新世代ビューエルとして登場したXB9R Firebolt。
ここまで来ると馴染みがある人も多いでしょう。
一番の大きな特徴は何と言っても
「Xブレードフレーム」
という名が付けられた極太アルミツインスパーフレーム。このフレームただのツインスパーではなくガソリンタンクを兼ねるという普通では考えられない構造をしているんです。
フレームにガソリンを注ぐという奇想天外な考えですが、実はこれ構想自体はずっとまえからあったそう。
というのはエリックがレーサーをやっていた頃、ガソリン量の減少によるハンドリングの変化が気になって仕方なった。
これはガソリンタンクが重心よりも高い位置にあることによる慣性モーメントの変化が原因。ガソリン満タンと空の状態だと全然違うのは誰もが知ることですね。
マスの集中化を何よりも大事にするビューエルとして何とか出来ないか、もっと重心に近い部分にガソリンを置けるスペースがないか探した所フレームが空いている事を発見。
ただ技術的やコスト面の問題があったから中々採用できなかった。それが今回フルモデルチェンジでやっと実現したというわけ。
しかし面白ギミックなのはこのタンクだけには留まりません。
ハーレーの狭角45度Vツインエンジンはドライサンプといって一般的なウェットサンプと違い、オイルを溜めておくプールがエンジンの下ではなく別の場所に設けられます。
今までのモデルはだいたいシート下にオイルタンクが置かれていたのですが、前後長を切り詰めたかったエリックはエンジンオイルのプールとして第二のフレームであるスイングアームを選択。つまりこのスイングアームの中にはエンジンオイルが入っている。
更にエンジンもビューエルからの注文で改良した物ではなく、最初からビューエル用のエンジンが積まれる事になったおかげでホイールベースが脅威の1320mmに。
1320mmがどれだけ短いかというと、一般的な250ロードスポーツモデルですら1390mm前後。身近なモデルで一番近いのを探してみるとホンダのPCX(1315mm)が近い。
それくらい短いわけですが、これは本当に賛否両論ありました。
ホイールベースが短いというのは物凄くクイックではあるんだけど安定性の問題が出てくるから。
ただこれはエリックが考えていた設計思想なんです。エリックが次世代のビューエルを作る際、集めたメンバーに対して
「このTZ250に我々のエンジンを積んだら最高のバイクが出来る。」
と言ったわけです。
当然そんなの無理に決まってると相手にされなかったのですがエリックは本気で、しかも本当にやってのけたわけです。(ホイールベースがほぼ同じ)
翌年にはX1の後継であるネイキッドモデルXB9Sも登場。
国内ではすぐ後継にバトンタッチし最終的にはXB9SXのみとなりましたが、国内外問わず
「今までに無いバイクだ」
と絶賛され、BUELLはアメリカ第二位のオートバイメーカーに上り詰めました。
一番BUELLが輝いていた時代ですね・・・。
エンジン:空冷4サイクルOHV二気筒
排気量:984cc
最高出力:
92ps/7200rpm
最大トルク:
9.37kg-m/5500rpm
車両重量:175kg(乾)
※スペックはXB9R