
「都会の風。スポーティエレガンスDX」
YDS系ではあるもののモデルチェンジを機に車名も変わった1970年登場のDX250/280型。※海外向けはDS7
馬力と価格は据え置きながら、エンジン・フレーム共に新設計されたもので、スリムなタンクと角ばったシリンダーブロックが特徴的なモデル。
ほかにもアルミボトムケースのフロントフォークや一体型マフラーを採用し、バンク角を稼ぐため最低地上高も少しアップされています。

そのスタイリッシュさと先代DSシリーズで築き上げた信頼により250の定番モデルとなっていたDX250ですが、そんな中で何が更に進化したのかといえば
「さらに一歩進んだレーサー直系」
という点になります。
これまで紹介してきたYD~DSもレーサーと関係があるモデルだったのですが、DX250はそこから更にググッと近くなりました。
前のページでも話した通りヤマハはYDS-1と専用KITパーツを販売しアマチュアレーサーの希望の星と化したのですが、そこで手を緩めず1962年には更に研ぎ澄ませた市販レーサーを発売しました。

YDSのKIT装着レーサー仕様をベースに、当時ブイブイ言わせていたGP(現MotoGP)技術を注ぎ込んだ生粋のレーサーになります。
市販車にKITパーツや独自のチューニングを施してレースに挑んでいたアマチュアにとって、純粋なレーサーが買えるというのは夢のような話。ここでもヤマハはアマチュアライダーに自分たちの代わりに戦ってもらおうと考えたわけです。
「純レーサーなら量販車のアマチュアレースとか出られないのでは?」
と思いそうですが、ちゃんとライトやウィンカーを付けて公道走行可能なモデルとして法規を”一応”パスしています。

TD-1はほほ純粋なレーサーだった事から当時アマチュアが買えるバイクの中では断トツで速く、日本のみならず世界中のレースで勝ち星を上げました。
代表的なところでいうと鈴鹿サーキットが完成して初めて行われた日本初のロードレースである1962年の第1回全日本ロードレース選手権アマチュア250部門はもちろん、そしてその一つ上である350部門でも255ccというわずかに排気量を上げただけのTD-1が優勝しています。

ヤマハの狙いがここでもズバリだったわけですが、では当のヤマハ自身はどうしていたのかというと、レース界の頂である世界GPに全力でした。
しかしそんなGPの250クラスにおいて事件が発生します。
『2st/V4のヤマハ対4st/L6のホンダ』
という今考えても異常なマシンで日本勢が一騎打ちを繰り広げてしまったため運営から
「1969年からGP250は二気筒までにします。」
という締め出しに近いレギュレーション変更が行われました。
これにはさすがのヤマハも怒って250のワークス撤退となったのですが、さすが2stのヤマハと言うべきかアマチュアに希望を与えるメーカーというべきか、ワークス撤退を機にとんでもない置き土産のようなモデルを1969年に開発。

いま紹介した市販レーサーTD-1をさらに改良したTD-2になります。
先代DSをベースにクラストップとなる44馬力を叩き出し圧倒的な速さを誇った”市販車”です。ここでもヤマハはアマチュアに活躍してもらうためにレーサー、つまり自社の技術を”市販”した。
結果どうなったかというと、ワークス撤退したGP250はもちろんのこと世界中の250レースがTD-2一色に染まるという異常事態になりました。
そして話は再びDX250へ。
そんなレース界を蹂躙していたTD-2の公道版レプリカとして登場したのがこのDX250なんです。

なんとこのDX250、いまで紹介した市販最速レーサーTD-2と非常に高い確率でパーツを共有できる互換性を兼ね備えた設計だった・・・そんなのアリなのか。
DX250のモデルチェンジ概要
DX250PRO(352) -Since1972-

フロントにディスクブレーキ(対向2ポットキャリパー)を採用したモデル。
主要諸元
| 全長/幅/高 | 2040/835/1085mm | 
| シート高 | 790mm | 
| 車軸距離 | 1320mm | 
| 車体重量 | 138kg(乾) | 
| 燃料消費率 | – | 
| 燃料容量 | 16.0L | 
| エンジン | 空冷2サイクル二気筒 | 
| 総排気量 | 247cc | 
| 最高出力 | 30ps/7500rpm | 
| 最高トルク | 2.92kg-m/7000rpm | 
| 変速機 | 常時噛合式5速リターン | 
| タイヤサイズ | 前3.00-18 後3.25-18 | 
| バッテリー | |
| プラグ ※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価 | – | 
| 推奨オイル | オートルーブ | 
| オイル容量 ※ゲージ確認を忘れずに | – | 
| スプロケ | – | 
| チェーン | – | 
| 車体価格 | 196,000円(税別) ※スペックはDX250 | 
 
	








シリンダーの形状、クランクケースカバーを見れば分かりますが、TD-2と互換性があるのはデスロク(DS6)では?
DX250ベースのレーサーはTD-3、RX350ベースのレーサーがTR-3です。
TD-2/TR-2の車体周りベースにNewエンジン積んで出てきたのがDX/RXで、それをベースにしたレーサーがTD-3/TR-3ですね