ZX-9R(ZX900C/D)-since 1998-

Cタマ

「Confidence inspiring performance」

ZX-9Rの二代目ZX900C/D型ことCタマとDタマ。

ちなみにD型はドイツとスイス向けに造られた触媒(KLEEN)装備モデルで、日本には入ってきていません。

ZZRとZXRのイイトコ取りとして登場した先代でしたが

「サーキットからツーリングまで幅広く使えるスーパースポーツ」

という狙いが理解されある程度の評価は獲得したものの、文句なしというわけではなく

「あとは車重が軽くなれば完璧」

という声が多かった。

もともとZX-9RはZXR750というもZZR寄りで、実用性や所有感を重視していたから重めだったんだけど、GSX-R750そしてCBR900RRの登場で時代は一気に軽量コンパクトに流れていたわけです。

Cタマコンセプトデザイン

そこでカワサキも開発メンバーをスーパースポーツを手がけてきた人達を集め大幅な軽量化を断行。

ただし単に軽量化するだけでなく、馬力を上げる事も目標に加えられました。

これは

「馬力を更に上げてパフォーマンスを磨く事がカワサキのポリシー」

とプロジェクトリーダーの高田さんが考えていたからです。

普通は軽量化となった場合、強度や剛性の問題があるので馬力を上げることは難しくなる。

この二律背反のような目標を達成するためにされた事としては、まずエンジンがあります。

ZX900C型エンジン

せっかくほぼ新設計と言えるほどだった先代エンジンを惜しむことなく捨て、新たに一から作り直した正真正銘の完全新設計エンジンに。

具体的にはバルブ駆動をロッカーアーム式から直押式に変更しショートストローク化したことで5馬力UP。

そしてクランクやジェネレーター果てはイグニッションコイルに至るまでグラム単位で見直され6.4kgの軽量化となり76.6kgに。

ZX900C型フレーム

次はフレームですが、まず前後長を短縮してコンパクト化。

更にダウンチューブも廃止し、エンジンを積極的に剛性メンバーとすることで5kg軽量化し12.5kgに。

そして極めつけはマフラー。

1998ZX-9R

なんとこれ当時としては非常に珍しい中も外もチタンなフルチタンマフラー。

これのおかげで2.1kgの軽量化で9.1kgに。

これが許されたのは企画の谷さんがダメ元でチタンマフラーを直訴したところ

「やっぱりマフラーといえばチタンだよな」

と上司が大のチタン好きだった事が幸いして了承を得た経緯があります。

1999ZX-9Rカタログ写真

「リプレイスしなくてもいいと言えるマフラーが出来た」

と喜びも一入。

とにかく馬力を上げつつ何もかも軽量化した事で

『先代比-32kgの183kg』

というダイエットというよりもはや別物と化したC/D型。

だたそんな中でもZX-9Rが譲らなかった装備としてグラブバーがあります。

ZX900Cグラブバー

両方で1kg近くもある。

なんで軽量化が至上命題なのに取らなかったのかと言えば、ZX-9Rはただ速いだけのレプリカではなくオールラウンダーなスーパースポーツだからです。

奇しくもライバル車であるCBR900RRのヒンジ付きリアシートに通ずるところがありますね。

ZX900C顔

「ユーザーに我慢を強いる事を良しとしない」

この頃のスーパースポーツというのはレースと無縁な事もあり、ユーザー第一な考えが当たり前だったんでしょうね。

主要諸元
全長/幅/高 2050/720/1155mm
シート高 810mm
車軸距離 1415mm
車体重量 183kg(乾)
燃料消費率
燃料容量 19.0L
エンジン 水冷4サイクルDOHC4気筒
総排気量 899cc
最高出力 143ps/11000rpm
最高トルク 10.3kg-m/9000rpm
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前120/70ZR17(58W)
後180/55ZR17(73W)
バッテリー YTX9-BS
プラグ CR9EK
または
U27ETR
推奨オイル カワサキ純正オイル
または
MA適合品SAE10W-40
オイル容量 全容量3.8L
交換時3.1L
フィルター交換時3.3L
スプロケ 前16|後41
チェーン サイズ530|リンク110
車体価格 ※スペックはEU仕様
系譜図
GPZ750R1986年
GPX750R
(ZX750F)
ZXR7501989年
ZXR750
(ZX750H/J/L)
1996ZX-9R1994年
ZX-9R
(ZX900B)
1998ZX-9R1998年
ZX-9R
(ZX900C/D)
2000ZX-9R

