SEROW250(DG31J)-since 2018-

DG31J

「きっと、ずっと、SEROWです。」

排気ガス規制に伴い一度は生産終了になったものの、見事に復活を果たした八代目セローのDG31J。通称型式はB7C1~です。

主な変更点はエアーインジェクション(二次エア)を廃止しO2センサー管理になった事と、蒸気ガソリンの外部放出を防ぐキャニスターを装備した事。

2018年型フューチャマップ

タンク容量が0.3L減り、車重も3kg増えたんですがセッティングの見直しで2馬力も上がり、燃費も+8km/Lの48.4km/Lになっているのでプラマイゼロというよりプラスですね。

外見としてはシートカウルがロングになりテールライトがLED化した程度の変更。

LEDテールライト

これは今はなきXT250Xの・・・もっと辿るとYZF-R6のもの。ちゃんとガードが付いてるのがありがたいですね。

もちろんツーリングセローも合わせて販売。

2018年型ツーリングセロー

ちなみに言い忘れていましたがツーセローの四種の神器(スクリーン、ハンドルガード、アンダーガード、リアキャリア)はワイズギアのOP扱いなので後からツーセローにする事も可能です。

さて・・・新しいセローが発表された際に

テールライト

「リアがXT250Xになっただけだな」

という声が多く聞かれ非常に悲しくなりました。

ちょっとよく聞いてほしいんですが、このDG31J型は本当に凄いんですよ。

何が凄いってABSを装備してないこと。

このセローの発売日は『2018年8月』、ABS義務化の施行日は『2018年10月』です。

つまり、どう考えても重くなるABSを嫌ってモデルチェンジしたとしか思えない。

ABSが義務化される2021年までの3年間しか売れないのに、また設計し直して再度型式認定を取得する必要が生まれるのに、わざわざABS無しでモデルチェンジしてきたわけです。

八代目セロー

空冷のまま通してきた事もそうですが、例え3年だけになろうとも

「軽く細く低い最良のマウンテントレールであり続けよう」

とする粋なモデルチェンジなんですよコレ。

車体価格が少し高くなってしまったのも3年しか売れないから、3年でこの開発費を回収しないといけないから。

もちろんこれは売れないのも大きな理由でしょう。

SEROWは30年以上の歴史を持つロングセラーモデルという事から順風満帆だと”勘違い”している人が多いかと思います。

全年式と全カラー

セローは確かに30年以上売っているロングセラー車ですが、実は過去一度も販売台数一位(250クラス)を取ったことが無いんです。

一番売れたのはセルスターターが付いた1990年型の9505台で、それ以降はオフロード人口の減少も相まって右肩下がり。

一番酷い年は2004年でたった1024台しか売れていない。2017年も全盛期の半分以下の3610台。

TZR250、FZR250、TW200、MAJESTY250、YZF-R25、一時代を築いた同胞たちと違いセローは

「生き残った33年」

というより

「生きながらえた33年」

なんです。

何故セローをヤマハが続けているのかといえば、SEROWがお手本としたDT1を始めヤマハは

オフロードのヤマハ

『オフロードで一世を風靡したメーカー』

という自負があるからでしょう。

そしてセローはそんなオフロードの魅力を誰でも気軽に楽しめるバイクだから造り続けている。

いいですか、セローが30年以上も続いているのは当たり前じゃないんです。

ヤマハセロー250

ガラパゴス空冷トレールという立ち位置である以上、いつ無くなってもおかしくない。

目前に迫っている2021年のABS義務化の影響も避けようがない。もしかしたらこのDG31Jでヤマハの意地が限界を迎える可能性だって十二分にある。

ここで一句。

「いつまでも、あると思うな、山とセロー」

少なくともABSやそれに伴う値上げが不要だと思っているならラストセローであるのは確定です。

もちろんそうじゃなくても山を走ってみたいと思ってるなら次期モデルがどうなるか分からないんだから善は急げですよ。

大丈夫セローなら怖くないです。

きっと、ずっと、SEROWです。

スタンディングハンドルがあるから楽しく転べばいい、セルがあるからエンストして笑えばいい、足つきが良いからペタペタと二輪二足でゆっくり進めばいい。

セローはそうやって生まれ育ったバイクなんですから。

※2019/12追伸

2020年モデルが最後との事

参考文献:別冊 MOTORCYCLIST (モーターサイクリスト) 2010年08月号

主要諸元
全長/幅/高 2100/805/1160mm
シート高 830mm
車軸距離 1360mm
車体重量 133kg(装)
燃料消費率 38.7km/L
※WMTCモード値
燃料容量 9.3L
エンジン 空冷4サイクルSOHC単気筒
総排気量 249cc
最高出力 20ps/7500rpm
最高トルク 2.1kg-m/6000rpm
変速機 常時噛合式5速リターン
タイヤサイズ 前2.75-21(45P)
後120/80-18(62P)
バッテリー YTZ7S
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
DR8EA
推奨オイル ヤマルーブ プレミアム/スポーツ/スタンダードプラス
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量1.4L
交換時1.2L
フィルター交換時1.3L
スプロケ 前15|リア48
チェーン サイズ428|リンク128
車体価格 523,000円(税別)
系譜図
XT2001982年
XT200
(23J/47J)
セロー225-1kh/1rf/2ln1985年
XT225SEROW
(1KH/1RF/2LN)
セロー2253RW1~41989年
XT225SEROW
(3RW)
セロー225-3RW5/4JG1~41993年
SEROW225W
(4JG)
セロー225-5MP2000年
SEROW225WE
(5MP)
セロー250-DG112005年
SEROW250
(DG11J)
セロー250-DG172008年
SEROW250
(DG17J)
セロー250-DG312018年
SEROW250
(DG31J)

【関連車種】
CRF250RALLY/L/Mの系譜WR250R/Xの系譜KLX250/D-TRACER Xの系譜

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