YD-1 -since 1957-

YD-1

「ヤマハオリジナル250」

ヤマハ初となる2st二気筒エンジンを搭載したYD-1。

当時、富士登山レースや浅間高原レースといった全国のバイク乗りがメーカーの技術力を図る一種のベンチマークになっていた正式名称『全日本オートバイ耐久ロードレース』において、YA-1(通称赤トンボ)優勝の勢いそのままに出した250ccモデルになります。

なぜ250ccだったのかというとレースが下記のようなクラス分けで行われていたから。

・ウルトラライト級(125cc)
・ライト級(250cc)
・ジュニア級(350cc)
・セニア級(500cc)

YA-1でウルトラライト級を制覇したヤマハとしては当然ながら

「次はライト級(250cc)だ」

というのが自然な流れで、それを見越して開発された250cc市販車がこのYD-1という話なのですが、YA-1がDKWのRT125を参考にしたのに対し、YD-1は同じくドイツメーカーのADLER社のMB250を参考に開発されました。

1954MB250

聞き馴染みが無いメーカーだと思うので少しだけ説明すると、元々はドイツの自転車屋さん。1901年にバイク製造に成功したことを皮切りに優れた技術力を武器に自動車にまで事業を拡大し、1914年にはドイツの乗用車シェアの20%を獲得するほどでしたが、ドイツだったので戦後賠償とゴタゴタにより1950年代後半に倒産しました。

だからこそヤマハというか当時の社長だった川上氏はその中でも傑作と称されていたMB250を参考にした250を開発するよう指示を出したわけですが・・・

1954MB250と1957YD-1

出来上がったYD-1を見ると似てない。

これにはYD-1の1年前にあたる1953年に開発されたYC-1(YA-1の174cc版)が関係しています。ちなみにAだのCだのDだの言われて混乱している人も多いかと思うので補足すると、当時のヤマハの社名はアルファベットで排気量と世代を表すスタイル。

A→125cc
C→175cc
D→250cc

という感じで、YA-1はYAMAHAの125ccの一号機だからYA-1、YC-1は175ccの一号機だからYC-1という感じです。

そんなYC-1もYA-1に習ってDKWの175を参考に製作されたのですが、デザインに関しては自由が与えられました。

DKW175とYC-1

そのため完成したYC-1はオリジナルであるDKW175に通ずる部分は多いものの、より流線的なデザインとなっており、更には車体色も赤とグレーのツートンボディというオシャレさでした。

これはGK(Group Koike)のドンである東京芸大の小池岩太郎氏が

「車体色はシャンゼリゼ通りの濡れた舗道にしよう」

と発した事が発端だったのですが・・・

シャンゼリゼ通り

GKグループメンバーは貧乏学生の集まりだったので、パリなんて行ったことがなかった。

そのため完全な妄想というかイマジネーションを膨らませた結果こうなった。

参照:日々、思うこと|GKデザイン

YC-1カタログ

そうして完成したYC-1は非常にオシャレだと評判をよび、商業的に成功を収めました。

話を本題のYD-1に戻すと、YC-1の成功があったからこそYD-1もMB250を参考にした180度クランク並列二気筒2stエンジンを積んでいるものの、比較的自由が与えられた事で

「バイクは軽くて小さくてパワフルでスポーティであるべきだ」

という考えの元、車体をコンパクトにする独自の意匠を込めようとなったわけですが、そうして車体が完成仕掛けた頃に問題が発生。車体をコンパクトにし過ぎたため、当初想定していたタンク容量15Lが確保出来なくなってしまった。

しかし車体を引き伸ばす事も容量を削ることも絶対にしたくない・・・そこで考えたのがタンクを上に盛ることでした。

YD-1のアイコンであり後に「文福茶釜」または「鉄かぶと」と呼ばれるようになったこの盛り上がったユニークなタンク形状は、そんな問題を解決しつつデザイン性を損なわないようにした結果に生まれた完全オリジナルな意匠なんです。

YD-1がヤマハオリジナルと言われているのはこういった背景が由来で、のちに

「インダストリアルデザイン(工業意匠)を取り入れた初めての国産バイク」

とも称されました。つまりデザインのヤマハの始まりのモデルでもあるんですね。

YDのモデルチェンジ概要

YD-2(146) -Since1959-

YDII

パイプレームから鋼板プレスのフレームとなり、エンジン出力は変わらないものの設計が見直され整備性が向上したモデル。

次に紹介するスポーツタイプが登場した事もあり、新たにセルモーターを標準装備するなどビジネスにおける利便性を向上させつつ、あえてリアキャリアを付けないなどスポーティさとの両立を図ったモデル。

2万円ほど値下げしたこともあり

「スポーツビジネスバイク」

として人気を博しました。

YD-3(148) -Since1961-

更に二年後となる1961年には3型へとモデルチェンジ。

文福茶釜で親しまれていたタンク形状を見直し、ハンドルもアップタイプへ変更してさらに利便性を向上。とは言いつつも加熱化していた二気筒市場に対応するためデュアルキャブレター化により馬力が2.5馬力UPの17馬力に。

他にもタンデムシートがセパレートタイプになり、ホワイトリボンタイヤを装着するなど当時の最先端トレンドを抑えたオシャレに変貌しました。

余談ですが最後にYD-1のチラシをご紹介。

梁瀬自動車株式会社という名前が入っているのが分かるかと。

そう・・外車の取り扱いで有名なあのヤナセ。当時はヤマハのバイクも売っていたんですね。

主要諸元
全長/幅/高 YD1:1935/705/935mm
146:1900/740/955mm
148:
シート高
車軸距離 YD1・146:1270mm
車体重量 YD1:140kg(乾)
146:147kg(乾)
燃料消費率
燃料容量 YD1:15L
146:14.5L
エンジン 空冷2サイクル二気筒
総排気量 247cc
最高出力 YD1・146:14.5ps/6000rpm
最高トルク YD1・146:1.9kg-m/4000rpm
変速機 YD1・146:常時噛合式4速
タイヤサイズ YD1・146:前後3.25-16
バッテリー YD1・146:6-6×2
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
YD1・146:14mm B6
推奨オイル
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
スプロケ
チェーン YD1・146:チエン2.21
車体価格YD YD1:185,000円
146:168,000円
系譜図
YD1 1957年
YDシリーズ
YDS-1 1959年
250S/YDSシリーズ
dx250 1970年
DX250/PRO
(280/352)
RD250 1973年
RD250
(361~3N4)
4L3 1980年
RZ250/R/RR
(4L3/29L/1AR/1XG/3HM/51L)
1KT 1985年
TZR250
(1KT/2XT)
3MA 1989年
TZR250/SP
(3MA)
R1-Z 1990年
R1-Z
(3XC)
3XV 1991年
TZR250R/SP/RS/SPR
(3XV)

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