2000年
ZX-9R
(ZX900E)

2002ZX-9R2002年
ZX-9R
(ZX900F)
2004ZX-10R2004年
ZX-10R
(ZX1000C)
2006ZX-10R2006年
ZX-10R
(ZX1000D)
2008ZX-10R2008年
ZX-10R
(ZX1000E)
2010ZX-10R2010年
ZX-10R
(ZX1000F)
2011ZX-10R2011年
ZX-10R
(ZX1000J/K)
2016ZX-10R2016年
ZX-10R/RR/SE
(ZX1000R/S/Z/C)
2019ZX-10R2019年
ZX-10R/RR/SE
(ZX1002E/G/H)
2021ZX-10R2021年
ZX-10R/RR
(ZX1002L/N/)

ZX-9R(ZX900B)-since 1994-

ZX-9RB

「Evolution in Motion」

第3世代のマジック9ことZX-9Rの初代モデルであるBタマ。

なぜ”B型”ではなく”Bタマ”と呼ばれるのかというとロゴにあります。

ユメタマ

Rがカタカナの”マ”みたいな特徴的な形な事に加え、ナンバリングの9がカタカナのタに見える事から

Z→ユ
X→メ
9→タ
R→マ

という愛称が広く普及し、愛着を込めてBタマCタマなどと言うようになったんです。

さて・・・始まりのBタマについて書く前にマジック9について少し説明します。

1994カタログ写真

マジック9とは900SUPER4(Z1)、そしてGPZ900R(ZX900A)と、知らぬものは居ないほどの大成功を収めてきたカワサキにとって特別なナンバリング(クラス)の事。

