R1-Z(3XC)-since 1990-

R1-Z

「初めに人ありき」

1990年の6月に登場したTZR250のネイキッド版・・・と簡単に片付ける事は出来ないR1-Z(ズィー)/3XC型。

元々ヤマハはレースだけでなくストリートでのスポーツも想定していました。前に消化したRZ250なども正にそこを睨んだモデル。

ヤマハR1-Z

しかし世の中が求めるスポーツがサーキットや峠で真価を発揮するレーサーレプリカに変わっていった。

このギャップに対しヤマハ自身も悩んだものの

「その意志はRZ250の方で貫けばいい」

という事でレーサーレプリカTZR250を”別のモデルとして”出す判断をします。TZR250が出た後もRZ250を併売していた理由はここにあるわけですが、そのRZ250ももう10年近くになろうとしていた事から企画の牧野さんが

「TZRが進化しているように、RZも進化すべきだ」

と考えてプロジェクトを主導。

3XCカタログ写真

・クロスしている専用トラスフレーム
・トランスミッションを中低速重視のクロスレシオ化
・少し絞った26mmフラットバルブ式キャブ
・楕円パイプによるトラス構造のスイングアーム
・前後17インチにインナーチューブ38mmの大径Fフォーク
・イニシャル及びリザーバータンク付きリアサスペンション
・特徴的なカーボンサイレンサー

などなど、TZR250/2XT(厳密に言うとTDR250)のパワフルエンジンを市街地とワインディングで如何に楽しむかを念頭に置かれた車体構成なんですが、非常に面白いのがプロジェクトリーダーを務められた竹本が一番大事にしたのが

「数値云々ではなく乗ってみてどうか」

設計の数値よりも乗った時の感覚、感性を最優先して開発したという事。

R1-Zブラック

そしてもう一つ大事にしたのが所有感。乗って楽しいだけでなく、見ても楽しめる所有感にも注力。

分かりやすいのが純正とは思えない片側二本出しカーボンサイレンサーや、上でも言った綺麗なX字のパイプフレーム。

R1-Zカタログ写真

いま見ても通用するというか秀でたデザインですが、特に注目してほしいのがR1-Zのデザインを際立たさせているフレームパイプ結合部分の丸くなっている部分。

R1-Zポスター

実はこれ鍛造なんですが、ただの鍛造ではなく冷間鍛造といって冷えた状態(常温)で叩いて成形したもの。表面が綺麗に仕上がるという理由だけで採用というこだわりっぷり。

当時の資料から言葉を借りると、ヤマハがユーザーに感じてほしかったのはレプリカでもテイスティでもない。

「2st特有のスパルタンとフリーダム」

このSENSEを具現化したモデルがR1-Zでした。

R1-Zパンフレット写真

エントリークラスでもあった250にしてはあまりにも玄人感があったためか、当時はどちらかというと敬遠されたモデルだったんですが、時代が追いついたのか近年になり再評価されて人気がうなぎ登りになりました。

主要諸元
全長/幅/高 2005/700/1040mm
シート高 775mm
車軸距離 1380mm
車体重量 133kg(乾)
燃料消費率 34.0km/L
※定地走行テスト値
燃料容量 16.0L
エンジン 水冷2サイクル二気筒
総排気量 249cc
最高出力 45ps/9500rpm
最高トルク 3.7kg-m/8500rpm
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前110/70-17(54H)
後140/70-17(66H)
バッテリー GT4L-BS
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
BR8ES/BR9ES
推奨オイル オートルーブ
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
1.2L
スプロケ 前14|後45
チェーン サイズ520|リンク114
車体価格 489,000円(税別)
系譜図
YD1 1957年
YDシリーズ
YDS-1 1959年
250S/YDSシリーズ
dx250 1970年
DX250/PRO
(280/352)
RD250 1973年
RD250
(361~3N4)
4L3 1980年
RZ250/R/RR
(4L3/29L/1AR/1XG/3HM/51L)
1KT 1985年
TZR250
(1KT/2XT)
3MA 1989年
TZR250/SP
(3MA)
R1-Z 1990年
R1-Z
(3XC)
3XV 1991年
TZR250R/SP/RS/SPR
(3XV)

「R1-Z(3XC)-since 1990-」への1件のフィードバック

  1. 初めまして。
    いつも楽しく読ませて頂いております。
    さて、重箱の隅をつつくような話で恐縮なのですが、お付き合い願います。
    R1Zのエンジンについてですが、
    パーツ:車名:パーツ番号頭3桁
    シリンダーヘッド:TDR:2YK
    シリンダー:R1Z:3XC
    ピストン:TDR:2YK
    ピストンリング:R1Z:3XC
    クランクシャフト:2XT.TDR.R1Z:2YK
    クランクケース:TDR:2YK
    リードバルブ:1KT:1KT(3葉)
    上記のように、3車種ごたまぜの構成になっています。(笑)
    クランクシャフトのみ、3車種共通です。
    発売日は、TDR、2XTの順です。
    2XTとR1Z・TDRのエンジンの相違は、
    2XT:メッキシリンダー、リードバルブ8葉、補助掃気ポート
    R1Z・TDR:鋳鉄スリーブ、リードバルブ6葉
    CDIは、3車種ともYPVS一体型のデジタル式ですが、パーツ番号は異なっています。
    カタログ上の馬力は同じですが、大型リードバルブ及びクランクケース開口面積増で、(2XTの系譜の記事内容、及びライダースクラブ1988年4月、36P)出力が異なると推測されます。
    今回の系譜内容の更新についても興味深い内容で楽しませて頂きました。YDシリーズ等、情報の少ない車種の記事は貴重です。記事の内容が素晴らしかつたので、些細な点が気になりました。
    駄文、長文で失礼致しました。
    2XTエンジン搭載の1KTを所有しており、流用パーツの検索を
    頻繁に行った結果です。(笑)

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