「Multi performance Neo roadster」
大成功を収めたMT-09の二代目となるBS2型。
大きく変わったのは見て分かるようにデザインですが最初に纏めると
・フルLEDヘッドライト
・ショートテール
・片持ちアルミリアフェンダー
・シート形状の変更
・マフラーエンドの変更
・クイックシフター(シフトアップのみ)
・アシスト&スリッパークラッチ
・圧側減衰調整機能付き倒立フロントフォーク
・新規制に合わせ6馬力アップ
となっています。
それにしたってデザイン攻め過ぎじゃないかと思うわけですが、これ本当はもう少し違うデザインでした。
しかしクレイモデル(粘土で造った等身大モデル)を目の前にした時に
「なんか違うよな」
となりデザインをやり直す事になったのですが、その際に
・エンジニア用のクレイモデル
・デザイナー用のクレイモデル
の2つを用意し各々が思う次期MT-09を削ったら、それを互いに交換してまた削っていくという作業を行った。
こうして両者の意見を擦り合わせていった結果この形になったんですが、自分の好きに削れるという事で守谷デザイナーいわく
「こうすればもっと過激になるねという感じで少し悪ノリになった。批判は甘んじて受け入れます。」
との事。※ミーティングにて
一気にワルっぽくなった理由にはこういう背景があったんですね。
テールも前にも増してとんでもない形になった事で前にも増してデザインコンセプトである異種混合(モタードとネイキッドのハイブリッド)感が凄い事になってる。
ただ実はMT-09が異種なのは中身もそうなんです。
初代で話した通りMT-09はCP3(クロスプレーン三気筒)というエンジンを積んでいるクロスプレーンコンセプトのモデルなんですが・・・これ正確に言うと少し違うんですよね。
クロスプレーンコンセプトというのは簡単に説明するとピストンの往復運動中の速度差による慣性トルクを別のピストンで相殺する事で
「求められたトルクを求められただけ出す」
というのが狙い。
だからMT-07のCP2エンジンやMT-10のCP4エンジンはタイミングが直角になってる。
ところがCP3エンジンは120°毎だから実は完全に相殺出来ているわけじゃない。だから完璧なクロスプレーンではない・・・んですが同時にこれにはメリットもある。
「スクリーム感(マルチ感)が生まれる」
という事です。
CP2やCP4ほどまではいかないものの一般的な四気筒などと比べると慣性トルクは遥かに小さく同じようなメリットがある一方で、点火タイミングが等間隔だから回すとモーターの様に駆け上がる四気筒っぽさも持ってる。
つまりMT09は見た目はトレールとネイキッドのハイブリッドであり、中身はフラットプレーンとクロスプレーンのハイブリッド。
異種混合というコンセプトの通り、中も外も相反するものが混じっている
『正真正銘のキメラバイク』
と言えるかと。
頭のネジが外れている人が予想以上に多くて人気モデルとなったためか2018年からは豪華装備でスポーツ性を高めたMT-09SP/B6C型を追加販売。
・OHLINS製リモートアジャスター付きリアサス
・KYB製SP専用3ウェイアジャスター倒立フォーク
・黒背景の反転液晶メーター
・専用塗装&グラフィック
・専用表皮シート
となっているモデルで差額は僅か10万円。
コストが許されるならここまでやっていたんだろうなという雰囲気が伝わってくるモデルで、購入層もそれを感じ取っているのかSPに注文が殺到しているんだとか。
主要諸元
全長/幅/高 | 2075/815/1120mm |
シート高 | 820mm |
車軸距離 | 1440mm |
車体重量 | 193kg(装) |
燃料消費率 | 19.7m/L ※WMTCモード値 |
燃料容量 | 14.0L |
エンジン | 水冷4サイクルDOHC三気筒 |
総排気量 | 845cc |
最高出力 | 116ps/10000rpm |
最高トルク | 8.9kg-m/8500rpm |
変速機 | 常時噛合式6速リターン |
タイヤサイズ | 前120/70ZR17(58W) 後180/55ZR17(73W) |
バッテリー | YTZ10S |
プラグ ※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価 |
CPR9EA9 |
推奨オイル | ヤマルーブ プレミアム/スポーツ/スタンダードプラス |
オイル容量 ※ゲージ確認を忘れずに |
全容量3.4L 交換時2.4L フィルター交換時2.7L |
スプロケ | 前16|リア45 |
チェーン | サイズ525|リンク110 |
車体価格 | 930,000円(税別) [1,030,000円(税別)] ※[]内はMT-09SP/B6C |