ただマジック9という概念を生むキッカケとなった二代目マジック9ことGPZ900Rが900になったのは、偶然であり狙ってやった事ではないんですけどね。

そして面白いことにZX-9Rがマジック9になったも、GPZ900Rと同じ様にたまたま・・・ユメタマなだけに。

ただ、そうなった以上は偶然とはいえ泥を塗らないように頑張るしか無いと開発チームも意識していたそうです。

ユメタマカタログ写真

そもそもZX-9Rが生まれるキッカケとなったのは何かと言うと、世界中で大ヒットしていた元祖メガスポーツことZZR1100に起因します。

カワサキとしては渾身のスーパースポーツとして造り出し好評を得ていたZZR1100だったんですが、調べてみると購入層の平均年齢が高かった。

企画の伊藤さんがなぜスーパースポーツ好きが多い若年層が買わないのか調査してみると

「ZZR1100はスーパースポーツじゃないから」

という答えが特に欧州で多かった。

そう思われる最大の理由はルックヘビー、要するに見た目が大きくて重そうだから。

若年層が望むのはZZR系よりもZXR系だという事がわかったわけです。

そこで始まったのが

ZX-9Rコンセプトデザイン

「ZZR1100とZXR750のイイトコ取りしたバイク」

というプロジェクト。

これがZX-9Rの始まりなんです。

ベースをZZRにするかZXRにするか色々と検討した結果、ZXR750をベースにする事に決定。

そしてZXRから引き続きエンジン担当となった渡辺さんだったんですが、ZXR750のエンジンは元々レース第一の造りでキッチリ750に合わせて造ったものだったから

「これを900ccにして低速トルクを増やせ」

と言われた時は何かの冗談かと思ったそう。

初代ユメタマ

しかし偶然とはいえマジック9のバイクになる以上はやるしかないとして

・ピストンとコンロッド

・クランク周り

・カムチェーン&スプロケ

・ミッション周り

これらを全て変更。

「終わってみたら残ったのはヘッドとガワだけだった」

というほぼ新設計のエンジンが完成。

ZX-9R透視図

これはフレームも同様で、形こそZXR750と近いものの部材やマウントの変更で別物と化しています。

特にZXR750と目に見えて違うのがダウンチューブフレーム(上の写真の黒い部分)の追加です。

これはZXRの要素だけでなくZZRとしての要素、つまりツアラーとしての要素も持たせるために設けられたエンジン振動の受け手。

こうしてZXR750とZZR1100のイイトコ取りな139ps/215kgのスーパースポーツが完成したわけです。

ZX-9Rのフランス仕様

ちなみにフランス仕様は法規の関係上、非対称なライトで何とも言えない表情に。

主要諸元
全長/幅/高 2085/725/1165mm
シート高 800mm
車軸距離 1440mm
車体重量 215kg(乾)
燃料消費率
燃料容量 16.0L
エンジン 水冷4サイクルDOHC4気筒
総排気量 899cc
最高出力 139ps/10500rpm
最高トルク 9.8kg-m/9000rpm
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前120/70ZR17(58W)
後180/55ZR17(73W)
バッテリー YTX12-BS
プラグ CR9EK
または
U27ETR
推奨オイル カワサキ純正オイル
または
MA適合品SAE10W-40
オイル容量 全容量3.8L
交換時3.1L
フィルター交換時3.3L
スプロケ 前16|後44
チェーン サイズ530|リンク112
車体価格 ※スペックはEU仕様
系譜図
GPZ750R1986年
GPX750R
(ZX750F)
ZXR7501989年
ZXR750
(ZX750H/J/L)
1996ZX-9R1994年
ZX-9R
(ZX900B)
1998ZX-9R1998年
ZX-9R
(ZX900C/D)
2000ZX-9R

2000年
ZX-9R
(ZX900E)

2002ZX-9R2002年
ZX-9R
(ZX900F)
2004ZX-10R2004年
ZX-10R
(ZX1000C)
2006ZX-10R2006年
ZX-10R
(ZX1000D)
2008ZX-10R2008年
ZX-10R
(ZX1000E)
2010ZX-10R2010年
ZX-10R
(ZX1000F)
2011ZX-10R2011年
ZX-10R
(ZX1000J/K)
2016ZX-10R2016年
ZX-10R/RR/SE
(ZX1000R/S/Z/C)
2019ZX-10R2019年
ZX-10R/RR/SE
(ZX1002E/G/H)
2021ZX-10R2021年
ZX-10R/RR
(ZX1002L/N/)

ZXR750(ZX750H/J/L)-since 1989-

ZXR750

「レーシング・スーパーウェポン」

ワークスマシンZXR-7のレプリカとして登場したZXR750。

アルミツインスパーフレームからも分かる通りレーサーレプリカライクなマシンではあるんですが一つだけ面白いというかカワサキらしい店としてアンダーチューブフレームが付いている事があります。

ZXR750ディメンション

これは振動対策が主な狙いでアンダー側はラバーマウントとなっています。

こちらはR仕様のZXR750RでFCRキャブに倒立専用サスとシングルシート仕様というコテコテなレーサーでアンダーチューブも付いていません。

ZXR750Ninja

ちなみにアイデンティティでもあるタンクに刺さっているホースはラムエアではなく

『K-CAS(Kawasaki Cool Air System)』

と呼ばれ、エンジンの熱ダレを防ぐためヘッドに走行風を積極的に送って冷やすためのダクト。

激化する競争に勝つため僅か二年でフルモデルチェンジされJ型に。

zxr750

サイドカムチェーンの新設計エンジン、倒立フォーク、Rはフルアジャスタブル化などの改良。

ちなみに1993年にこのZXR750の発展形であるワークスマシンZXR-7でカワサキは世界耐久選手権のチャンピオンを獲得しました。

zxr-7

ちなみに鈴鹿8耐も勝っています。

というかカワサキが八耐で勝ったのは唯一のマシンがこのZXR-7。

その後1993年に各部が見直されカーボンマフラーを採用したL型(写真下)となり、更にフルモデルチェンジでSBKのZX-7Rとなり、そして最終的にはMotoGP車両ZX-RRとまさに出世魚の様なバイクでした。

