「次世代ネイキッド」
CBR1100XXが二代目にモデルチェンジしたのを機に発売されたX11/SC45型。
不人気だったので知られていないのですが、一部の国では『X11 CB1100SF』という名前で2002年まで販売されていた一方で国内では限定車(限定1000台)でした。
ちなみに闘牛がイメージでプロジェクトリーダーは原さん、デザイナーは伴さんでした。
『X4/SC38』『CB1300SF/SC40』と同じですね。
そもそも何故ブラバをネイキッド化しようと思ったのかと言うとブラバを造った山中さんに理由があるかと思います。
というのも山中さんはブラバを造る際にボルト一本、パイピング一本に至るまで徹底的にこだわったから。
カウルを取っ払っても恥ずかしくないディティールを持っていたからX11という企画が誕生したんじゃないかと。
「じゃあそのサイドシュラウドは何だ」
と突っ込まれそうですが、これはツインチューブフレーム特有のエンジンハンガーを隠すため。
もちろんそれだけではなくラジエーターガードやスポイラーとしての役割も担っています。
サイドシュラウドが目立つのでついついコレばっかりに目が行きがちなんですが、X11は実は単純にブラバのカウルを取ってアップライトなポジションにしただけではなく中身も大きく変更されています。
先ず一点目は何といってもメインフレーム。
X11はCBR929RRやVTR1000Fでホンダが推していたフレームの下半分が無いピボットレスフレームにされた・・・かと思いきやそうではなくセンターピボットフレームと呼ばれる聞き慣れないフレームになっています。
スイングアームを挟むわけでも、スイングアームをエンジンに直接付けるわけでもなく、スイングアームでフレームを挟む形。
前半分はツインチューブフレームなんだけど後ろ半分はバックボーンフレームというハイブリットなフレーム。
トラスフレームでピボット周りの剛性を上げるために使われる事は良くあるんだけど、過多気味なアルミツインチューブの剛性を落とすために取り入れたバイクなんてコレくらいではなかろうか。
見た目は完全にピボットレスなのがまた面白い。
ちなみにこれの狙いは下半分の剛性を敢えて落とし捻れやすくする事でストリートにおける手応え感を出すため。
でもX11がブラバと違う所はまだあります・・・なんとエンジンも違うんです。
バルブタイミングやマッピングの変更で低中速重視にセッティングされた上に5速化されているんですが、本当に驚きなのはそんな些細な事ではない。
これ先に紹介した二軸バランサーを一本抜いてるんです。つまり一軸バランサーエンジン。
苦労して入れた二本バランサーの一本取るという何とも勿体無い気がするわけですが、もちろんこれも敢えてやっていること。
先代で話したと思いますがバランサーを完全な位置ではなく少しズラして決してジェントル過ぎない絶妙な振動を残していたのに、そこから一本抜くと当然ながら振動が大きくなる。
だからX11というのは端から見ると軽やかに走る様に見えるけど実際はそうでもない。
排気量が排気量なだけあって直四らしい回すほどビリビリ来る感覚をライダーに遠慮なく伝えてくる。
それに加えて
『低中速から蹴り飛ばしてくるパワーの感覚』
『クビレた腰のようなフレームによる捻れの感覚』
も伝えてくるんだからエキサイトメントこの上ないビッグネイキッド。
端的にいうならシート高795mmとカウルレスも相まって乗り手に容赦ない正に『闘牛』と言えるモデルでした。
主要諸元
全長/幅/高 | 2145/750/1115mm |
シート高 | 795mm |
車軸距離 | 1510mm |
車体重量 | 253kg(装) |
燃料消費率 | 22km/L ※定地走行テスト値 |
燃料容量 | 22L |
エンジン | 水冷4サイクルDOHC4気筒 |
総排気量 | 1137cc |
最高出力 | 100ps/8500rpm [135.8ps/8500rpm] |
最高トルク | 10.0kg-m/6500rpm [11.8kg-m/6500rpm] |
変速機 | 常時噛合式5速リターン |
タイヤサイズ | 前120/70ZR17(58W) 後180/55ZR17(73W) |
バッテリー | FTX12-BS |
プラグ ※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価 |
CR8EHVX-9 |
推奨オイル | Honda純正ウルトラG1(10W-30) |
オイル容量 ※ゲージ確認を忘れずに |
全容量4.6L 交換時3.8L フィルター交換時3.9L |
スプロケ | 前17|後42 |
チェーン | サイズ530|リンク110 |
車体価格 | 920,000円(税別) |