いたモデル。快適装備モデルといったところですね。

2017年式TMAX諸元

最初からこれ貼れば良かったかな。快適装備によりDXは+1kgとなっています。

ちなみに先代も名前をTMAX LUX MAXと変えて併売している。

2017年式TMAX DX

これはEURO4(規制)の猶予が現行車の場合1年あるから。写真に載ってる通りイタリアなどでは低金利キャンペーンをやってるみたいです。

先代もそうだけどTMAXが凄いのは新型が出てもこういったキャンペーンで型落ちだろうが同じくらい売れる事。日用品としての広く認知されている事の証ですね。

※追伸 日本はSXとDXのみの発売

 

モデルチェンジの内容はこのくらいでいいでしょうか・・・私情なんですが前回のTMAXの系譜で書き損ねた事があり、新型が出たら書こうと思っていたので興味ないでしょうけど書かせてもらいます。

2017年式TMAX顔

みなさん"TMAXは実は三気筒"というのをご存知でしょうか。

これは初代から一貫してです。ただ諸元をみてもらうと分かる通りスペック上はパラツイン(並列二気筒)です。

一体どういうことかというと、TMAXは面白い事にパラツインでも稀な360度クランクを採用しています。360度というのはトドのつまりシングルエンジンを2つ並べた様な形のエンジンです。

※クランク角が分からない人は先に「二気筒エンジンが七変化した理由」を読んで貰えると助かります。

 

つまり本来ならTMAXはシングル顔負けの振動(1次振動)を起こすわけですが、ご存知のようにそんな振動は起こりません。それは当然ながらバランサーがあるから。

バランサーというのはその名の通り振動を相殺してくれる重りの付いた棒でバランサーシャフトとも言われています。下の写真は同じ360度ツインエンジンを搭載しているW800のエンジン。

バランサーシャフト

これが1次振動を消してくれる事で振動を抑えているわけです。コレが無いと振動が相乗効果でシングルの2倍以上になり、手や部品がもげるほど凄い振動が起こります。

さてじゃあTMAXもコレが付いてるかと思いきやTMAXにバランサーシャフトは付いていません。代わりについているのが最初に言った隠されたもう一つのシリンダーです。

バランサーシャフト

往復式ピストンバランサーと呼ばれる方法で、プラグやバルブといった内燃機関は持っておらずバランサーとして前の二気筒と反対の動きをし1次振動を消しているというわけ。

綺麗な等間隔だからこそ等間隔にカウンターを当ててやれば綺麗に消せるという事。自動車の水平対向四気筒エンジン等にこの思想が生かされてます。

バランサーピストン

だからTMAXのエンジンは

「水平対向と同じ特性を持つ水平対向三気筒・・・のような横型に近い並列二気筒」

という実に面白い形。非常にややこしい言い回しですが。

 

そもそも何でわざわざそうまでして360度クランクに拘ったのか、180度クランクじゃ駄目なのかって話ですよね。

クランク角

180度クランクということは2番が点火したら次の燃焼まで540度も空いてしまう不等間隔燃焼でトルク変動が大きい。ブンブン回して走るMTのスポーツバイクならそれでも良いでしょうが、スポーツだけでなくコミューターも兼ねるTMAXとして扱い辛さがあってはならない。そして何より良くも悪くもエンジンの存在感がある。

それに対し360度クランクならば360度毎の等間隔燃焼なのでトルク変動が一定で扱いやすい。ただ良くも悪くも振動の問題がある。

コンセプトの一つに"電動と思わせるほどエンジンの存在感を消す事"とあるように、TMAXは360度クランクの味として扱われる振動を完全に取り除き本来の武器であるトルク変動の少ない等間隔燃焼という特性だけを残した。

2017tmax壁紙

つまりTMAXというのはスポーツコミューターであると同時に

「ノスタルジックの対極にいる360度ツインスポーツ」

でもあるわけです。

エンジン:水冷4サイクルDOHC2気筒
排気量:530cc
最高出力:
46ps/6750rpm
最大トルク:
5.4kg-m/5250rpm
車両重量:213[214]kg(装)
※[]内はDXモデル

系譜図

SJ02J 2001年
TMAX(5GJ)
SJ04J 2004年
TMAX(5VU/14B)
SJ08J 2007年
TMAX(4B5)
SJ12J 2012年
TMAX530(59C)
2015SJ12J 2015年
TMAX530(2PW)
2017TMAX 2017年
TMAX530/SX/DX(BX3/BC3)

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