ZXR750Rカタログ写真

ZX-7Rについては

「問題児レーサー ZX-7R/RR(ZX750P/N)」

をどうぞ。

主要諸元
全長/幅/高 2090/745/1165mm
[2085/730/1120mm]
<2095/730/1140mm>
シート高 770mm
<780mm>
車軸距離 1445mm
[1420mm]
<1430mm>
車体重量 205kg(乾)
[194kg(乾)]
<205kg(乾)>
燃料消費率 34.0km/L
※定地走行テスト値
燃料容量 18.0L
エンジン 水冷4サイクルDOHC4気筒
総排気量 748cc
最高出力 77ps/9000rpm
最高トルク 6.7kg-m/7500rpm
[<6.9kg-m/6500rpm>]
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前120/70R17(58H)
後170/60R17(72H)
<前120/70ZR17(58W)
後180/55ZR17(73W)>
バッテリー YB12AL-A2
[<YTX12-BS>]
プラグ CR8E
または
U24ESR-N
<CR9E
または
U27ESR-N>
推奨オイル カワサキ純正オイル
または
MA適合品SAE10W-40
オイル容量 全容量3.7L
交換時2.7L
フィルター交換時2.9L
[<全容量4.0L
交換時3.4L
フィルター交換時3.5L>]
スプロケ 前16|後46
{前16|後45}
<前16|後43>
チェーン サイズ530|リンク112
[{<サイズ530|リンク110>}]
車体価格 859,000円(税別)
{879,000円(税別)}
<879,000円(税別)>
※[]内は90モデル
※{}内は91-92モデル(J型)
※<>内は93以降モデル(L型)
系譜図
GPZ750R1986年
GPX750R
(ZX750F)
ZXR7501989年
ZXR750
(ZX750H/J/L)
1996ZX-9R1994年
ZX-9R
(ZX900B)
1998ZX-9R1998年
ZX-9R
(ZX900C/D)
2000ZX-9R

2000年
ZX-9R
(ZX900E)

2002ZX-9R2002年
ZX-9R
(ZX900F)
2004ZX-10R2004年
ZX-10R
(ZX1000C)
2006ZX-10R2006年
ZX-10R
(ZX1000D)
2008ZX-10R2008年
ZX-10R
(ZX1000E)
2010ZX-10R2010年
ZX-10R
(ZX1000F)
2011ZX-10R2011年
ZX-10R
(ZX1000J/K)
2016ZX-10R2016年
ZX-10R/RR/SE
(ZX1000R/S/Z/C)
2019ZX-10R2019年
ZX-10R/RR/SE
(ZX1002E/G/H)
2021ZX-10R2021年
ZX-10R/RR
(ZX1002L/N/)

GPX750R(ZX750F)-since 1986-

GPX750R

「突き詰めればカワサキ」

カワサキ初となる完全新設計のフラッグシップ750であるGPX750R・・・なんと車名にZと付いてない。

ZX750F

これは当時としては非常にコンパクトなサイズや造りから見て分かる通り、これまでとは違う

『Xの思想』

で造られたバイクだから。

Xというのは”究極のZ”に対する”親しみのX”という意味です。

GPX750Rカタログ写真

新設計のダブルクレードルフレームに新設計のセンターカムチェーンエンジン。

目を引くための装備や技術を設けず

「枯れた技術のみで最新の開発力を用いて造る」

というアンチレーサーレプリカを体現するようなバイク。

GPX750Rパンフレット

でもその思想は過激化していた時代には受け入れられる事なく・・・GPXシリーズはクラス問わず一代限りとなってしまいました。

主要諸元
全長/幅/高 2115/715/1185mm
シート高 775mm
車軸距離 1460mm
車体重量 195kg(乾)
燃料消費率 34.0km/L
※定地走行テスト値
燃料容量 21.0L
エンジン 水冷4サイクルDOHC4気筒
総排気量 748cc
最高出力 77ps/9000rpm
最高トルク 7.0kg-m/6500rpm
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前110/90-16(59H)
後140/70-18(66H)
バッテリー YB12L-A2
プラグ D8EA
推奨オイル カワサキ純正オイル
または
MA適合品SAE10W-40
オイル容量 全容量4.0L
交換時2.7L
フィルター交換時3.0L
スプロケ 前16|後47
チェーン サイズ530|リンク110
車体価格 799,000円(税別)
系譜図
GPZ750R1986年
GPX750R
(ZX750F)
ZXR7501989年
ZXR750
(ZX750H/J/L)
1996ZX-9R1994年
ZX-9R
(ZX900B)
1998ZX-9R1998年
ZX-9R
(ZX900C/D)
2000ZX-9R

2000年
ZX-9R
(ZX900E)

2002ZX-9R2002年
ZX-9R
(ZX900F)
2004ZX-10R2004年
ZX-10R
(ZX1000C)
2006ZX-10R2006年
ZX-10R
(ZX1000D)
2008ZX-10R2008年
ZX-10R
(ZX1000E)
2010ZX-10R2010年
ZX-10R
(ZX1000F)
2011ZX-10R2011年
ZX-10R
(ZX1000J/K)
2016ZX-10R2016年
ZX-10R/RR/SE
(ZX1000R/S/Z/C)
2019ZX-10R2019年
ZX-10R/RR/SE
(ZX1002E/G/H)
2021ZX-10R2021年
ZX-10R/RR
(ZX1002L/N/)