「EBR:ERIC BUELL RACING」
インド最大の二輪メーカーのヒーローと提携・援助で復活したビューエル。会社の場所は勿論ビューエル時代と同じウィスコンシン州で今度は従業員13人からスタート。
先代1125でROTAXに作らせたエンジンの権利を購入しエリックがほぼ全て作り直したニューエンジンが積まれています。
ただこのバイクは100台限定&300万円という実質的にレースを走るためのホモロゲーションモデルだからまず見ることも無いし、正規で入ってきていないので買うことも無いと思います。一応国内でも4台ほど何処かの誰かかが購入したようですが。
そういえばビューエルの特徴の一つであるZTL(ゼロ・トーション・ロード)について説明していませんでした。日本ではXB9が初出のブレーキシステム。
見れば分かりますがディスクローターがホイールのリムにマウントされているわけです。こうする事でディスクローターのインナーが不要になり軽く出来るというわけ。バネ下軽量が狙いで同クラス比-2kg以上だそうです。
ただキャリパーが一般的な外から差し込むタイプではなく中から差し込むタイプなので、ブレーキパッドを変えるだけでもホイールを外す必要があるというメンテナンス性の悪さがあったりします。一応外さないでも出来るように逃げが作られてはいますが・・・
それにしても目につくのが懐かしきコムスターの様なリアホイールですね。
と言っても今の人はわからないので説明するとコムスターホイールっていうのはホンダが編み出したホイールでComposite(合成)とStar(星形)という意味。
スポークプレートをリベットでリムに固定しているホイール。組み立て式キャストホイールみたいな感じ。キャストホイールが認可されていなかった時代の産物です。
重ねて言いますがこの1190RSはちゃんとキャストホイールですよ。ただ形がコムスターホイールに似ているというだけです。
小言。
恐らくビューエルに関心がある人の多くは
「空冷こそビューエルであり水冷はビューエルではない」
と思われてるかと。
実際X1ライトニングは11,228台。そしてXB9が合算で22,961台、XB12は45,929台も製造されてました。それに対し水冷化した1125Rは5,836台、CRモデルは3,099台とXBシリーズの半分以下。
もちろんこれはハーレーが取扱を止めた事や経営のゴタゴタもありますが、水冷化を望んでいない人が多かったのも大きな理由。
これは本当に難しかったと思います。
日本の空冷ビューエル乗りに怒られそうですが、Buellが成功したのは他の何処にもない唯一無二の味を持っていたスポーツ版ハーレーだったから。
しかしエリックが目指していたのは味があるスポーツバイクではなくMade in USAのスポーツバイク。本意とは別の形で世間に認められたわけです。
つまりハーレーと手が切れ、水冷のコンパクトなDOHCエンジンを選んだという事は言い換えれば、この水冷モデルこそエリックが本当に作りたかったバイクとも言えるんじゃないかと。
エンジン:水冷4サイクルDOHC二気筒
排気量:1190cc
最高出力:
185ps/10600rpm
最大トルク:
14kg-m/8200rpm
車両重量:173kg(乾)
※スペックは1190SX